防災用品体験レポ:第4回

非常用トイレ『ベンリー袋』を使ってみよう!

ベンリー袋今回の体験レポでは、前回の『ボックストイレSETⅡ』に引き続き、トイレに関する防災用品を紹介します。

商品は『ベンリー袋』という簡易トイレですが、いったいどのようにして使用するのか、機能はどうなのか、この手の防災用品は滅多に使う機会がないだけに、気になるという方も多いはずです。

そこで、実際に使ってみたので、非常食と一緒にトイレ用品の備蓄を検討されている方は少し参考にしてみてください。




株式会社ケンユーの『ベンリー袋』とは?

『ベンリー袋』を開発したのは、ケンユーという株式会社です。

㈱ケンユーは、水分を瞬時にジェル化する機能を持つ特殊吸水樹脂を活用した商品を多数手掛けるメーカーであり、特に災害対策用に開発された主力製品の簡易トイレは売れ行きも好調と聞きます。

そのため、㈱ケンユーのトイレ用品については、前々から関心がありましたが、製品そのものの性能や機能は実際に使ってみないことには評価のしようがありません。

というわけで、体験レポ用に購入しておいた『ベンリー袋』をさっそく使ってみることにしましょう!
商品パッケージ概要
【画像:左】今回、私が購入した『ベンリー袋』は5枚入ですが、他にも3枚入りのものが販売されています(ただし、枚数が少ないと、1セット当たりの単価自体はやや高くなる)。『ベンリー袋』は、断水して水を流せなくなった既存の家庭用トイレやポータブルトイレなどに被せて使用するタイプのトイレ用品なので、便器となる本体が含まれていない分、サイズ的には非常用袋などにも入れておけそうです。

【画像:中央と右】パッケージ裏面には、製品の使い方や特徴、注意点などについての基本情報が記載されているので、使用の有無にかかわらず、購入したら、一度目を通しておくとよいでしょう。
使用方法
パッケージ裏面には、商品の使い方がイラスト入りで記載されていますが、『ベンリー袋』は、便袋をセットして用を足したら、附属の凝固剤を振りかけるだけの製品なので、特に複雑な手順はひとつもありません。
商品内容
【画像:左と中央】パッケージを開封し、『ベンリー袋』の中身をチェックしてみたところ、出てきたものは、①蓄便袋(緑色)②持ち運び袋(半透明)③便凝固殺菌剤の計3点です。各処理袋のサイズについては、上記画像のとおりですが、蓄便袋の形が長方形になっているのは、おそらく一般家庭で使用する洋式タイプの便器の形を考慮したものと思われます。

【画像:右】『ベンリー袋』に入っている処理袋は2種類、ひとつは便袋で緑色、もうひとつは持ち運び袋で白色となっていますが、どちらも半透明なので、内容物が若干透けて見えてしまう点が気になるところです。

しかし、便袋を持ち運び袋にいれてしまえば、画像①(袋を手で押さえつけた状態:うっすらと内容物が見える)②(自然な状態:ほとんど何も見えない)のように、意外と外見からは内容物が判別しにくくなるので、持ち運びの際に使用後の排泄物が袋から透けて見えてしまうというような心配は特になさそうです。



『ベンリー袋』を実際に使ってみた感想と評価

では、商品に関する説明が一通り終わったところで、実際に『ベンリー袋』を使って、その機能や性能をチェックしてみたいと思います。

先にも説明したように、『ベンリー袋』は家庭用トイレやポータブルトイレといった既存の便器があることを前提とした災害時対策向けのトイレ用品なので、まずは自宅のトイレで使用すると、いったいどんな感じになるのか試してみました。

自宅にある一般的な洋式便器に『ベンリー袋』の蓄便袋をセットしたものが、こちらの画像です。
洋式トイレ
袋の被せ方が難しいといったこともないので、特にこれといってアドバイスもなにもないのですが、強いて注意点をあげるとすれば、蓄便袋は便座の上ではなく下にセットする!ということでしょうか。

ただし、不特定多数の人が利用するような公衆便所で使用する場合は、衛生面を考えて便座の上からセットして使う(ただし、便座で固定できないため、便袋の縁が便器内に落ちてしまわないよう注意が必要!)というのもありなので、その辺は状況に応じて臨機応変に対応してください。

