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地震対策|突っ張り棒編

突っ張り棒で地震対策!?entrance

地震対策の一環として、突っ張り棒を使って家具類を固定されている家庭も多いのではないでしょうか。

1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災における負傷の原因【参考:下記資料】のうち、約5割(47%)が家具等の転倒落下によるものであったというデータを踏まえると、いつどこで起こるか分からない大地震に備えて家具類を固定しておくことは、非常に有効な対策法のひとつであると考えられます。



と・こ・ろ・が!

一般家庭の突っ張り棒を使った地震対策は、家具本体や家屋の構造を何ら考慮せずに取り付けてしまうと、十分な効果が得られないといった問題点も指摘されています。

つまり、突っ張り棒を使った地震対策を考えている方は、突っ張り棒の特徴や設置条件を十分に理解した上で、使用の有無を判断した方がよいということです。

屋内損傷の内訳:阪神淡路大震災
家具類の転倒落下 47%
ガラス飛散 29%
家屋の倒壊 3%
その他 18%
不明 3%
参考:日本建築学会『阪神淡路大震災
住宅内部被害調査報告書』

突っ張り棒:地震対策の基礎知識

地震対策の一環として、突っ張り棒を使用する最大のメリットは、やはりなんといっても家具や家屋(天井や壁)を傷つけない!という点に尽きるでしょう。

そのため、賃貸住宅をはじめ、一般家庭でも広く利用されていますが、耐震強度という点においては、主に次のような理由から、L字金具などの固定器具に比べると弱いと考えられています。

市販されている通常の突っ張り棒は、上下(天井と家具の天板)で支えるため、縦方向の揺れ(いわゆる、直下型地震)には強いが、横揺れに弱い!
縦揺れ
上下(天井と天板(家具))で支えているため、縦方向の揺れには強い
横揺れ
天井の揺れと家具の揺れが異なると外れやすい

なお、最近は全方向の揺れを、ある程度吸収してくれるスプリング(バネ)を主軸や台座に内蔵したタイプの突っ張り棒も販売されているので、購入前にいろいろと調べてみることをお勧めします。


突っ張り棒:地震対策の落とし穴

冒頭でも触れましたが、突っ張り棒は取り付け方しだいで耐震強度が半減(設置方法によってはそれ以下)してしまうこともあるので、地震対策目的に突っ張り棒を使用する際は、特に次のような点に注意を払うことが重要です。
天井の強度を確認!
地震対策用の突っ張り棒は、基本、天井と天板(家具)で支える構造の転倒防止器具なので、天井や天板にある程度強度が求められます。

つまり、天井を押してみて歪んだり、簡単に持ち上がってしまうような場所では取り付ける意味がないということです。

竿縁天井

特に昔から多用されている一般和室に見られるような竿縁天井などは天井の強度に問題があるので、突っ張り棒以外の固定器具を検討した方がよさそうです。
できるだけ奥(壁側)に設置!
天井と天板を固定すれば設置場所はどこでもよいというものではありません。

使用例1

地震対策上、最も効果的だとされる突っ張り棒の設置場所は、なるべく奥(壁側)の両端(家具の両側の側板)なので、手前や中央部に設置してしまうと十分な耐震効果が得られないということを理解しておきましょう。
補助板を挟んで強度を上げる!
突っ張り棒の耐震強度をアップさせるために、よく使われている手法が補助板を挟む方法です。

天井と家具の天板に、それぞれ1枚づつ板を挟んで固定すると、力(揺れ)を面で受け止めることができるため耐震効果が上がると考えられています。

使用例2

なお、補助板と突っ張り棒の底面を、それぞれ両面テープやネジ止めすると、より強度が高まるようです。
他の転倒防止器具と併用する!
突っ張り棒はネジ止めをせず、単にポールをかませて固定しただけの転倒防止器具です。

そのため、地震の揺れの方向や規模によっては転倒することも十分考えられます。

使用例3

そのため、状況に応じて、マット式やストッパー式の転倒防止器具などと併用し、耐震効果を高める工夫をしてください。


突っ張り棒は木造家屋には適さない!?

家具や家屋を傷つけないという利点がある突っ張り棒ですが、一般家庭の地震対策としては、あまりお勧めできない!と指摘する専門家も少なくありません。

というのも、下から突き上げるような大規模な直下型地震に襲われた場合、ポールそのものに耐震性があっても、天井に強度がなければ突き破ってしまう恐れがあるためです。

つまり、コンクリートのような固い材質の天井ならまだしも、木造建築が多い一般家庭においては、天井板に十分な強度が備わっていない点を危惧しているわけです。

したがって、耐震強度が最も高いL字金具でしっかりとネジ止めすることできないために、突っ張り棒のような転倒防止器具をやむおえず利用しなければならないような場合は、先に説明した注意点を参考にしながら取付け、耐震強度も100%ではない!ということを肝に銘じておきましょう。

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