食料や飲料水とは違い、お風呂に入らなかったくらいで死んでしまうようなことはありません。
ですが、想像してみてください。
断水によって、べたつく汗や汚れを洗い流せない日が何日も続く(特に夏場)というのは、思った以上にストレスが溜まるものです。
そこで、今回の体験レポでは、お風呂に入ることができない場合に役立ちそうな防災用品に注目してみました。
その防災グッズが『おふろですよ』です。
簡単に言ってしまえば、ウェットティッシュの大判サイズのようなものですが、『おふろですよ』を使うことで、風呂上がりのようなサッパリ感が得られるのか・・・
さっそく試してみましょう!
主に家庭(あるいは業務)用洗剤や消毒液、うがい薬などの衛生用品を開発・製造・販売する化学メーカー、サラヤ株式会社のボディケア商品のひとつが『おふろですよ』です。
冒頭でも触れたように、『おふろですよ』は、入浴ができない時のからだ拭き≠ニして使用する濡れタオルのことですが、いったいどんな特徴があるのか、実際に使ってみる前に、まずは容器やシートについてザッとチェックしてみたいと思います。
『おふろですよ』は詰替シートがセットになった大容量(本体:70枚 + 詰替え:70枚)のバケツタイプと、30枚入りの簡易包装タイプがあるようですが、私の手元にあるのは、後者の簡易包装タイプの商品です。
市販のお尻拭きなどでもよく見かけるタイプのプラスチック製容器を使用したパッケージなので、手に持つとカサカサと音がしますが、全身用ということで、一般的な市販のボディシート商品に比べると、サイズが大きくずっしり重み(総重量:405g)があります。
そのため、少しでも荷物を減らし軽くしたい非常持ち出し袋に入れるには、あまり向いていないグッズかもしれません。
一方、パッケージ裏面には商品の特徴や成分、使用上の注意点などの基本情報が記載されています。
同商品はノンアルコールタイプのボディシートなので、アルコールの代わりにセチルピリジニウムクロリド(殺菌作用と防カビ剤としての役割がある)と呼ばれる成分が使用されています。
また、メチルパラベンやフェノキシエタノールが使用されているので、防腐剤としての肌への刺激は少ないとされる成分ですが、人一倍肌の弱い方、過去に同成分で肌トラブルを起こしたという方は注意が必要かもしれません。
ちなみに、商品パッケージには長期保存が可能≠ニ記載されていますが、具体的な期間は記載されていません。
そこで、サラヤの公式サイトをチェックしてみたところ、この『おふろですよ』は、製造後の品質保持期限5年間となっていました。
しかし、この種のウェットタイプのシートは、長期間使用しないでいると、1〜2年後(保管場所にもよりますが…)にはシートの水分が蒸発してしまい、汗や汚れを拭き取れなくなっているものが多々みられます。
私も数年放置していたボディシートやおしぼりが、いざ開封してみると、カラッカラで全く役に立たなかった経験が何度かあるので、5年間という長期保存が本当に可能(濡れタオルとして機能しているのか?)なのかどうか非常に興味がありますが、さすがに今すぐ検証するというわけにはいかないので、サラヤに直接問合せてみました。
その結果、問合せ先窓口の担当者曰く未開封なら、常温で製造日から5年間の保存が可能です≠ニのこと。
私が実際に検証したわけではないので、あくまでサラヤさんのコメントになりますが、少なくとも、サラヤ鰍ウんとしては未開封という条件付きではあるものの、5年間という長期保存が可能ということになりそうです。
それでは、実際にシートを取り出してみましょう!
使い方は天面フィルム(オープンラベル)を剥がし、シートを一枚ずつ引っ張り出すだけなので、特に私が使用方法について説明するまでもありませんが、実際にフィルムを剥がして気付いたことは、粘着力が強い!ということ。
一般的な市販のボディシートに比べると、ラベルの粘着力はかなり丈夫でピッタリと貼りついているので、これなら確かに中身のウェットシートが乾燥しにくいという印象を受けました(といっても、繰り返し開け閉めしたり、ほこりやゴミが付けば、粘着力は落ちると思われますが…)。
さて、『おふろですよ』から取り出したシートがこちらになります。
参考までに、100均で購入した携帯サイズのボディシート(20.5cm×21.5cm)やポケットティッシュなどと一緒に並べて、大きさを比較してみましたが、『おふろですよ』のシートは全身用ということなので、確かにそのサイズは大きいことが見てとれます。
次に、シートそのものに注目してみました。
『おふろですよ』は、メッシュタイプの不織布(100均のボディシートは毛羽立ちが目立つ)を使用したシートのようで、厚みもそこそこあり、布に近い触り心地があります。
また、無香料・ノンアルコールタイプなので、薬品臭さはほとんど気にならず、水で濡らしたタオル(ハンカチ?)に近いシートに仕上がっているのではないでしょうか。
また、ちょっとやそっと引っ張ったくらいでは破れない程度の耐久性もあるようなので、体を拭くとすぐに破れたり、穴が開いてしまうといったこともなさそうです。
それでは、さっそく使ってみましょう!
『おふろですよ』は大判使用なので、確かに拭きやすい・・・
ですが、全身を拭くとなると小さすぎるため、1枚で足りるかというと正直疑問です(ちなみに、パッケージには1枚で全身をしっかり拭けるという記載がある…)。
なにより一番気になったのは、体を拭いていると、直ぐに乾いてしまうため、全身を拭き終える前にシートが乾いてしまうのです。
一方、使用感ですが、『おふろですよ』は冷感成分のメントールや香料などは配合されていないため、拭いた後にひんやりとした冷たさや爽快感は得られません。
しかし、その分、刺激に弱い敏感肌の方でも使いやすいシートに仕上がっているので、汗や皮脂汚れを除き、濡れタオルで体を拭いた後のような、一時的にサッパリとした気分になりたいときに役立ちそうな防災グッズと言えそうです。
最後に『おふろですよ』を実際に使ってみて、個人的に気付いた点をまとめておきます。
個人的には、防災グッズとして全身用のボディシートを備蓄するなら、オオサキメディカルの『からだふき大判ぬれタオル』や久光製薬の『アイスタオル』の方がより大判サイズで、使い勝手が良いような気もしますが、『おふろですよ』よりも価格は高いので、その辺は各自の好みや使用目的などを加味しながら、検討してみてください。
大判サイズとはいえ、1枚で全身を拭くのは難しい… 乾くのが早い… アルコールやメントール、香料などの成分は含まれていないため、万人に広く使えるが、その分、爽快感などは得られない… |