今回、試食する非常食もアルファ米ですが、その形や食べ方が実に日本人らしい一品です。
なぜなら、その食べ物とはおにぎりだからです。
アルファ米おにぎりを製造販売しているのは、試食レポでは度々登場する尾西食品ですが、尾西のご飯シリーズとは違って、賞味期限がやや短いものの、日本人のソウルフードが、いざっ!という時にいつでも食べられるのは何だかうれしいものです。
事実、水(あるいは湯)さえあれば、いつでもどこでも食べられる尾西のアルファ米おにぎりは、海外旅行の際に必ず持っていくという人もいるようで、非常食目的以外にも重宝されています。
尾西のアルファ米は、ご飯シリーズで試食していますが、おにぎりとなると味はどう変化するのか、それともしないのか…!?
実際に食べてみることにしましょう。
※補足:尾西のおにぎりシリーズは、商品リニューアルにより、ラインナップや調理方法(パック内に水や湯を注ぐだけで三角おにぎりが完成)が大きく変わりました。
尾西のおにぎりシリーズは、梅しそ、鮭、明太子(リニューアル後は、鮭・わかめ・五目おこわに変更)の3種類ありますが、今回、私が試食するのは、好き嫌いがハッキリと割れそうな梅しそや明太子は避け、一番無難な鮭おにぎりです。
パッケージを見ると、ボケた稲穂をバックに笹の葉の上にポンと置かれたおにぎりと2切れのたくあん…
※雑学:笹の葉には防腐作用があるため、保存食を包むときなどに利用されるそうです。なお、尾西のおにぎりシリーズはパッケージがリニューアルされました。
渋めのデザインに仕上がっていますが、私が目を引かれたのは、おにぎりと書かれたロゴの下にある「国際線」の文字が…
この国際線にどういう思いが込められているのか少し気になってしまったので、さっそく調べたみましたが、私の疑問に答えてくれるサイトを発見!
詳しくは、こちらのOutdoorHack内の記事を読んでいただければと思いますが、要は海外旅行される方にアピールするためのネーミングなんだそうです。
さて、問題が解決したところで、今度はパッケージ裏面をチェックしてみましょう。
鮭おにぎりの作り方やカロリー表示、賞味期限など、基本的な情報が書かれています。
特にこれといって目を引くような点はありませんが、強いて挙げるならば、これまで食べた尾西のご飯シリーズや保存パンとは違って、賞味期限の表示がかなり地味だということでしょうか。
尾西の長期保存食は、これまで賞味期限がとにかく目立つ!という印象がありましたが、このおにぎりシリーズに関しては特に目立たせるつもりはないようです。
おそらく、保存期間が1年という短さに加え、非常食以外の使われ方をしている点などが理由と考えられます。
※ 補足:内容量は40gですが、秤で計ってみたところ、パッケージなどを含めた総重量は約60gとなります。
では、パッケージチェックはこのくらいにして、袋を開けてみましょう。
もちろん、ハサミ要らずの工夫がしてあるので、上下2ヵ所にある切り口から素手で切ることができます。
封を切って鮭おにぎりの中から取り出したものは下記画像のとおりです。
フタ付きの三角プラスチック容器に入ったアルファ米にスプーン、それから乾燥具材(鮭フレーク)に焼きのり、脱酸素剤の5点です。
ちなみに、個人的に衝撃を受けたのは乾燥具材の鮭でしょうか。
木くず?(失礼)と思えるほど、お世辞にもまったく美味しそうには見えず、もし大量にあったら、虫カゴにカブトムシと一緒に入れて育ててみたい!という衝動に駆られてしまいましたが、まだ食べてもいないのにけなすのはよくありません。
若干テンションは下がりましたが、とにかく調理して鮭おにぎりを作ってみることにしましょう。
まず、プラ容器のフタを開けます。
画像を見る限りでは、結構な量のアルファ米が入っているように見えますが、容器自体のサイズが小さいので、量はむしろ少なめと思ってください。
続いて、木くず・・・じゃなく、鮭フレークを投入するため、封を切ったところ、その瞬間、フワッと鮭の香りが袋の中から漂ってきました。
なるほど・・・複雑な気持ちですが、香りは確かに鮭です。
パッケージ裏面の作り方※の手順に従うと、お湯を注ぐ前の段階であるこの時点では、まだかき混ぜる必要はないようですが、なんとなく軽くかき混ぜてみると、カサカサッという軽い音を立てながら下記写真のように鮭フレークが万遍なく散らばりました。
ちなみに、お湯を注いでからアルファ米が出来上がるまでの時間は、尾西のご飯シリーズと同じで15分(水の場合は60分)。
お湯は容器内側の線まで入れるとのことですが、特に注水線のラインが表示されているわけではないので、おそらく、このライン【下記画像:参考】まで注げということなんでしょう。
ポットから容器にダイレクトに熱湯を注いだところ、乾燥して軽くなったアルファ米がお湯とともにプカッと浮かんでくるため、ラインが隠れてしまい、とても見づらい・・・!
