これまでは、アルファ米やパンの缶詰といった主に主食になりそうな非常食を中心に食べてきましたが、長期保存可能な食料は他にもまだまだ沢山あります。
そこで、今回はご飯やパンから少し離れて、水もどりあんこ餅という甘味系非常食を食べてみたいと思います。
水もどり餅シリーズは、長野県安曇野市にあるおむすびころりん本舗という株式会社が製造販売している長期保存可能な非常食のひとつで、知ってる人は知っている、リピーターも多い定番商品のようです。
また、水もどり餅シリーズには、あんこ餅、あべかわ餅、いそべ餅の3種類ありますが、今回、なぜあんこ餅を選んだかというと、それは単に私があんこ好きだからというだけであって、他にたいした理由はありません。
それでは、ちょうど小腹も空いてきたので、おむすびころりん本舗さんの非常食を食べてみましょう!
まずは外装からチェックしていきます。
アルミ製の袋はレトルトカレーなどのフィルムに比べると厚みは薄く丈夫さに欠けるので、保管の際には、先の尖ったものや鋭利なものと一緒にしない方が良いかもしれません(といっても、ちょっとした衝撃で穴が開くような軟弱さではないので、それほど神経質になる必要はありませんが…)。
パケージデザインは非常にシンプルで、非常食っぽい雰囲気を醸し出しています。
表には必要最小限の説明と『水もどりあんこ餅』という大きなロゴが中央にプリントアウトされているため、この袋の中に何が入っているのか一目瞭然です。
一方、裏面には、あんこ餅の作り方がイラスト入りで説明されており、表面と同様、『水もどりあんこ餅』のロゴが目立つよう大きな文字でプリントアウトされています。
おむすびころりん本舗さんの外装で少し気になった点は、賞味期限の記載場所と文字の大きさでしょうか。
非常食というのは、賞味期限の異なる複数の食品を一緒にまとめて備蓄しておくことが多いので、個人的には、できればもう少し目立つ位置に大きな文字で書かれていると、賞味期限をチェックしやすいように感じました。
では、封を切ってみましょう。
水もどりあんこ餅のアルミ袋の上部には左右に切り口があるので、特にハサミなどは必要ありませんが、手でちぎると写真のように非常に見苦しい形で切れてしまいました。
これでも慎重にゆっくりと引っ張ったつもりなのですが、私が不器用なのか、それとも誰がやっても同じことなのか、この作業は毎回、うまくいったためしがありません。
しかしまあ、アルファ米やマジックライスなどとは違い、袋をお茶碗代わりにして、そのままダイレクトに食べるわけではないので、切り口の形状が多少見苦しくても、それほど気にすることはないでしょう。
おむすびころりん本舗の『水もどりあんこ餅』の袋内に入っていたものは、板状のお餅(10枚)にプラスチック製の楊枝、そして粉末あん(2袋)です。
粉末あんが2袋に分かれているというのは有難いのですが、どうせなら餅の方も2袋に分けて袋詰めしておいてもらえると、2度に分けて食べることもできる(わざわざラップなどで包む手間が省ける)ので、なおよかったような気がします。
さて、やはりなんといっても気になるのは、10枚の乾燥餅でしょう。
よ〜く観察すると、餅によって大きさは若干異なりますが、とにかく見れば見るほど、正直、お餅には見えない・・・
表面はザラついており、乾燥しているため、水分がない分、やけに軽くて硬い。
特にこれといって匂いもなく、パッと見は、なんとなく落雁のように見えなくもありません。
この薄っぺらの板状の餅10枚で424キロカロリー(粉末あんも含む)あるとは、とても思えません。
また、手に取って眺めているうちに、なんとなく割ってみたい衝動に駆られたため、力を込めてみましたが、そう簡単には割ることができません。
最終的にはパキッという乾いた音とともに真っ二つに割ることができましたが、結構な硬さであることが身に染みて分かりました。
さて、お餅で遊ぶのはこれくらいにして、さっそく、アルミ袋の裏面に書かれていた手順に従い、水もどりあんこ餅を食べる準備に入りたいと思います。
まずは、お餅が納まっていたプラスチック容器からお餅を取り出し、水皿と書かれた方にお餅を並べます。
※ 水皿と表記されていない方に餅を並べても問題はなさそうですが、できるだけ水皿に並べた方がよいでしょう。その理由については下記で説明します。
お餅は計10枚ありますが、1度に調理できる枚数は、容器の深さを考えると6枚が限度といったところでしょうか。
私は3枚ほどお餅を並べることにして、水を用意しました。
作り方の説明を読むと水を注いで数秒≠ニありますが、数秒とはこれまた漠然とした時間です。
まあ、お餅の硬さは好みで調節してくれということなんでしょうか。
ここで悩んでいても仕方ないので、さっそく水を注いでみましょう。
1…2…3…まだ、硬いかな?
