非常食は、基本的に健康な成人が食べることを前提に開発された商品が多いため、食べ物を噛んだり飲み込んだりする力(いわゆる、摂食・嚥下機能)が弱っていると辛い食事となってしまいます。
また、慣れない避難生活が続くと、疲労やストレスの蓄積により、体調を崩したり、食欲不振になる者が出てくることも十分予想されるため、健康でない方でも安心して食べることのできる胃に優しい非常食が求められますが、そのひとつがおかゆ≠ナす。
アルファ米のおかゆを商品化しているメーカーはいくつかありますが、アルファ米といえば、やはり尾西食品!
ということで、今回はとりあえず尾西食品のおかゆシリーズを試食してみたいと思います。
尾西のおかゆシリーズには「白がゆ」と「梅がゆ」の2種類(2014.10月現在)ありますが、味付きの方が食べやすいのではなかろうかとの思いから、今回は『梅がゆ』をチョイスしてみました。
アルファ米は、当食レポで何度も紹介していますが、おかゆは初なので、果たしてどんな食感や味がするのか、さっそく食べてみましょう!
まずは、恒例の外袋チェックから。
パッケージサイズや形状は、他のご飯シリーズと特に変わりなく、袋をそのまま器として利用できるスタンドパック式です。
また、賞味期限も、おかゆだからといって特に保存期間が短くなるということはなく、5年間となっています。
ただ1点、おかゆのアルファ米は非常に軽い!
よく見ると『梅がゆ』の内容量は42gとなっているので、他のご飯タイプのアルファ米に比べると内容量は約1/2になっているようです。
まあ、おかゆはご飯を多量の水でふやかして食べる食べ物なので、当然と言えば当然なのかもしれませんが、なんにせよ、内容量が少ない分、ご飯タイプよりも、より小スペースで収納することができそうです。
パッケージ裏面には原材料や栄養成分表示(ちなみに、『梅がゆ』1食分当たりの熱量は151kcal)、そして、作り方について記載されており、この点も、ご飯タイプのアルファ米と特に変わりありませんが、注水量と調理時間が大きく異なってきます。
特に熱湯を注水してから5分で完成!というのは、空腹時には助かります(ご飯タイプの調理時間は熱湯で15分)。
外袋の左右両端にある切り口から開封した直後の画像がこちらです。
調理前には、味付け用の梅しその小袋、脱酸素剤、そして、スプーンの3点を必ず取り出して下さい。
さて、気になるアルファ米ですが、ほぼ無味無臭とい点では共通していますが、おかゆ用のアルファ米は、ご飯用のアルファ米に比べると、色・形状が大きく異なり、お米感がまるでありません。
おかゆ用のアルファ米は、かなり白っぽく、また、コロコロっとした細かいあられ≠フような形状で、より細かく砕かれています。
試しにそのままひとつまみ食べてみたところ、湿気た雛あられのような食感で、食べやすさという点では、ご飯用のものに比べると食べやすく感じられるものの、当然、この状態では美味しくはありません。
一方、梅しそが封入されている小袋を開封すると、梅肉は意外とべとつき、ひとつの大きな塊となっていました。
味の方も非常に濃く酸味を強く感じますが、あくまでおかゆに溶かして使用するトッピングなので、味付けが濃いのは当然かもしれません。
では、さっそく『梅がゆ』を調理してみましょう!
まずは、袋の底をしっかりと広げます。
この広げるという行為が意外と重要で、中途半端な広げ方で湯(水)を注いでしまうと、正確な水量にならず、中途半端なおかゆができてしまうので、くれぐれも慎重に行ってください。
袋の底をしっかりと広げたら、付属の「梅しそ」を投入します。
次に注水ですが、袋の内側には2本の注水線が見えるはずです。下線は全粥用(水量:218ml)、上線は5分粥用(水量:278ml)となっているので、食べる方のお好みのおかゆを選んで注水し、付属のスプーンでよくかき混ぜたら袋のチャックを閉めます。
ちなみに、今回の試食レポでは5分粥を作り、熱湯を使っているため、調理時間は5分間(水の場合は40〜50分)となります。
※注意:2014年8月、尾西の梅がゆはパッケージをリニューアルしたため、注水線の位置が変わり「おかゆ注水線(水量:200ml)」と「やわらかご飯注水線(水量:120ml)」となっています。
注水直後のアルファ米を見る限りでは、水面に浮かぶ粉にしか見えず、「コレ、ほんとにおかゆになるのか…?」と不安になりますが、調理後、スプーンで恐る恐るかき混ぜると、徐々に湯がとろみを持ち始め、水分を吸収したアルファ米が膨張し、おかゆっぽさを取り戻してくるのだから不思議なものです。
尾西のご飯シリーズは、袋がそのまま器になるスタンドパック式なのですが、今回は試食ということで、器の方に移し替えることにしました。
これで、梅がゆの完成です!
それでは、さっそく完成した尾西の梅がゆを、温かいうちにいただいしまいましょう。
付属の梅肉は完全に溶けきってしまったのか、しその葉以外は普通の白がゆのように見えます。
非常にとろみを感じさせる五分がゆですが、もとのうるち米が、コロッとしたあられ状の粒と粉末だっただけに、米の粒は見る影もありません。
さっそく一口たべてみたところ、味の方は決して悪くないので、正直意外でした。
しその香りと酸っぱすぎない控えめな梅の酸味が口の中にほんのりと広がるので、白がゆだと味気ないけど、まったく何の味がしないのもちょっと・・・という方には食べやすいのではないでしょうか。
※お米から作るお粥であれば、コメ本来の甘みを感じることができますが、あくまで、アルファ米なので、米そのものの甘みを感じることは難しいかと…
ただ、やはりアルファ米ということもあってか、お米の芯というかなんというか、ゾロゾロっとした食感が口の中に残るので、その点さえ気にならなければ、嚥下機能が低下している高齢者や胃に優しい非常食をいくつか備蓄しておきたいという方には、お勧めできる一品かと思われます。