観音開きの食器棚やキッチンによくある吊り戸棚には、割れやすいガラス製品や陶磁器、あるいは重い鍋などの調理器具が仕舞い込んである家庭も多いのではないでしょうか。
しかし、これらの食器や調理器具が地震発生時に落下すると、たちまち凶器と化すため、当たりどころが悪ければ大怪我をしてしまいます。
耐震ラッチとは、そんな地震の揺れによって起こりうる家具類の扉や引出しが、勝手に開くのを未然に防ぐために取り付ける地震対策グッズですが、その仕組みは次のとおりです。
震度4〜5程度に反応する製品が多い 棚の食器等が勢いよく飛び出してくるリスクを軽減 |
市販の耐震ラッチの感知センサーは、棚にある食器類が音を立て始める(あるいは動き出す)震度4〜5程度の揺れを目安とした製品が多いようですが、ロック後の解除については、何かしらの解除方法(手順)が必要になってくるものと自動的にロック解除されるものとに分かれるので、自分の好みに合わせて選びましょう。
食器棚や吊り戸棚の扉を自動的にロックすることで、食器類や調理器具の落下(飛び出し)を防止する役割を担っているのが耐震ラッチですが、市販の耐震ラッチを取り付ける際には、特に次のような点に注意を払ってください。
未だ記憶に新しい阪神淡路大震災(平成7年1月)ですが、被災地の家屋やマンションの調査にあたった関係者談の中には、「耐震ラッチが取り付けてあったにもかかわらず、扉が開いていた…」といった話も少なくありません。
当時の耐震ラッチは、性能があまり良くなかったという意見もありますが、基本的に耐震ラッチに関する統一された安全基準などはないので、市販の耐震ラッチにどの程度の効果があるのかは未知数(つまり、実際に地震が起きてみないと分からない…)だということを理解しておくべきでしょう。
しかし、阪神淡路大震災から15年以上経った今、製品の改良も進み、性能は以前よりも向上していることが考えられるので、装置を付けたから安心!という過信はいけませんが、地震対策の一環として耐震ラッチを取り付けるのも賢い選択のひとつだと思われます。
耐震ラッチが機能し、食器棚等の扉が自動ロックされたとしても、家具自体が倒れてしまっては元も子もありません。
また、扉が閉まっている分、棚に残された食器類の重さで高重心のまま家具自体が揺れ続けることになるため、L字金具やポール式の固定器具で、家具そのものをしっかりと固定しておくことが大切です。
※ガラス扉には市販の飛散防止フィルムなどを貼っておくことで、ガラスが割れて中のものが飛び出してくるといったリスクを軽減することができます。
市販の耐震ラッチは、たいていネジ止めタイプなので、取り付ける家具の材質や場所によっては使用できない製品もあります。
また、扉ストッパーには何種類かあるので、製品の特長や使用頻度などに応じて、タイプの違うストッパーを使い分けることをお勧めします。
食器棚や窓ガラスのガラスが、ひとたび割れれば、鋭い破片となって周囲に飛び散るため、震災時、ガラスの破片が直接身体を傷つけなくても、避難する際、床一面に散乱した破片を踏みつけて怪我をしてしまうなどの2次災害のリスクが高まります。
そこで、このようなガラス被害のリスクを少しでも回避するために役立つグッズがガラス飛散防止フィルム≠ナす。
飛散防止フィルムをガラスに貼り付けることで、ガラス片の飛び散りを防ぐことができるため、安全な逃げ道を確保するのにも役立ちます。