いろいろなことが制限されてしまう大規模災害時は、食事の時間が唯一の楽しみであったと答える被災経験者は意外と多いようです。
そんな彼らの意見に耳を傾け、これまでなかったようなメニューの開発に力を入れる企業も徐々に増えており、近年はアルファ米やパンの缶詰といった主食系以外の長期保存食もかなり充実してきました。
当食レポでも、麺類やスープ、おやつ系の長期保存食を紹介していますが、今回は前から気になっていた「IZAMESHI(イザメシ)」から、ご飯のお供に良さげなオカズ系の商品を試食してみたので、私と同じようにイザメシに少なからず関心のある方の参考になれば幸いです。
IZAMESHI(イザメシ)を販売するのは、東京都墨田区に本社を構える杉田エースと呼ばれる株式会社です。
同社はもともと建築金物の専門商社として1934年に創業(杉田商店)した老舗企業で、創業50周年に当たる1984年に称号を現在の杉田エース株式会社に変更しましたが、同社が2014年9月に新発売した長期保存食が「 IZAMESHI(イザメシ)」です。
イザメシはシリーズ化されており、充実したラインナップが魅力のひとつですが、今回、私がチョイスした商品は、こちらのぶり大根≠ノなります(税抜き:430円)。
容器は尾西食品やサタケのアルファ米商品と、ほぼ同サイズのスタンドパック式(底が広がる)を採用していますが、アルファ米とは違い調理済みの食品を密封しているため、手に持つとズシリとした重みを感じます(総重量:218g)。
ちなみに、ぶり大根の賞味期限は製造から3年となりますが、イザメシはシリーズによって保存期間が3〜5年(一部商品を除く)に分かれるため、特に賞味期限を重視するような方は、しっかりと確認してください。
一方、パッケージ裏面には原材料名や内容量、栄養成分表、アレルギー物質など、商品に関する基本情報が記載されているので、特に持病のある方やアレルギー体質の方は忘れずにチェックしておきましょう。
先にも触れたように、イザメシは調理済みの食品を密封したレトルト食品であり、パッケージにも「封を切ってそのままお召し上がりいただけます。」との説明があります。
そこで、今回は火や電気がまったく使えないような状況下を想定して、常温のまま食べてみることに・・・
というわけで、切り口に沿って開封した直後の袋の中身がこちらになります。
ご覧のように袋のままではぶり大根の様子が少し分かりづらいため、用意しておいた器の方に中身を移し替えてみました【画像:中央】。
イザメシ・オリジナルシリーズの常温のぶり大根≠ェこちらになります。
ぶりの切り身が2切れ、半月状の大根が3つ入っており、サイズも大きいため、なかなかのボリュームです。
せっかくなのでパッケージにプリントされていた調理イメージと比較してみましたが、画像の方が照りがよく、より美味しそうに見えるものの、実物も思っていたより悪くなく、定食屋さんで出されていても違和感ないクオリティのぶり大根といった印象を受けます。
では、肝心の味の方はどうなのか・・・
煮汁は澄んだ琥珀色をしており、臭み取りのきざみ生姜やブリの下処理をしっかりと行っているためか、思いのほか生臭さは気にならず、醤油ベースのすっきりとした味わいに仕上がっています。
個人的には、もう少し甘めの味付けでも良かったような気もしますが、その辺は好みの問題となってくるので、醤油ベースのすっきりとした薄味は万人受けする当たり障りない味付けなのかもしれません。
では、メインのブリはどうか・・・
正直、これほど大きなサイズ(約12〜13cm)の切り身が2切れも入っているとは思っておらず、量については申し分ありません。
また、そこそこ肉厚(1.5cm前後)で食べごたえがあり、小骨もひとつもなく、しっかり骨抜きしてある(たまたま?)ところも評価したいところ(皮も柔らかく、すべて食べられる)!
ただ、身自体は少しパサついており、硬くしまっているため、食感がいまひとつであった点が残念と言えば残念なところかもしれません。
一方、大根の方は、ご覧のように、こちらも肉厚(直径:約5.5cm / 厚み:約2cm)で、中心部まで煮汁がしっかり染みており、箸でスッと切れるほど柔らかでジューシーな大根を味わうことができます。
以上、イザメシ・オリジナルシリーズの「ぶり大根」を実際に食べてみましたが、常温で3年保存できるレトルト食品としては、味&ボリュームともに十分満足できるオカズであったというのが率直な感想です。
ただ、保存期間が3年とやや中途半端で価格が少し高いこと、また、アルファ米などに比べると重量があり、携帯にはあまり向かないため、非常持ち出し袋に入れておくような非常食というよりも、家庭で備蓄しておくタイプの長期保存食と言えそうです。
正直、ぶり大根のようなオカズを、いざという時の非常食として備蓄しておく必要があるのかという疑問もないわけではありませんが、冒頭でも述べたように、災害時の唯一の楽しみは食事!と考える方も中にはいるので、食事を何よりも楽しみにしているという方は、普段食べ慣れているこの手のオカズをいくつか備蓄しておくのも良いかもしれません。
1食分でオカズとしては十分なボリュームがある! 常温のまま食べても、それほど生臭さを感じない! 定食屋で出されていてもおかしくないレベルのブリ大根! 切り身はややパサついているが、大根は柔らかくジューシー! 小骨もなく皮まで食べられるため、余すところなく食べられる! スタンドパック式の袋を採用しているが、食べるには箸などが必要! 3年間という保存期間が中途半端で価格もやや高め… そもそも非常食にブリ大根≠ヘ必要なのか?といった葛藤がなきにしもあらず… |