食料とは違い、直接、生死にかかわることはありませんが、災害時におけるトイレ問題は、時として食事以上に深刻な場合があります。
※補足:避難所生活が長期化し、衛生面が悪化することで、食中毒や感染症などの2次災害が起こる可能性は十分に考えられます。
そこで、今回は非常食とセットで備蓄しておきたい防災用品にスポットを当ててみました。
その商品とは、携帯簡易トイレ・ミニマルちゃんです。
簡易トイレは非常食のように期限などはないため、基本的に使わなければ交換する必要はありません。
トイレ関連の防災グッズは、まったく念頭になかったという方は、これを機会に検討してみてはいかがでしょうか。
携帯簡易トイレ『ミニマルちゃん』の製造販売元は、株式会社ケンユーです。
株式会社ケンユーは、主にアウトドアや災害時に役立つ商品を販売している製造メーカーですが、水分を瞬時にジェル化する機能を持った特殊吸水樹脂を活かしたトイレ関連商品は同社の主力製品であり、当サイトでも『ベンリー袋』という簡易トイレグッズを過去に紹介【体験レポ4】したことがあります。
今回、使用する『ミニマルちゃん』も『ベンリー袋』と同様、非常時のトイレ対策グッズとなりますが、『ベンリー袋』と大きく異なる点は、便器がセットになっていることです(ベンリー袋は家庭用トイレなどにセットして使用するため、便器は付いていない)。
一般的に便器本体がセットになっているような簡易トイレ商品は高額(数千円〜1万円程度)になりがちですが、潟Pンユーの『ミニマルちゃん』は、便器付きで定価600円と破格の値段になっています。
しかし、いざ!という時に役立たなければ備蓄しておく意味がないので、『ミニマルちゃん』が、いったいどんな携帯簡易トイレなのか、開封して実際に使ってみましょう。
というわけで、まずは商品チェックから!
こちらが潟Pンユーの携帯簡易トイレ『ミニマルちゃん』です。
先ほど、同商品の価格は600円と説明しましたが、この価格はメーカー希望小売価格なので、楽天市場などで価格を比較すれば、商品自体は400〜500円台で購入できるはずです(ただし、送料別が多い)。
『ミニマルちゃん』は、便器付きのトイレにしてはコンパクトサイズ(縦23cm×横18cm×厚み3cmほど)で、総重量も115gと軽量のため、非常持ち出し袋に入れておくのにも良さげな簡易トイレと言えそうです。
パッケージ裏面には商品の特徴や組み立て方、注意事項などの基本情報が記載されていますが、ひとつ気になった点は、特徴欄にある「女性(大人)から幼児まで、どこでも使えます」という説明です。
つまり、あえて大人の女性と断りがあるということは、見方を変えると成人男性には適さない簡易トイレということになりそうです(その疑問の答えについては、後ほど…)。
パッケージを開封し、内容物を取り出すと、@ 便座 A 便器 B 便凝固殺菌剤 C 蓄便袋(3枚)D 持ち帰り袋(3枚)の計5点が入っていました。
便器は折り畳み式で、本体と便座が別々になっています。
以前、紹介したことがある株式会社IWAMAの『ボックストイレセット2』【体験レポ2】は、耐水性の強化合紙ボードで出来ていた便器なので、非常に頑丈で水濡れにも強いつくりをしていましたが、こちらの素材は特に特殊加工されているわけではなく、どこにでもあるような一般的な紙製の段ボールで、厚みがたったの5mmしかありません。
そのため、耐久性&耐水性に不安を抱く便器ではありますが、とりあえず組立ててみましょう!
