今回、私が試食する商品は北九州名物・スピナのくろがね堅パンです。
これまで何度かテレビや雑誌、新聞等のメディアで紹介されているので、商品名くらいは知っているという方も多いかもしれませんが、とにかく話のネタになる凄いビスケットなんだそうです。
では、いったい何がそんなに凄いのかというと、それはズバリ、硬さ!
実際に、くろがね堅パンを食べたことのある人のレビューを見ると、「歯が折れそう…」「まったく噛めない!」「まるで石のようだ!」といった、とても食べ物とは思えない表現のコメントが多数残されており、そのあまりの硬さに思わず笑ってしまうほどとか・・・
ここまでくると、かえって興味をそそられてしまう方も多いのではないでしょうか。
かく言う私も、その一人なので、今回の試食レポは、このスピナのくろがね堅パンを食べてみたいと思います。
あれ、試食レポは非常食を食べる企画ではなかったのか?と思った方も中にはいるかもしれませんが、その点は抜かりありません。
くろがね堅パンは、水分を徹底的に抜いた食品であり、保存性にも優れているので、賞味期限は製造から約1年半となっています。
さらに、災害時向けに作られたスチール缶入りの堅パンもあり、こちらの商品は特性のスチール缶を使用しているため、賞味期限はなんと5年、かつ、容器は水汲み用のバケツや、腰掛け用の椅子としても利用できる優れものです。
というわけで、くろがね堅パンは十分非常食になりえる食品と言えます。
くろがね堅パンは、株式会社スピナ(北九州市八幡東区)が製造販売する商品で、北九州市食の認定ブランドにも選定されている、今では北九州を代表する立派な名産品となっています。
さて、この堅パン、購入しようと楽天市場で調べてみると、5枚入、10枚入、5枚入×20袋、10枚入×3個セット…スチール缶(5枚入×34袋)などなど、モノは同じでも、購入できる枚数のバリエーションがやたらと多い!
そこで、どのくらいの量を買おうか迷いましたが、よくよく考えてみたら、硬すぎて食べられないこともありうるので、とりあえず、もっとも購入枚数の少ない5枚入りのものをチョイスしてみました。
5枚入りのくろがね堅パンの価格は200円前後なので、もし仮に噛めなくて食べることができなかったとしても、後悔するような金額ではないでしょう。
さて、こちらの商品が私の手元に届いたスピナのくろがね堅パン5枚入りです。
パッケージは赤と白を基調とした非常にシンプルなデザインで、よく見ると「健康はアゴから」という、素敵な名言がさりげなくプリントされています。
また、パッケージ側面に目を向けると、堅パンの簡単な自己紹介と歯の弱い方に対する注意書きが見られます。
ところで、このパッケージを見る限りでは、くろがね堅パンの栄養成分表示などは一切記載されていないようです。
そこで、堅パン1枚当たりのカロリーが気になったので少し調べてみましたが、公式サイトでも特に表記されておらず、また、個人サイトなどではカロリー数値がそれぞれ異なるので、どうもはっきりしません。
そこで、カロリー問題を解決すべく、スピナの担当部署に問い合わせ、直接、聞いてみることに・・・
その結果、くろがね堅パンの1枚当たりのカロリーは110kcalであるとの回答いただきました。
製造販売元のスピナから聞き出したデータなので、最も信頼のおける数値かと思われます。
では、カロリー問題が解決したところで、さっそく袋を開けて、くろがね堅パンを取り出してみましょう。
・・・ん?
えっ !?
うそっ!!
えぇぇぇ―――っ!!!
あんだけ堅い堅いと言われている堅パンが、1枚残らず、ものの見事に割れているじゃないですか!
目を疑いたくなるような衝撃的な事故現場を目撃して、一瞬、呆然としてしまいましたが、これはいったい・・・
・・・・・。
私はなにかスピナさんを怒らせ、嫌がらせを受けるような悪態を知らず知らずのうちにしていたのでしょうか?
それとも、配送途中に何かしらのアクシデントがあったのか !?
いや、たとえアクシデントがあったとしても、堅パンてとにかく硬いんでしょ !?
鉄を意味する「くろがね」が商品のネーミングにもなってるくらいなんだから、ちょっとやそっとの衝撃では割れないんじゃないの?
何とも言葉にはできない、もやもやとした気持ちになりましたが、調べてみると、どうやら私と同じような経験をされている方が意外と多い・・・
そこで、なぜこんなことになるのか少し調べてみたところ、その疑問に答えてくれるような文面を見つけることができました。
―――― なるほど。
確かに今日は12月半ばで、部屋にある湿度計を見ると30%を切っており、非常に乾燥した時期です。
ということは、この割れは商品の特質上、スピナさんにもどうすることもできない困った点なのかもしれません。
そう思うと、どうも悪いのは乾燥が激しい冬場の真っただ中で食べる私の方に問題があるような気がしてきました。
しかし、理由はどうあれ、この現実を目の当たりにしてしまうと、くろがね堅パンの堅さに疑問を持ちはじめないでもありませんが、まあ、スピナさんの故意による嫌がらせではないということが分かったので、ここはよしとしましょう。
割れてしまったものは仕方がない・・・
幸い粉々に砕け散っているわけではないので、とりあえず修復して堅パン本来の形を再現してみました。
なんとなく全体的に形が歪んで見えますが、表面だけ見ると、鎌倉土産の定番、鳩サブレを思わせる質感を感じさせなくもありません。
また、断面図を見ると、乾パンとはかなり違った密度のスゴイ締まったビスケットであることがよくわかります。
では、いよいよくろがね堅パンの硬さがいったいどれほどのものなのか、実際に食べてみることにしましょう!