なお、家庭によっては、うちの便器は洋式ではなく和式だという方もいるかもしれません。

そこで、『ベンリー袋』は和式便器にも対応しているのか、製造元の㈱ケンユーに問合せてみたところ、〝あくまで洋式便器を対象とした製品なので、和式便器は考慮していない〟との回答をいただきました(ただし、使いにくいというだけで、まったく使えないというわけではないそうです)。

では、次に排泄物をゼリー状に固める便凝固殺菌剤(凝固剤)の効果はどれほどのものなのか、さっそく試してみましょう!
凝固剤の効果実験1
実験は、前回の体験レポ(第3回)で使用した『ボックストイレSETⅡ』の本体に蓄便袋をセット(ポータブルトイレに被せても特にサイズは問題なし!)して行うこととし、さすがに尿や便の画像を掲載するわけにもいかないので、前回と同様、今回も水を使って凝固剤の効果をチェックします。

というわけで、計量カップを使って1000ccほどの水をポリ袋に注いでみました。

手順に従うと、後は附属の凝固剤を振りかけるだけですが、たった7gの粉末状の凝固剤(無臭)で、1000ccの液体が果たしてゼリー状に変化するのか、さっそく実験してみましょう!
凝固剤の効果実験2
凝固剤袋に切り口らしきものは見当たりませんが、どうやらどこからでも切ることができるタイプの袋のようなので、素手で開封した後、ポリ袋内の水に向かって粉末をパパッと振りかけてみました。

すると、あら不思議!

1000ccもの液体が、みるみるうちにドロリとした固形物に変わっていきます。その間わずか1分弱!

カッチカチに固まることはなく、あくまでゼリー状の柔らかい固形物ではありますが、ポリ袋内の底に液体らしきものはほぼ見られず、1000ccすべての水がゼリー状に変化してしまったようです(手に掬って持ち上げることも可能)。
凝固剤の効果実験3
ゼリー状に変化した固形物の状態からみて、まだまだ余裕がありそうな感じがしたため、さらに500ccほどの水を加えて様子を見ることにしてみました。

すると、若干、ゼリーの固まり具合こそ緩くなりましたが、1500ccの水を注いでも、ポリ袋の底に液体(水)が溜まるということはありませんでした。
凝固剤の効果実験4
こうなると、いったいどれくらいの液体をゼリー状に固めるのか興味がわいたため、さらに水を注ぎ続け、2000cc → 3000ccと試してみました。

その結果は、上記画像でも確認できるように、2000ccになると見た目も感触もだいぶ水っぽくなり、3000ccともなると、完全に水とまではいかないまでも、手で掬うとドロドロと指の隙間から滴り落ちてしまうため、もはやゼリー状とは呼べない塊になってしまいました。

以上の実験結果から、『ベンリー袋』に入っている凝固剤には、少なくとも1500cc程度の液体を数分間でゼリー状に固める効果は十分にあるということが確認できました。

※参考:成人の1回の排尿量は200~400ml程度(1日の排尿量:通常は1000~1500cc)とのこと。

前回の体験レポで紹介した『「ボックストイレSETⅡ』では、特殊な吸収シートを使用していましたが、液体を素早く固形物に変えるという点においては、『ベンリー袋』の粉末タイプの凝固剤の方が効果は早く現れるようです(ただし、消臭効果については未確認のため比較はできない)。

ちなみに、凝固剤でゼリー状に固まった排泄物は、いったいどのように処分したらよいのか、気になった方もいるのではないでしょうか。

結論から言ってしまうと、㈱ケンユーの担当者曰く、家庭の水洗トイレが使用できる状況にあれば、排泄物を袋から取り出し、そのままトイレに流してしまって構わないとのこと(どうやら、ゼリー状の固形物はさらに水が加わることでおも湯状になり、パイプが詰まるということはないらしい…)。

それが無理な場合は、各自治体のゴミ処理方法に従って処分することになりそうです。

では、最後に使用後の蓄便袋の処理手順についてまとめておきます。
使用後のゴミ処理
①ポリ袋の左右上部端から出ている色違い紐(白と黄色)を、右手と左手で別々に1本づつ持ち【①】引っ張ります【②】。後はその紐をポリ袋に巻き付けて結び、巾着状【③】にしたら完成!




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