『ミニマルちゃん』を使用したことがある方の口コミなどをチェックすると、組立て方に若干戸惑う方もいるようですが、底板を下して2ヵ所の突起を便器側面の小穴に差し込めば完成です(理解できてしまえば、作業自体は簡単!)。
なお、便器を組立てる際、特に注意したいことは、乱暴に扱わない!ということです。
不必要な折れ目(すじ)を無駄に作ってしまうと、より強度が落ちてしまう恐れがあるので、この手の工作が苦手な方は、備蓄する前に、一度便器を組立ててみるのも良いでしょう。
こちらは蓄便袋(緑)と持ち帰り袋(白)になります(それぞれ3枚)。
どちらも素材はポリエチレン製で薄手のため、1枚だと中身が透けて見えてしまいますが、色付きの蓄便袋を持ち帰り袋に入れて二重にすることで、中身は分かりにくくなるので、それほど気にする必要はなさそうです(女性の方で不安な方は、色付きのポリ袋などを別に用意しておくことをおススメします)。
一方、こちらは排泄物をゼリー状に固める便凝固殺菌剤ですが、凝固剤については、どうやら『ベンリー袋』と同じものを使っているようなので、以前、記事にした『ベンリー袋』の凝固剤実験の体験レポ4を参考にして下さい。
完成した便器に緑色の蓄便袋をセットし、さらに上から便座を乗せれば簡易トイレの完成です。
では、商品に関する説明はこのくらいにして、今度は商品そのものの性能や使用感をチェックしてみたいと思います。
まず、完成形のミニマルちゃん便器を様々な角度からご覧ください。
写真では便器サイズがいまいちよくわからないかもしれませんが、実際目の当たりにした私の第一印象は「小さっ!」。
手の平からちょっとはみ出すくらいの手乗り便器レベルで、子供向け、大人でも女性用(女性でも大柄な方だとちょっと厳しそう…)という特徴に嘘偽りはありません。
また、サイズだけでなく、薄っぺらい紙製の段ボールなので、パッケージの特徴欄に垂直荷重95kgでも耐えられると書かれていますが、なんとなく耐久性に不安を覚える頼りなさです。
そこで、さっそく便器に腰掛け耐久性や座り心地を確かめてみることに・・・
ハーフパンツを履いているとはいえ、なかなか恥ずかしいポーズです。
ちなみに、画像左にあるあられもない姿、別にふざけて、こんな格好をしているわけではありません。
商品パッケージに書かれていた使用方法の一例(うつぶせ)を実践してみただけなのですが、今思えばやらなければよかったと少し後悔しています(おそらく、介護時などを想定したポーズかと…)。
実際、それぞれのポーズで便器に座ってみた感想をまとめておきますが、はっきりいってうつぶせ≠ヘかなり無理がありました。
車内等の椅子 |
○ | 車内の座席が柔らかすぎると便器が不安定で落ち着いて座れないが、安定感のある硬い椅子などに置いて便器に腰掛ければ、それなりに使いやすいかも。ただし、大人が便座に全体重を委ねてしまうと、便座が曲がり壊れてぺちゃんこになってしまう恐れが頭を離れず、ややお尻を持ち上げた状態をキープしたまま、用を足そうとする自分がいた。 |
正座 | ○ | 思いのほか楽な格好で用を足すことができそうだが、正座で用を足すという経験がないため、なんとなく尿切れが悪そう・・・ |
うつぶせ | × | 便器先端の突起部が下腹部に刺さり、用を足すどころではない! |
オマル風 | ◎ | 個人的に一番やりやすいと感じたポーズ。股間やお尻の位置を動かして調節しやすく、全体重を便座に委ねることもないため、用を足している最中に便器からこぼれたり潰れる心配は回避できそう。 |
以上、潟Pンユーの携帯簡易トイレ『ミニマルちゃん』を実際に使用してみましたが、成人男性でも使用できなくはありませんが、サイズが小さいため、かなり気を遣う便器であることは間違いありません(下記画像に見られるように、慎重に便座に座ってもシワができてしまうありさま…耐久性はあまり期待できない)。
しかし、価格が手頃なこと、コンパクトサイズで軽く携帯にも便利なので、小さなお子様がいるファミリー層や野原でダイレクトに用を足すのはちょっと抵抗があるという方にとっては、形なりにも便器として利用し用を足すことができるため、それなりに役立つ簡易トイレといえるかもしれません。
ちなみに、『ミニマルちゃん』は、オシッコ用の簡易トイレのようで、大便の方は『ベンリーポット』という『ミニマルちゃん』よりも一回りサイズの大きい便器(和式トイレ風)がセットになった簡易トイレ商品がありますが、私の経験から言わせてもらうと、使い方によっては『ミニマルちゃん』でも大便の便器として使うことは可能かと思われます(ただし、あくまで使えるというだけで、量はあまり入らない…)。