緊急地震速報とは、大きな揺れが来る前に地震が来ることを知らせてくれる警報(予報)システムのことです。
したがって、既に発生した地震についての情報を教えてくれる地震速報とは異なります。
2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、度々、配信されていたので、当時、東日本エリアにいた方を中心に、テレビやラジオ、あるいは携帯電話などの受信機を通じて、普段聞きなれない警報音を耳にした人も多いはずです。
千年に一度とも言われる今回の大規模地震(M9.0)の影響によって、東日本各地では地震活動が活発化しており、いつ何時、どこで大きな地震が起こっても不思議ではない状況が続いていますが、その大地震から身を守るのに役立つシステムとして期待されているのが、この緊急地震速報です。
あまり知られていませんが、気象庁が中心となって提供(発信)している緊急地震速報には一般向け緊急地震速報≠ニ高度利用者向け緊急地震速報≠フ2種類あります。
私たちがテレビやラジオ、携帯電話等の受信機を通じて目(耳)にする速報は、前者の一般向け緊急地震速報に属し、最大震度5弱以上と予測される地震の際に、震度4以上強い揺れが想定される地域に対して情報が発信されます。
つまり、比較的、揺れの小さい地震の際には情報は流れないということです。
一方、高度利用者向け緊急地震速報の方は、専用の受信機にのみ配信される緊急速報であり、震度設定を行うことで、小さい揺れに対しても情報を発信してもらうことも可能です。
両者の大まかな違いについては、下記表にまとめておきますが、高度利用者向け緊急地震速報は、より精度の高い情報が得られるシステムになっていることが分かるかと思われます。
一般向け緊急地震速報 | |
情報精度 | ザックリとした広く浅い情報 |
震度設定 | 不可(震度5弱以上) |
速報内容 | 強い揺れが来る恐れがあることのみ発信 |
利用料金 | 無料 |
接続・受信法 | 特に不要(テレビ・ラジオ・携帯電話 など) |
高度利用者向け緊急地震速報 | |
情報精度 | 専用端末設置場所ごとのピンポイント情報 |
震度設定 | 可(震度1〜7) |
速報内容 | 予想震度や地震到達時間など |
利用料金 | 有料 |
接続・受信法 | ネット回線やケーブルTV回線などを利用(専用受信機・PC・固定電話 など) |
世界初の画期的な地震防災システムとして、諸外国からも注目されている緊急地震速報システムですが、実はいくつか問題点もあります。
予測される震度と実際の揺れに誤差がある! 速報が流されてから、大きな揺れが来るまでの間隔が短い! |
ここでは、あまり小難しい専門的な話をするつもりはありませんが、通常、地震が発生すると震源から2種類の波が発生します。
ひとつはP波と呼ばれる初期微動であり、もうひとつがS波と呼ばれる主要動です。
P波(初期微動) | エネルギーが小さく、伝わる速度が速い。秒速にすると約6〜7キロ | カタカタと小刻みに揺れる。 |
S波(主要動) | エネルギーが大きく、伝わる速度は遅い。秒速にすると約3〜4キロ | グラグラと揺れ動く。 |
地震で大きな被害をもたらすのは、主にP波の後にやってくるS波の方ですが、上記表からもわかるように、震源から遠くなるほど、2つの波の到着時間には差が出てくるので、この時間差をうまく利用たものが緊急地震速報です。
具体的には、全国各地に設置してある地震計で、まずP波を感知し、S波が来る前に地震の震度や到達時間などを瞬時に予測計算して情報を発信します。
そのため、ごく短時間(S波が到達するまでの時間は長くても十数秒)に得られたデータを基に予測計算するため、予測される震度の大きさに誤差が生じたり、震源地に近い場合(P波とS波との到達時間差が少ない直下型地震など)には、速報が間に合わなかったなど、現時点におけるシステムでは予測の精度にも限界があるようです。
しかし、この緊急地震速報は、あくまで地震による被害を少しでも軽減することを目的としてシステムなので、速報が流れた際には、常に注意を払って警戒する癖を付けておくことが大切です。
一般向け緊急地震速報は、テレビやラジオ、携帯電話を通じて配信されるので、より精度の高い情報を求めなければ、特にこれといって専用の受信機やソフトは必要ありません。
しかし、テレビやラジオは電源を切っていると、緊急地震速報を聞くことはできません。
また、携帯電話に関しては、電源オフ(初期設定で受信設定がオフになっている場合も含む)や電波の届かない地域においては配信されず、お手持ちの機種によっても、地震速報に対応していない製品があるので要注意です。
東日本大震災以降、広い地域で地震活動が活発化しているとの意見も多いので、心配な方は、テレビやラジオ、携帯電話等に左右されない専用の受信機を自宅に置いておくことで、24時間体制の警戒がとれるようにしておくのも一法でしょう。
参考までに、市販の一般向け緊急地震速報受信機などを取扱っているオンラインショップを紹介しておきます。
先に述べたように、より精度の高い情報を得るには、高度利用者向け緊急地震速報の利用を検討してみましょう。
一般向け研究地震速報とは違い、有料で専用の受信機を必要としますが、より安全な暮らしを手に入れるための出費、あるいは、あくまで保険と割り切って考えれば安い買い物かもしれません。
参考までに、主な高度利用者向け緊急地震速報の受信機と受信方法について紹介しておきます。
据置型端末 | 基本、インターネット回線を利用する専用機器。デジタルなまずなどが有名。常時電源を入れておくことで、24時間の速報受信が可能。 |
パソコン | 専用のソフトウェアをインストールすることで利用可能。配信サービス会社との契約が必要になってくる。 |
固定電話 | 専用の固定電話を受信端末として利用する機器。使用の際には、配信サービス業者との契約加入手続きが必要。 |
ケーブルテレビ | ケーブル回線を使用するため、契約できるケーブルテレビ会社があれば、専用の端末機を借りることで利用可能。 |