20年以上、歯医者に行ったことがなく、健康で丈夫な歯だろうと自負しているつもりなので、ちょっといい気になっている堅パンにぎゃふん!と思い知らせて返り討ちにしてやりたいと思います。
いざ、ひと噛み!
――― カッタッ!!
これは・・・・確かに硬い!
妻の夫の小遣いに対する財布の紐くらいの堅さは十分にありそうです。
おそらく、このまま前歯で噛み砕こうとすると、折れないまでも、歯が欠ける程度のダメージは被りそうなので、ひとまず休戦・・・
そこで、今度は食べ方を変えて、リベンジ!
バキッパキッ!!!!
おっ! ・・・イッたか!?
おれの歯・・・?
一瞬、奥歯に激しい鈍痛を覚えましたが、どうやらリベンジ成功のようです!
一旦、パキポキッと噛み砕いてしまうと、あの硬さが嘘のような適度な硬さに化けるので、飲み込むまで硬いということはありません。
後は特に抵抗なく噛み砕いて、ふやけたところで胃の中に押し込んでしまいましょう。
確かに堅いことは硬いのですが、奥歯で噛みつけば、想像していたほど硬いという感じはありませんでした。
実際に食べてみた結果、このくろがね堅パンは食べ方にコツがあるようで、奥歯で噛める状態にもっていってから噛みつくことがポイントです。
決して前歯で噛み砕こうとは思わないでください。
大げさではなく、何かしらのダメージを負う恐れがあるので、非常にリスクの高い食べ方です。
とはいえ、堅パンを噛み砕くときの音が、非常に小気味いいパキポキッパリッという甲高い音がするのですが、なんとなくガラスを食べているような感じがします(もちろん、ガラスを食べたことはないんですが、ガラスを食べたらこんな食感がするんじゃないかなといった印象ですが…)。
また、味については、どこかで食べたような懐かしい味だなーと思って、しばらく考えていたら、タマゴボーロの味になんとなく似ていることに気付きました。
したがって、とても美味しいという味ではありませんが、30〜40代以降の方が、くろがね堅パンを口にすると、どこか懐かしいような素朴な甘みを感じることができるのではないでしょうか。
個人的には、まるで石のようだ!鉄をかじっているみたい!といったそこまで硬いという印象はありませんでしたが、高齢者や歯の弱い方が食べるには、かなりリスキーな食べ物であることは間違いありません。
まあ、そういう方がくろがね堅パンを非常食として備蓄するようなことはないと思われますが、もし、非常時に手元にある食料が堅パンしかなかったら・・・?
くろがね堅パンのパッケージ側面にも書かれていますが、コーヒーや牛乳などに漬けると柔らかくなって噛みやすくなるらしいので、歯に自信のない方でも食べることができるそうです。
そこで、ホットコーヒーを用意して、堅パンをしばらく漬け込んでみることに。
表面がグズグズに溶け、見た目はお世辞にもあまり美味しそうに見えなくなってしまいましたが、硬さの方はどう変化したのか、さっそく食べてみましょう。
―――――― うーん。
なんていったらよいのでしょうか。
正直、それほど柔らかくなってない・・・
表面はとろけてフニャッてしまっているので食感もなにもありませんが、中心部は相変わらず硬い!
どうやら、5分程度浸したくらいでは、依然として硬いままのようです。
そのため、中心部まで柔らかくするなら、少なくとも10分程度は必要なのかもしれません。
次にパッケージには書かれていませんでしたが、くろがね堅パンをレンジでチンしてみたらどうなるのか?
さっそく実験してみましょう!
ラップにくるんで、500Wで1分30秒ほど温めてみます。
見た目はまったく変わりませんが、ホカホカです。
では一口!
―――――― これは・・・
正直言ってマズイ!
温めたことでフカフカな食感に変わり、歯形が残るほど柔らかくなりましたが、シケッてる・・・
何とも表現しがたい、強烈なシケせんべいのような食感を感じさせます。
パリッ!サクッ!とした食感は一切期待できません。
あえて擬音で表すならふぁほぅ(意味不明…)といった感じでしょうか?
ラップでくるんでしまうと、蒸すような状態になるため、このような食感になってしまうのでしょう。
硬さを取るという目的は達成しましたが、これはまったくお勧めできる食べ方ではありません。。
ちなみに、ラップをせずに再度温めてみたところ、シケッた感じは減りましたが、その分、硬さはほとんど変わらず・・・
くろがね堅パンを電子レンジで温めるという食べ方は、どうやら適していないようです。
今思うと、歯の弱い方には、むしろ最初から割れていた方が食べやすいのかもしれません。
いずれにせよ、くろがね堅パンは非常食にはなるものの、食べられる人が限定されそうなので、あまり万人にお勧めできる非常食とは言えなさそうです。
しかし、その硬さに思わず笑ってしまうという、ある意味、笑顔をもたらす食べ物にはなりそうなので、話のネタとして1袋くらい備蓄しておいてもよいかもしれません。
ちなみに、堅パンを調べていたら、こんな商品を発見しました。
なんとメガネの形をした堅パンです。
福井県の新名物になるかもしれないこの眼鏡堅パンは、胡麻の風味が効いている堅パンだそうなので、興味のある方、話のネタにしたい方は、ぜひどうぞ!