地震保険:家財編
1995年に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以降、地震保険に加入する家庭は増えているようですが、いくら日本が地震大国とはいえ、そう頻繁に利用する保険制度ではないため、その仕組みや支払方法については、実はあまりよく知らないと言う方も多いようです。
地震保険の対象は大きく2種類《建物》と《家財》とに分かれますが、ここでは家財のみ加入(契約)した場合に起こりうる支払い例や補償額について少し解りやすくまとめてみました。
2000.10.6 |
鳥取県西部地震(M 7.3) |
震度6強 |
2003.9.26 |
十勝沖地震(M 8.0) |
震度6弱 |
2004.10.23 |
新潟県中越地震(M 6.8) |
震度7 |
2005.3.20 |
福岡県西方沖地震(M 7.0) |
震度6弱 |
2007.3.25 |
能登半島地震(M 6.9) |
震度6強 |
2007.7.16 |
新潟県中越沖地震(M 6.8) |
震度6強 |
2008.6.14 |
岩手・宮城内陸地震(M 7.2) |
震度6強 |
2011.3.11 |
東北地方太平洋沖地震(M 9.0) |
震度7 |
2013.4.13 |
淡路島地震(M6.3) |
震度6弱 |
2016.4.14 2016.4.16 |
熊本地震(M6.5) 熊本地震(M7.3) |
震度7 |
2016.10.21 |
鳥取県中部地震(M6.6) |
震度6弱 |
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地震保険とは、簡単に言ってしまうと、火災保険では補償されない地震や噴火、津波を原因とする損害を対象とした保険制度のことですが、冒頭でも触れたとおり、地震保険の対象となるものは、建物と家財とに分かれ、それぞれ別々に保険を掛けることになるため、家財のみ加入している契約者は、建物に対する補償は受けらない!ということを、まずは理解しておいてください。
地震保険における家財とは、いったいどのようなものが含まれるのか・・・
非常に気になるところですが、具体的には次のようなものが家財と見なされ、保険金の支払い対象となるようです。
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家具・調度品 |
食器棚、タンス、机、本棚、鏡台、テーブル、ソファ、チェスト、 絨毯 …など |
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家電製品 |
TV、パソコン、ゲーム機、掃除機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機、エアコン、AV機器 …など |
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服飾品 |
シャツ、スーツ、コート、スカート、ワンピース、セーター、時計、靴、バッグ、指輪、イヤリング、ネックレス …など |
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食器・調理器具等 |
お皿、グラス、鍋類 …など |
※ 中には補償対象になるかどうか微妙なものもあるので、詳細については契約先の保険会社で確認を!
ここでひとつ注意しなければならないことは、地震保険の対象となる家財とは〝
居住用建物内に収容される被保険者が所有する生活用動産であること〟が条件だということです。
したがって、店舗や工場、事務所内にある家財は対象外となります。
※ ただし、店舗兼住宅の場合は店舗と住宅の面積比率によって付帯の可否が決まります。
また、次のようなものは生活用動産ではないとして、地震保険の対象外とされているので注意が必要です。
- 通貨・有価証券・預貯金証書・印紙・切手や、その他これに類するもの
- 自動車・自動二輪(総排気量が125cc以下の原動機付自転車は除く)
- 貴金属・宝石・書画・骨董、彫刻物その他の美術品で、1個(または一組)の価額が30万円を超えるもの(いわゆる、明記物件)
- 稿本(原稿など)・設計書・図案、帳簿や、その他これに類するもの
地震保険の対象となる具体的な家財(生活用動産)については、前項で説明したとおりです。
では、実際に損害を被った場合、いったいどのくらいの保険金が支払われるのか・・・
気になる補償額についての基本的知識をザッと押えておきましょう。
地震保険は単独で加入することができないので、通常、火災保険とセットで契約することになりますが、地震保険の契約金額は法律によって〝
火災保険の契約金額の30~50%の範囲内であること〟といった規定があります。
附帯される損害保険契約の保険金額の100分の30以上100分の50以下の額に相当する金額(その金額が政令で定める金額を超えるときは、当該政令で定める金額)を保険金額とすること。
【地震保険い関する法律 第2条2項の4より抜粋】
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したがって、家財1,000万円の火災保険を契約している方が地震保険に加入する場合、契約金額は300~500万円ということになりますが、この契約金額には上限があり、家財の場合は1,000万円を超える契約はできない!という点に注意が必要です。
■契約金額の具体例
火災保険の契約金額 |
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地震保険の契約金額 |
1,000万円 |
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300~500万円まで |
2,000万円 |
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600~1,000万円まで |
3,000万円 |
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900~1,500万円は×
※ 上限は1,000万円まで |
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家財に損害があった時は、家財の損害状況に応じて「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分に分類されますが、支払われる保険金額は、どの区分に振り分けられるかで大きく変わってきます。
※補足:2017年1月に損害区分が、これまでの3区分(全損・半損・一部損)から4区分(全損・大半損・小半損・一部損)へと変更されている点に注意が必要!
区分 |
損害状況 |
支払われる保険金額 |
全損 |
家財の損害額が家財の時価額の80%以上になった場合 |
契約金額の100% |
大半損 |
家財の損害額が家財の時価額の60%~80%未満になった場合 |
契約金額の60% |
小半損 |
家財の損害額が家財の時価額の30%~60%未満になった場合 |
契約金額の30% |
一部損 |
家財の損害額が家財の時価額の10%~30%未満になった場合 |
契約金額の5% |
※ 時価とは… 現在ある同等のものを新たに購入するのに必要な金額が《再調達価額》であり、この再調達価額から、経過年数による消耗分(いわゆる減価償却)を差し引いた額が《時価》となります。
ただひとつ、注意しなければならないことは、この認定基準は、ひとつひとつの家財の損害状態ではなく、全体の損害の割合で決まるということです。
そのため、仮に保険金が支払われることになったとしても、損害額が小さく、一部損に認定されてしまうような場合は契約金額の5%しか支払われないので、地震保険に加入するかどうかは個々の生活環境や経済力等を考慮しながら検討した方がよいかもしれません。
地震保険は民間と政府が共同で運営(一定規模以上の支払保険金が生じた場合は、保険金の一部を政府が負担)している公共性の高い保険制度です。
しかし、1回の地震による保険金の総支払額は、2011年10月1現在、5兆5,000億円となっています。
この金額は関東大震災クラスの地震が起こっても十分な補償がなされるほどの金額だと考えられていますが、万が一、この支払総額を超えるような損害が発生した場合は、保険金が減額されるということも押えておきましょう。 |
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