被災地で困る生活上の問題点を挙げれば切りがありませんが、中でも非常にデリケートでメディアでは伝わりにくい切実な問題がトイレ問題≠ナす。
断水や停電が長期間続くような災害に見舞われると、水洗トイレも流すことができないため、排泄物の問題が深刻化してきます。
かといって、仮設トイレの行列を嫌ってトイレを我慢したり、飲まず食わずの生活を続けていると、かえって体調を崩してしまうおそれもあるので、あまりお勧めできません。
そんな時に役立つのが手製の簡易トイレです。
災害時に役立つ手製の簡易トイレは、身近にあるバケツや段ボール、腰掛椅子などを利用して作成しますが、ここでは一般的によく知られている段ボール簡易トイレの作り方についての具体例を挙げておくので、いざ!という時のために覚えておきましょう。
ちなみに、最近は組み立て式の商品が手頃な価格で販売されているので、災害に備えて市販の簡易トイレセットなどを購入しておくのもよさそうです。
段ボールで作成する簡易トイレの作り方は幾通りか知られていますが、あくまで緊急時用の簡易トイレなので、土台(構造)さえしっかりしていれば、デザインや機能性はそれほど重視する必要はありません。
そこで、できるだけ簡単にできる段ボール簡易トイレの作り方をひとつ紹介しておきます。
ちなみに、段ボール簡易トイレを作るために欠かせない、最低限必要な材料は次のとおりです。
段ボール箱 × 2箱 便器用(人が座れる程度の大きさで箱状になる) 便座用と補強用(便器用と同程度か、一回り小さな段ボール(箱状にならなくてもOK)) カッターナイフ(なければハサミで代用) 布ガムテープ(紙製は重ね貼りができない) ポリ袋(見た目も重要なので、黒系が理想) |
簡易トイレの便器部分にあたる大きめの段ボール箱は、上部の蓋を内側に折り込む。【図@】
強度に問題がありそうな場合は、他の段ボール板を使って支柱を作り【図A】、箱の中央部(あるいは四隅)に配置するとよい。【図B】
簡易トイレの便座部分にあたる段ボール板の底面(裏側)に【図C】のような線を引き、赤線を引いたライン上にカッターナイフ(無ければハサミで代用)で切り込みを入れる。
※《B》《C》部分に引いた青色の点線は、後で山折にして利用するため、切り取らない!《A》に引いた点線部分に切り込みを入れて中央部をスッポリトと切りとってしまっても構わないが、切り取らずに蓋として利用することもできる。
段ボール板が薄く強度に問題がある場合は、段ボール板を数枚(3〜5枚程度)重ねて使用するとよい。
なお、段ボールには流れ目方向によって、タテとヨコの区別があるので【図D・E】のように交互に重ねると強度が増す。
カッターナイフで切り込みを入れた便座の両サイドにある《B》《C》部分を山折りにして【図F】のような形にする。
STEP1で作成した便器用段ボールに、STEP2で作成した便座用段ボールが揃ったら【図G】、便座用段ボールの両サイドにある《B》《C》部分を【図H】のように、便器用段ボール内にはめ込み簡易トイレを完成させる。
段ボール簡易トイレの蓋を開けて、ポリ袋(漏れ防止用に2重にするとよい)を入れたら完成。
以上、非常時における段ボール製の簡易トイレの作り方を説明してきましたが、排泄物は臭いが気になる問題でもあります。
そこで、下記のような材料が手に入る場合は排泄時に使用することで、ある程度消臭効果が得られるので、うまく活用してみてください。
なお、簡易トイレを野外で使用しなければならない状況にある場合は、キャンプ用のテントなどが用意できればテント内に設置したり、簡易トイレの四隅に角材やロープなどを使って囲いを作り、毛布などを使って目隠しにするとよいでしょう。
紙おむつ(ポリ袋の中に入れておく) 猫などのペット用トイレ砂(消臭効果) 新聞紙(細かく裂いてポリ袋の中に入れておく) 消臭剤(消臭効果) トイレ用凝固剤(排泄物をジェル状に固めることで臭いを軽減) 乾燥したお茶がら(消臭効果) |
災害に備えて食料や飲料水を買い置きしている家庭は多くても、トイレ対策は特に何も考えてはいないという方も多いのではないでしょうか。
ひとたび震災が発生すると、被災地で最も不便なことはトイレ問題≠セとも言われています。
また、排泄後の臭いや処理に困ることも多く、このトイレ問題は被災地では意外と深刻な問題として受け止められているようです。
特に女性は男性よりも深刻な問題となってくるので、できることなら、前もって個人個人でトイレ対策を行っておきたいものです。
最近は非常時向けの衛生面を重視した簡易トイレなども手頃な価格で販売されているので、万一に備え、何セットか購入しておくとよいかもしれません。