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食レポ16|美味しい防災食:豚汁編

美味しい防災食:豚汁を食べてみた感想entrance

今回、試食する非常食はアルファフーズ株式会社の美味しい防災食です。

シリーズ化されているので、様々なメニューが用意されていますが、どれも素朴な味という点で共通しています。

※メニューの一例:さば味噌煮、肉じゃが、筑前煮、きんぴらごぼう、ハンバーグ煮込み、牛丼の具、梅粥、ぜんざい…など。

これは、アルファフーズの美味しい防災食が「普段の食事が食べたい…」「味気のない食事で元気が出ない…」といった被災経験者の声を参考にして作られた非常食だからです。

ちなみに、美味しい防災食シリーズは、UAA製法と呼ばれる技術で作られたレトルトパウチ食品で、温めずにそのまま食べても美味しいとのこと。

※UAA製法とは、調理済みの食材をコンピューター制御による多段階の温度管理・殺菌システムで処理し、4層アルミパウチ袋に不活性ガスを充填・密封することで美味しさそのままに常温での長期保存を可能とした製法のこと。

そこで、温めなくても本当に美味しいのか、実際に食べて確かめてみましょう!


美味しい防災食の豚汁とは?

冒頭でも説明したように、美味しい防災食はメニューが豊富ですが、今回は豚汁を食べてみることにします。

豚汁と言えば、寒い時期によく振る舞われる炊き出しの定番ですが、これは豚肉から出る脂がスープの表面を覆うため、冷めにくくなるから【参考:ウィキペディアより】といった理由があるのだそうです。

いずれにせよ、日本人にとって味噌を使った汁物はご飯に欠かせないものであり、中でも豚汁は野菜が多く使われていることから、栄養学的にも良いそうなので、災害時の食事としてはうってつけのメニューであることは間違いありません。

では、まずはパッケージチェックから・・・。

豚汁のパッケージ

見た目は、どこにでもある特にこれといって特徴のない普通のレトルトパウチ袋のようですが、賞味期限は5年間なので、おそらく長期保存向きな構造や素材が使われているのでしょう。

パッケージには「いつでもどこでも美味しい防災食」とありますが、「いつでもどこでも」とは、これまたすごい自信です。

一方、裏面には原材料や1食あたりの栄養成分表示(ちなみに、豚汁は1食分で106kcal)、賞味期限など、基本的な内容が書かれています。

パッケージチェック

また、調理方法を見ると、湯煎や電子レンジで温める他に開封してそのままといった説明がしっかりと記載されています。

では、さっそく調理に入りましょう!

・・・と、いきたいところですが、今回は温めるようなことはしません。

なぜなら、この美味しい防災食は、従来のレトルトパウチ食品とは違って、常温のままでも美味しく食べられる!というのがウリだからです。

もし本当に、温めなくても美味しくいただけるのであれば、これはとても優れた非常食になり得ます。

というわけで、とりあえずは何も手を加えず、食べてみることしますが、冷めた豚汁は本当に美味しいのだろうかという一抹の不安が残った小心者の私は、秀吉の逸話よろしく、懐で軽く暖めるという姑息な手段を用いましたが、この行為が果たして吉と出るか、それとも凶と出るか・・・

袋を開封した直後の画像がこちらです。

豚汁の脂

うーん ――――――

これ・・・どうみても、浮いてますよね?

内袋にべっとりと貼りついてる白いモノ、これ分離した脂ですよね?

・・・・・・・・。

今は12月なんで、部屋の温度は春や夏に比べれば低め(約18℃)ですが、災害は時と場所を選びませんからね。

・・・これで本当に美味しいのでしょうか?

冷めた豚汁の味に、かなり不安を持ちはじめましたが、このまま眺めていても仕方がないので、とにかく器に移し替えてみることにしましょう。

冷めた豚汁

器に移し替えてしまうと、分離した脂は、さほど気にならなくなりましたが、やはり味の方は不安です。

見たところ、美味しい防災食の豚汁は、煮崩れて細切れになってしまった、そこかしこに浮いている豚肉が若干気になりますが、パッケージにプリントされていたイメージ写真と、それほど大きな違いはないようにも思えます。

一番存在感があるのはゴロッとした里いもですが、人参やコンニャク、うすあげといった野菜類は、どれも平均して大きめのサイズで、量も申し分ありません。

一方、豚肉の方は少し脂身が目立ち、細切れになっているものを多数目にしますが、果たして冷めた豚汁は本当に美味しいのでしょうか?

