今回は『新・食・缶ベーカリー』という缶入りソフトパンを食べてみたいと思います。
パンの缶詰を販売しているメーカーは、一通りチェックしたつもりなので、初めて見るこのパン缶は、最近、市場に投入された新商品ではないかと思われますが、もしかしたら単に私がノーチェックだったというだけのことかもかもしれません。
いずれにせよ、商品の種類が多ければ多いほど、消費者の選択の幅が広がるので、非常食を購入する側にとっては歓迎すべきことでしょう。
したがって、自分好みのフレーバーや食感のパン缶を備蓄していただければと思うので、私の食レポが少しでも参考になれば幸いです。
新・食・缶ベーカリーの販売元は、アストという株式会社ですが、製造元は株式会社ヤタローとなっています。
失礼ながら、どちらもあまり聞き慣れない社名だったために、少し調べてみたところ、アストは主に家庭紙や家庭日用雑貨の卸売販売、企画・販売を行う株式会社で、ヤタローは菓子類(バウムクーヘン、ラスク等)やベーカリー事業に力を入れている食品メーカーだということがわかりました。
なお、『新・食・缶ベーカリー』は、昨年(2013年)新発売した非常食らしいので、やはり私が見過ごしたというわけでなく、新商品だったようです。
さて、この『新・食・缶ベーカリー』、3年以上の長期保存可能なパン缶としては、フレーバーの種類が多く、6種類( コーヒー、黒糖、ミルク、ストロベリー、チョコレート、キャラメル:2014年10月現在)の味が楽しめるので、その点は評価したいところですが、ただひとつだけ気になることがあります。
それは、賞味期限に関することです。
というのも、『新・食・缶ベーカリー』の賞味期限は、3年間(コーヒー、黒糖)と5年間(ミルク、ストロベリー、チョコレート、キャラメル)に分かれますが、3年物と5年物とで特にパン缶のラベルデザインに違いが見られないため、人によっては、すべての商品が5年保存可能だと勘違いしてしまうおそれがあります。
そのため、できれば3年保存可能な商品と5年保存可能な商品が一目で判別できるような工夫(デザインを変えるなり、賞味期限をデカデカと表記するなど)が欲しい!というのが個人的な意見です。
それでは、今回試食する黒糖味について、まずはラベルチェックからしていきましょう。
缶詰のサイズや形状、内容量(100g)、賞味期限の記載場所、プルトップ式という点は、これまで私が食べてきた一般的なパン缶とほぼ一緒です。
また、この保存パンもやはり温めるとさらに美味しくなるようで、電子レンジが使える環境にあれば、温めてから食べることをおススメしていますが、このパン缶の面白いところは、電気が使えないようなら、缶のまま太陽光に30分程度当ててみなよ的なアドバイスが記載されている点です。
非常に原始的な方法であり、試してみようかとも思ったのですが、生憎と空を見上げると曇り空が広がっているため、実験することができませんでした。
プルトップに指を引っ掛けて開缶すると、『マフィン's工房』シリーズや『生命のパンあんしん』シリーズなどと同じように、パンは逆さまの状態で納まっています。
缶詰とパンとの間には、いくらか隙間があるので、簡単に取り出せそうな気がしましたが、パンの頭の方が思いのほか大きく膨らんでいるらしく、単に缶詰をひっくり返したくらいでは取り出せません。
そこで、多少強く振るか、缶詰を叩いて取り出す必要がありそうです。
これまで食べてきた2個入りでないパン缶(アキモトやボローニャなど)の場合は、どれも保存パン全体が薄紙でスッポリと包まれていましたが、この『新・食・缶ベーカリー』に関しては、どうやら『マフィン's工房』とまったく同じ(?)カップ式の薄紙が使用されているようです。
こちらが『新・食・缶ベーカリー』シリーズ、黒糖味の保存パンです。ちょうど中心部でくの字に曲がってしまっているので、「どうも、はじめまして!」と、まるでお辞儀をしているかのように見えます。実に礼儀正しいパンです。
パン生地に黒糖蜜が練り込んであるだけに、全体的にやや黒みがかったきつね色をしたパンで、黒糖の香ばしい香りがふんわりと漂ってきますが、見た目以上にしまったしっかりとしたパンであり、フカフカ感はまるで感じられません。
一方、パン表面は照りもなければ油分も少なく、非常に乾いたカサカサとしたパンなので、手がべとつくようなことはほとんどありません。
『新・食・缶ベーカリー』シリーズの長期保存パン黒糖味は、アキモトのパン缶に比べると、ふっくらとしたソフトパン的な要素はどこにも見当たりませんが、果たして味の方はどうなのか、さっそくいただいてみましょう。
保存パンをナイフで縦にカットしてみた断面図がこちらです。
内部もしっとり感は少なくパサついた印象を受けます。
さらにあらゆる角度からナイフを入れ次々にカットしてみましたが、特にこれといって場所による断面図の違いは確認できませんでした。
というわけで、さっそく一口食べてみました。
黒糖の香ばしい風味や甘みは十分に感じられますが、予想どおり、とてもパサつき感の強いパンなので、口の中の水分が必要以上にもっていかれてしまいます。
さらに、生地が硬くしまっていることが、パサパサ感をより際立たせてしまっているようで、とにかく喉が渇く!
この種のパン缶を一度も食べたことがない方は『かにぱん』を想像してみてください。
大半のパン缶は、あのパサついた、そこそこ硬めの食感に似ているものが少なくありません。
缶ラベルにも記載されているくらいなので 『新・食・缶ベーカリー』は、常温よりも温めてから食べた方が美味しいのでしょう。
というわけで、今回の保存パンも、さっそく2通りの方法で温めてみることにしました。
まずはパンをサランラップでくるみ、電子レンジ(500W)で20秒ほど温めてみたところ、常温にはないふっくらとしたパンに仕上がっていました。
パサパサ感も、いくらか軽減されており、飲み込みやすくなっているので、常温の時よりはだいぶ食べやすくなっています。
次にオーブントースターを使って、軽く焦げ目がつくまで焼いてみました。
表面がカラッとしており、とても香ばしい匂いがしてきます。
焼いた分、水分が減っていますが、パサつきとは違ったザクザクッとした食感が楽しめるので、食パンはトースターで焼いたものが好きだという方には、おススメの食べ方です。
どちらの食べ方も常温よりもパサつき感が気にならない食べやすい食感のパンに仕上がっているので、電子レンジが使える環境にある場合は、できるだけ温めてから食べることをお勧めしますが、生地の柔らかいフワッとしたパン缶を求めているという方には、やはり王道のアキモトのパンの缶詰がお勧めです。
ちなみに、どうでもいいことですが、『新・食・缶ベーカリー』の缶詰に貼り付けてあるラベルは紙製なので、水で洗うと、比較的簡単に外せるため、食後はペン立てや小物入れとして再利用することができます(『生命のぱん あんしん』のように、キャップ付きならなおよかった)。