4…5…6…ん? だいぶ柔らかくなってきたか !?
7…8…9…10秒・・・おおー!
10秒も経つと完全に柔らかくなっているじゃないですか!
確かに水を注いで数秒待つべし!という説明に誤りはありません。
このままの状態で食べると水気が多いようなので、水皿の角にある窪み(先に水皿の方に餅を並べた方がよいといった理由がここにある!)から余分な水を捨ててしまいましょう。
カラカラに乾いていた乾燥餅に水を与えると、たちまち水を吸収して、ツヤのあるみずみずしい乳白色へと変化していきます。
付属の楊枝を刺して持ち上げると、これまたよく伸びる伸びる!
特に引っ張らなくても、重力によって下記画像のように徐々に垂れ下がっていき、モチモチ感が目に見えて分かります。
では、お餅が出来上がったところで、もう片方の容器に粉末あんを広げてみましょう。
アルミ袋を破って傾けると、サラサラッとした粉状の物体が次から次へと出てきます。
茶色く見えるのは小豆の粉末で、白っぽく見えるのは砂糖なのでしょう。
粉末あんということで、なんとなく想像はできましたが、現物を目の当たりにすると、正直、あんこ好きの私には「うーん…」と唸るしかありません。
まあ、こんな(失礼)粉末あんでも餅を絡めたら、美味しそうに見えるかもしれない!
僅かな期待を胸に、餅の両面に万遍なくあんを絡めて皿に取り出した水もどりあんこ餅がこちら!
う、うーん…
私が想像していたあんこ餅とはだいぶかけ離れたものが、そこにはにありました。
水で戻した乾燥餅に粉末あんを振りかけているので、確かにこれは水もどりあんこ餅に間違いありませんが、なんとも言葉では言い表せない心境です。
粉末あん・・・おそるべし。
でもまあ、人は外見で判断しちゃいけない、大切なのは中身です!(餅だけど…)。
見た目は残念でも、もしかしたら、味の方は抜群にデリシャスなのかもしれないじゃないですか!
さっそくいただいてみましょう。
「・・・・・・・・・・・・・。」
お餅そのものはツルッとした舌触りがあり、噛めば噛むほど、見た目どおりのモチモチ感が楽しめます。
が、しかし!
裏を返せば、餅特有の適度な弾力や噛みごたえがまったく感じられないため、ただどこまでもどこまでも、ひたすら柔らかくモチモチとした単調な食感が続くので、なんとなく飽きがきます。
また、この餅の足を引っ張っているのが、やはり粉末あんです。
粉末あんを絡めてしまったせいで、かえって舌にざらつき感が残り、味の方も砂糖の甘みが強すぎるため、あんの風味や味があまり感じられません。
どうしても、粉っぽさが口の中に残ります。
あんこ好きな私としては、正直なところ、この水もどりあんこ餅は、あまりいただけない非常食という印象を受けてしまいました。
しかし、ここでふといいアイディアが!
そう!粉末状のあんがダメなら、一旦、水で溶かしてみたらどうだろう・・・
そこで、さっそく皿に広げた粉末あんに熱湯(水では溶けにくいと思ったので…)を数滴たらし、かき回せてみたところ、あら不思議!
見た目は、適度にとろみの付いたあんこがそこにはあるじゃないですか!
これなら、ひょっとして・・・
と思い、再び水もどり餅を作り、とろみの付いたあんこをたっぷりと絡めてみました。
うん、これならさっきよりも遥かにクオリティの高い美味しそうな水もどりあんこ餅に見えます。
では、期待を込めて、さっそく一口!
―――――― ぐはっ!
だ、だめだ!
見た目こそ美味しそうに見えましたが、あんの味が粉っぽく感じられ、また砂糖の甘さが強すぎるため、あんこの風味が消えてしまっています。
いいアイディアだとは思ったのですが、味に関しては粉末状のものよりも、若干おいしいと感じられたくらいで、私が想像していたものとはだいぶかけ離れたデキというしかコメントのしようがありません。
非常に残念な結果です。
しかし、おむすびころりん本舗の水もどり餅シリーズを食べた人の中には、モチモチ感があって美味しい!とコメントしている人も多いようなので、決してまずいわけではないのでしょう。
確かに、この手のモチモチっとした食感が好きだという人には、たまらなく美味しいと感じられるのかもしれません。
今回の非常食に関する評価は、私があんこ好きだからこそ、少し辛口評価になってしまったと思われるので、ご飯系やパン系以外の非常食を探している方で、今回の試食レポに関心を持った方は、どうぞ、一度自分のその舌で餅の食感や味を試してみて下さい。
ちなみに、量が少ないので満腹感が得られないのではないかと思っていましたが、徐々にお腹が膨れ満腹感が得られたので、軽い割に意外と腹持ちのよい非常食であるという点は評価できそうです。