今回は、サン印向山食品工業の救命ライスという非常食を紹介したいと思います。
サン印は手羽ぎょうざ(鶏の手羽先に餃子の具を詰めて揚げたもの)で名を広めた会社で、主に鶏肉を主とした加工食品を製造しているようですが、なぜか非常食にも関心を持ったらしく、水や加熱処理不要の非常食『救命ライス』を製造販売しています。
サン印の手羽ぎょうざ・・・
会社HPの写真を見ると、とても美味しそうに写っており、一度は食べてみたいものですが、手羽ぎょうざの食レポとなると、この企画の趣旨が大きくブレてしまうので、今はとりあえず目の前にある救命ライスを食べてみましょう。
私が手に持っているこちらの非常食が救命ライスのしお味です。
しお味とあえて強調したのは、味にバリエーションがあり、他にもカレー味やうめ味が販売されているからです。
さて、この救命ライスですが、お世辞にもメジャーな非常食とは言えないので、知っている人よりも、知らないという人の方が多いのではないでしょうか。
そこで、食べる前に、まずはパッケージの方から少しチェックしてみたいと思います。
下記にアップした画像からも分かるように、特にこれといって特徴のない地味な外装で、非常食らしいといえば非常食らしい印象を受けます。
アルミ袋に貼り付けてある裏面のラベルに目を向けると、品名欄にフライドライスと表記されていることから、救命ライスとは、どうやら米(うるち米)を揚げた食べ物であることが分かります。
また、救命ライスの賞味期限は、製造日から常温で5年間(旧商品の賞味期限は3年間なので、どうやら延長したらしい)と長期保存が可能なので、交換頻度が5年に1回で済むという点は有難いところです。
ちなみに、救命ライス1袋分のエネルギーは530kcalと、量のわりにはなかなかのハイカロリー食ですが、油で揚げてあることを思えば、納得のいく数値といえるでしょう。
なお、パッケージラベルには栄養成分に関する表示はどこにもありません。
この手の非常食はカロリーを気にする人もいるので、できることならカロリー情報なども記載しておいてもらいたいところです。
ところで、先に特に印象に残らない外装と言いましたが、裏ラベルの召し上がり方をよ〜く読んでみると、1つ面白い文章を見つけました。
それは、-50℃でも凍りません、エベレストの頂上で雪と一緒にどうぞ・・・といった箇所です。
日本にいるかぎり、マイナス50度の極寒で避難生活を送ることはまずないと思われますが、マイナス50度でも凍らないから、エベレストで食べてみなよ的な表現は、サン印さんの精一杯のシャレなのでしょう。
では、さっそく開封してみましょう!
・・・と言ってはみたものの、切り口らしい切り込みがどこにも見当たりません。
かといって、手で引きちぎれるようなヤワな袋でもないので、なんだよ!ハサミがなきゃだめなのかよ!非常食にしては不親切な袋だな・・・と、一瞬イラッとしてしまいましたが、よく見ると、なにやら怪しげな部分【下記画像参考】が1ヶ所あります。
その怪しげな部分を切り外し、指でつまんで引っ張ると・・・あら、不思議!