依然、不安は残ります・・・

矢印

美味しい防災食の豚汁を食べてみた感想と評価

まずはスープから・・・

豚汁のスープ

見た目はこんな感じで、良くも悪くも普通の味噌スープですが、一口啜ってみた感想は…

――――― 薄っ!

特にまろやかさは感じられず、コクや深みもないため、あっさりとしたシンプルな味わいです。

※ 夏場や汗をかいた後では、もう少し塩分のある他商品の方がいいかも…

しかし、それにしても、やはり冷めた味噌スープは正直あまり美味しいとは感じられません。

では、次に具の方を食べてみましょう。

まずは、里いもから。

数的には1つと寂しいものですが、その大きさは直径約3.5cm程で、非常に存在感があります。

味の方はスープ自体が薄いので、薄味で中まで染みている感じはなく、若干ボソボソッとした食感が残ります。

里いも特有のホクホク感や歯ごたえは決して満足のいくものではありませんが、通常のレトルト食品などに比べれば、そんなに悪くはないのかもしれません。

コンニャクについては、触感が変わることはほとんどないので、コンニャク特有の適度な弾力や食感を楽しむことができます。

豚汁の具材1

では、人参はどうか・・・?

サイズや厚みはまずまずで、量が多い点が嬉しいところですが、肝心の味や食感の方はというと、やはりこれも里いもと同じような印象を受けます。

レトルト食品全般に言えることなので、なにも美味しい防災食の豚汁だけに問題があるわけではないのですが、加圧加熱方式で作られているため、人参やジャガイモなどの野菜は、大抵、食感がグシャグシャになってしまい、本来、野菜がもっているホクホク感や歯ごたえが台無しになってしまいます。

その点は、ある程度、覚悟していたので、そう考えれば、通常のレトルト食品に比べると、なんとなく噛みごたえが残っているようにも感じられる人参といえるでしょう。

豚汁の具材2

ごぼうはサイズは大きいのですが、厚みの方はあまりありません。

しかし、食感は思っていたよりも悪くなく、歯ごたえがあり、シャキシャキ感を楽しむことができます。

豚汁の具材3

うすあげについては、大きさはまずまずなのですが、ボソボソッとした感じで締まっており、あまり触感がよいとは言えない出来でした。

最後にメインの豚肉ですが、見た目どおり、煮崩れてしまって脂身も多く、口に入れるとボソボソッとした食感とともにホロホロと崩れてしまうので、肉のうまみや歯ごたえはほとんど感じられませんでした。

豚汁の具材4

以上、美味しい防災食の豚汁を一通り食べてみた結論は、冷めた豚汁はあまり美味しくない!ということです。

温めた豚汁2

おそらく、この結論は美味しい防災食に限らず、どんな豚汁にも同じことが言えるのではないでしょうか。

やはり、冷めた豚汁は美味しくないんです!

そこで、こうなることもある程度予想していた私は、完食せずに残した状態の豚汁を温めて、再度、試食してみることにしました。

温めた豚汁

見た目は、温める前のものとあまり変わらないような気がしますが、味の方はgood!

コクや深み、まろやかさや食感がアップしたというわけではありませんが、体が温まっていく感じを含め、ホッとした味になるので、冷めた状態の豚汁よりも間違いなく食が進みます。

完食

美味しい防災食シリーズは、温めずともそのままの状態で食べられるというのがウリのひとつになっていますが、やはり温めることのできる状況下にあるときは、なるべく温めてから食べた方が美味しいのではないかと思われます。

しかし、レトルトパウチ食品で5年間という長期保存できる点は魅力的なので、ご飯を食べる際にはできるだけ汁物と一緒にとりたい!という方は、通常のものよりも味や食感がよい美味しい防災食シリーズの豚汁を備蓄しておくのも悪くはないかもしれません。