市販のペットボトル入り飲料水であれば容器に賞味期限が表記されているので保存期間は特に問題となりませんが、水道水を非常用飲料水としてくみ置きするとなると、保存期間はどのくらいになるのか気になるところです。
日本の水道水は、病気の原因となる微生物やウィルス(病原性細菌)が繁殖しないよう法律(水道法)によって塩素消毒が義務付けられています。
※ 浄水場から各家庭の給水栓までの距離が長ければ長いほど、その途中で微生物が繁殖してしまう恐れがあるため、消毒効果の大きい塩素を水道水に注入することで安全を保っています。
そのため蛇口から出る水道水を、そのままポリタンクに注ぐと、タンク内には塩素が残って(いわゆる、残留塩素)しまいますが、水道水の保存期間は、この残留塩素の有無が少なからず影響してきます。
というのも、水道水に注入した残留塩素は、くみ置きしておくと徐々に減っていくため、日が経つにつれて細菌の繁殖リスクが高まり、飲料水としては適さない水になってしまうからです。
では、水道水に含まれる残留塩素は、いったいどのくらいの期間が経つと消失してしまうのか…
保存方法や保管場所、あるいは水道水に含まれる塩素濃度によって変わってきますが、全国各地の水道局HPや専門書などの資料を参考にすると、保存期間の目安は概ね3〜5日程度のようで、その期間を過ぎたら、できるだけ雑用水として使用するよう勧めています。
※ しかし、期間はあくまで目安であり、たとえ保存期間を過ぎても、煮沸消毒すれば、しばらくの間は特に問題ないとする意見もあります。
いずれにせよ、水道水を非常用飲料水として長期間保存することは難しそうなので、飲料水目的で保存するなら、できるだけ小まめに入れ替えた方が良さそうです。
夏場 | 3日程度※ | 冷蔵庫 | 5日程度※ |
冬場 | 10日程度 |
ちなみに、近年は水道水を長期保存しても飲料水として利用できる!といったような保存容器も登場しているいようです。
たとえば、(株)トライ・カンパニーが販売している『メデタンク』などがよい例です。
光触媒による殺菌力効果で、水道水を3年間取り替えることなく保管することができるとして、水道水の長期保存を考えている方にとっては売れ行きも好調でした。
しかし、このメデタンクは、とある事情(主要材料が基材メーカーの事情により生産停止になってしまったことが理由のようです…)により、現在は生産終了となってしまったため、在庫が無くなり次第、入手することができなくなります。
水道水を飲料用としてくみ置きする場合、いくつか注意しなければならない点があります。
これを守らないと保存期間はより短くなってしまうので、下記に挙げるような事項に気を付けながら、正しい保存方法で保管するようにしましょう。
容器を洗い、よく乾かす! 容器が汚れていると雑菌が湧き腐敗しやすくなるので、初めて使用するタンクなどは容器内をよく洗浄(洗いやすいよう、できるだけ口の広いタンクの方がよい!)し、できれば一度、日陰干しにしてから使用する。なお、必ず飲料水専用(通常は白色)のポリタンクを使うこと。 |
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水道水を注ぐ! 水道水を勢いよく注ぐと、空気の泡が一緒に入ってしまうため、少しずつ(ちょろちょろ程度)注ぐこと。また、容器内に空気が残らないよう、口元に水があふれ出るほど満タンにしてからキャップを閉める。 |
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保存の仕方と保存場所 直射日光が当たるような場所に置くとバクテリアが繁殖してしまうので、必ず風通しの良い冷暗所に保管すること。適当な保管場所がない場合は、黒いビニール袋などを被せて遮光してもOK!一般的な保存用ポリタンクは長期間保存向けではないため、小まめに入れ替える(日付を書いたタグなどを取り付けておくとよい)。 |
非常時に備えて水道水を備蓄する際、意外とやってしまいがちな行為が次の2点です。
これをしてしまうと保存期間が短くなってしまうので注意しましょう。
水道水を一度煮沸してからポリタンクに入れる! 水道水に注入されている次亜塩素酸ナトリウム(いわゆるカルキ)は、煮沸してしまうと熱で分解されてしまい、空気中の雑菌を取り込みやすくなってしまうので、水道水を保存する場合は煮沸せずにそのままポリタンクに入れて保存すること。 |
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浄水器を使って入れる! 浄水器を使っている家庭も多いが、浄水器を通した水は残留塩素がなくなってしまうため、雑菌による汚染を受けやすい。 |