災害時に役立つ缶詰といえば、大半の方は非常食と答えるのではないでしょうか。
かくいう私も、その内の1人なので、まさかこんなものまで缶詰となって販売されていると知ったときは驚いたものです。
では、こんなものとはいったい何か・・・
それは、ズバリ、ガソリンの缶詰です!
このユニークなガソリン缶詰は、静岡県にあるガソリン缶詰株式会社が製造販売している目玉商品のひとつ(他にも軽油や混合ガソリン、白灯油なども販売)で、なにも災害発生後の非常時だけに利用されるのではなく、車のガス欠やモーターボート、ジェットスキーなどの小型船舶の予備燃料として備えることもできるため、万が一のトラブルを避けたい性格の人にはもってこいの人気商品となっています。
しかし、ガス欠や予備燃料として使用するのであれば、わざわざガソリン缶詰を購入しなくても、専用の携行缶に入れて持ち歩いた方が価格も安いし便利なようにも思えます(ガソリン缶詰は、とにかく高い!)。
にもかかわらず、ガソリンの缶詰の需要があるのはなぜか?
それは、やはり長期保存に優れているからです。
通常、空気に触れたガソリンは、1年もたたずに劣化してしまうため、市販の携行缶で長期保存することはまず無理で、長期間使わなかった携行缶のガソリンは使用することができません。
もし、劣化したガソリンを使ってしまうと、発電機や車のエンジンを破損させることになり、かえって修理代の方が高くついてしまうことでしょう。
ところが、このガソリン缶詰の使用期限は非常に長く、使用期限はなんと3年間!
空気に触れたガソリンは、酸化により1年ももたずに劣化してしまうことを思うと、その使用期限は実に3倍以上です。
あの東日本大震災直後の関東・東北地方では、ガソリン不足により、価格の高騰どころか、GSで給油までに何時間も並んだ・・・あるいは、給油することすらできない状況がしばらく続いたため、非常に困った経験をされた方も多かったのではないでしょうか。
私もそのひとりで、給油してくれるGSを探すのにえらく苦労し、それでも見つからなかったため、ついには諦め、なるべく車は使わないようにしたものです。
その経験があったからこそ、ガソリンの缶詰を購入して、非常時に備えよう(少量でも、いざという時に役立つ!)と考えたたわけですが、購入から1年10ヵ月経過した現在、その安全性に不安をいだくような問題が起こりました。
※注意:ガソリンは消防法により、貯蔵制限(40リットル未満は規制なし)があります。
その問題とは何かについて入る前に、ガソリン缶詰の安全性について、次のような説明があったので、その一部を載せておきましょう。
ガソリンの缶詰を販売している通販業者は複数あるようですが、HPには、このような安全宣言を表記しているサイトも少なくありません。
私もその安全性を信じて、車のトランクスペースに入れっぱなしにしておいたわけですが、後2カ月ほどで2年を迎えようとしたある日、段ボールケースの封を開け、ガソリンの缶詰をチェック(だいたい半年に1回くらいチェックしていた)してみると、缶詰に異変が生じていました。
実際の状態を知ってもらうために、何枚か画像をアップしておきましょう。
おそらく、連日の猛暑により車内温度が上がったため、ガソリンが気化することで体積が膨張し、缶詰の歪みを生じさせたものと思われます。
先の安全宣言によると、缶内の温度は30度以内に保たれるはずなのですが・・・これはいったいどういうことなのでしょう。
缶詰の変形はよく見られることなのか…?
このままトランクスペースに放置したままで、本当に安全性は保たれるのか…?
この状態のまま開封してもよいのか…?
そもそもガソリン自体の品質に問題はないのか…?
不安になった私は、ガソリン缶詰の購入先である業者に安全性について直接問い合わせてみましたが、話の内容をまとめると、だいたい次のような回答だったように思われます。
つまり、どうやら安全性や品質に関しては特に問題ないようです。
しかし、できるだけ早く使い切ってほしいといった点が気になります。
そもそも非常時に備えて備蓄するため、わざわざ高い金を払って購入しているので、まだ、1年以上期限が残っているのに、今使ってしまっては、3年間という使用期限を信じて購入した私としては少し納得がいきません。
そこで、このまま使用期限である3年間経つまで保管していると危険なのかと質問したところ、『問題はありません』という返答が返ってきましたが、果たしてどこまで信用してよいのやら・・・どうにもこうにも不安が残ります。
そこで、今度はガソリン缶詰の製造販売元であるガソリン缶詰鰍ノ直接問い合わせてみることにしました。
その時のやり取りをまとめると、概ね次のような感じです。
以上!
どうやら、缶詰に歪みが生じても、使用期限内なら安全性や品質に問題はないようです。
というわけで、一応納得はしましたが、いずれにせよ膨張して気化したガソリンが充満している状態の缶詰を使う際は危険であるということに変わりはないでしょう。
穴を開けた際には、おそらくプシュー!!という音とともに気化したガソリンが勢いよく噴出されてくることが予想されるので、缶が熱をもった状態で開けるのは危険と思われます。
そのため、いくら安全性の高い高品質の特殊加工された鉄缶であるとはいえ、ガソリンの缶詰を開ける際には細心の注意が必要だということは十分に肝に銘じておいた方がよさそうです。
とはいえ、車のトランクスペースのような異常な高温状態が続く場所は別として、それ以外の涼しい場所で保管するのであれば、この特殊な鉄缶が変形してしまうようなことはないと思われます。
そのため、夏場の車内には放置したままにしないということであれば、ガソリンの缶詰は非常に重宝するアイテムであることは間違いありません。
災害はいつどこで起こるかわからないものなので、いざという時に備えて常備しておくと安心かもしれません(私も、これに懲りずに定期的に買い換え、今後も保管しておく予定)。
それにしても、私のようにガソリン缶詰が膨張して変形してしまった!という方はいるのでしょうか、気になるところです・・・