不器用な私でも気持ちがいいほど真っ直ぐに開封することができます(サン印さん、愚痴ってしまってすいません!)。
これは初めて見るタイプの開封方法で斬新ですが、切り口に関する説明がひと言もないのは、やはり不親切です。
せっかちな方は私のようにハサミを探したり、歯で噛みちぎろうとする人もいると思われるので、できれば開封方法に関する説明を記載するか、切り口はココ的な表記くらいはしておいてもらいたいところです。
開封直後の中身はこんな感じで、脱酸素剤が無造作にポンと放り込まれています。
一方、お米の方は、カリッカリに揚がっているらしく、袋を上下に振ると、シャラシャラと軽い音を奏でてくれます。
なお、救命ライスのアルミ袋はチャック付きなので、開封したからといって必ずしも一度に完食する必要はなく、食べたいときに食べたいだけの量を取り出したら、その都度チャックを閉めて保管することも可能です(もちろん、一度開封してしまったものは長期保存できませんが…)。
救命ライスのしお味を食べる前に、内容物を器の方に移し替えてみることにしました。
その画像がこちらです。
お米(うるち米)を、そのまま油で揚げているらしく、米粒の原形を保っていますが、どれもこんがり、カリッカリのきつね色に揚がっていて、香ばしいいい匂いを放っています。
この匂いを身近なものに置き換えて例えるなら、かき餅といったところでしょうか。
まあ、かき餅も中心まで完全に乾燥させてから揚げる食べ物なので、救命ライスのしお味から似たような匂いがしても別に不思議ではありません。
では、さっそく一口食べてみます。
―――― ライスが硬いと言う人もいるようですが、粒が小さいので、それほど硬いといった印象はありません。
むしろ、カリッ!パリッ!とした歯切れの良いクセになりそうな食感のライスで、味の方も、かき餅に醤油を垂らしたものに似ています。
これは意外とイケる非常食ではないでしょうか。
ただし、3つほど気になった点があります。
ひとつは歯にくっつきやすいということ、2つ目は、少々油っぽいので、一度に1袋全部食べてしまおうとすると胃がもたれてしまいそうな感じがするということ、そして3つ目は、少量(数粒程度)づつ食べる分には塩分はそれほど気になりませんが、一度に大量に口の中に放り込んでバリボリ食べると、塩辛さが増すので、喉が渇くといった点です。
そのため、お腹が減っているからといって、この救命ライスを1袋食べるというのは、年齢層(おじさんにはちょっとキツイ…)にもよりますが、少し厳しいような気がします。
では、次にパッケージ裏面のラベルにも記載されていたように、単にそのまま救命ライスを食べるのではなく、少しアレンジして食べてみましょう。
まずは、クノールカップスープのポタージュに投入して、クルトン感覚で食べてみたいと思います。
熱湯で溶かしたポタージュの表面で救命ライスがプカプカと浮いていますが、ひとくち食べてみると、意外とパリパリ感は消えることかく長持ちするので、熱湯に浸しても、しばらくの間は食感を楽しむことができます。
また、今回はしお味ということもあってか、ポタージュの味とケンカしないため、若干、塩分が増したスープにはなりますが、カップスープのトッピングとしては、特に文句のない美味しい一品に仕上がっていました。
次に、牛乳に入れてコーンフレーク感覚で食べられるか試してみましょう!
まずは冷えたままの牛乳の方から食べてみます。
―――― うーん、なるほど。
どうやらコーンフレークとまではいかないようです。
救命ライスを牛乳に浸すことでライスに付いている塩分が拡散して薄まってしまうらしく、とにかく味がしません。
このままではまったく美味しくありませんが、もしかしたら砂糖や調味料などで調節すると、好みの味になるのかもしれません・・・(試してはいない)
では、温めたらどうか?
ホットミルクを作り、救命ライスをパラパラと投入してかき混ぜてみたところ、こちらも冷と同様、食感はありますが、このままではやはり味がほとんどしません。
また、しらばく放置(10分程度)しておくと、救命ライスは徐々にふやけ、食感がなくなっていきますが、パリパリ感がすっかりなくなった牛乳浸けの救命ライスは、一言で表現するなら湿気たせんべい・・・
ぬれせんべいとはまた違うので、はっきりいって私的にはマズい!
個人的には、あまり食べたくない残念な食べ物へと変化してしまったので、救命ライスを汁もの系に浸けて食べるときは、できるだけ食感がなくなる前に食べてしまった方が良いように思えました。
この救命ライスは小腹がすいた時や口さみしいときに少量つまむ程度には美味しく感じられる食べ物ですが、どうしても油っぽいので、一度に大量に食べるようなタイプの非常食ではないような気がします。
また、意外にもカップスープなどにはとても合うので、非常食というよりも、日頃のカップスープのお供に利用したい、そんな印象を強く持った一品です。