気が付いたら、湯量がなんとなくラインを越えているようないないような微妙な量になってしまっていますが、とりあえず混ぜ混ぜ・・・
そして、手早くフタを閉めたら・・・ドパッ!
『・・・・・・・・・・。』
テーブルの上に溢れ出たお湯を見つめながら、やはり湯の量が多すぎたことを実感・・・そして掃除。
このアクシデントは、単に私が不器用だからなのか、それとも私のようなビギナーのオニギリストには仕方のないことなのかわかりませんが、尾西のおにぎりを作る際には、特にお湯の量にはくれぐれもご注意ください。
気を取り直して、次の過程へ進みましょう。
お湯を注いでしっかりとフタをしたら、15分ほど待たなければならないので、その間に焼きのりの方をチェックしてみたいと思います。
封を切り、中身を取り出すと、3つ切りの焼きのりが一枚。
中々、高級感のある見栄えのよい焼きのりで、そこそこ厚みがあり、色艶も悪くありません。
おまけに、この1枚の焼きのりのために、袋には乾燥剤が入っているというこの上ないおもてなしなので、シケッておらず、パリッとした食感も楽しめそうです。
ただ一点、個人的な感想なので聞き流してしまって構いませんが、香りに関しては私好みの磯の香はしませんでした。
では、焼きのりの話はこのくらいにして、アルファ米の方に話を戻しましょう。
お湯を注いでフタをし、15分経過した鮭おにぎりがこちらです。
写真ではやや判別しづらいかもしれませんが、アルファ米が水分を吸って、いい感じにふっくらとしているように見えます。
一方、木くず・・・じゃなく、乾燥具材の鮭フレークの方も、よくかき混ぜたおかげか、バランスよく散らばっており、鮮やかなピンク色に色づいており、鮭っぽさを演出しています。
容器を裏返すと表とはまた少し違った表情をしていますが、これは単に粉末状のフレークが底に沈んだことが原因と思われます。
尾西に限らず、アルファ米は冷めれば冷めるほど味や食感がどんどん落ちていくので、手早くフタを外して、ささっとおにぎりに焼きのりを巻いてしまいましょう。
フタを開けると、ごはんが若干水っぽいように思えますが、やはりふっくら感はあります。
底を押せば、おにぎりは簡単に取り出せると書いてあるので、その言葉を信じ、焼きのりの真ん中で容器をひっくり返し底を押してみたところ、確かにパカッと簡単に取り出すことができました。
表面の米粒が所々潰れてしまっていますが、これは容器に押し込んで三角おにぎりを形作っているので、仕方ないところか…。
とにかく、これで尾西のアルファ米おにぎり鮭味の完成です。
それでは、さっそく試食してみましょう。
おにぎりの大きさは小ぶり(コンビニのおぎりよりもやや小さめ)なので、おそらく育ちざかりの中高生や大人には、恐らく物足りない量だと思います。
では、味の方がどうか?
お湯の分量が少し多すぎたためか、幾分柔らかく感じますが、ごはんの食感はそれなりに再現しているので、それほど悪くありません。
ただし、アルファ米独特の米の中心部に少し芯が残っているような感じや、噛むとボソボソとした食感はあるので、炊き立てのお米を忠実に再現しているとまではいかないようです。
しかし、味の方は私好みです。
おそらく、鮭フレークの塩加減が絶妙で、容器の中でよくかき混ぜると、塩分が万遍なく全体に広がるのでしょう。
口に頬張ると、塩辛くもなければ味がないわけでもない、程よい塩気があり、おかずがなくても十分イケます。
また、表面の米粒こそ潰れてしまっていましたが、中心部の方は、そうでもないようです。
個人的にはコンビニのおにぎりよりもやや劣る食感や味に感じましたが、1年間保存できる非常食や携行食であると思えば、十分満足のいくクオリティではないでしょうか。
尾西のご飯シリーズとは違って、調理作業に一手間かかるが、子供なら喜んで作りそう(旧商品) 湯量の見極めが難しいので、この点をもう少し分かりやすく改良し、溢れ出ないような工夫が欲しい(旧商品) おにぎりのサイズが小振りなので、1つで満腹になることはない |
なお、この尾西のおにぎりシリーズは価格が少し高すぎるのではないかといった意見もありますが、常温で1年間保存することができることを思えば、個人的には決して高すぎるとまではいえないように感じます。
炊き立てではないものの、いつでもおにぎりが食べられる!というのは、日本人にとって、とても有難いことなのかもしれません。
そのため、災害時における非常食としてではなく、海外旅行の際には必ず持っていくという方の気持ちもなんとなく分かるような気がします。