非常持ち出し袋に入れておきたい防寒対策用の定番グッズのひとつにエマージェンシーブランケット≠ェありますが、この製品には、いくつか問題点もあるようです。
そこで、エマージェンシーブランケットの基本的な使い方(用途)と問題点について、ザッとまとめておくので、非常持ち出し袋の品物リストに加えようか加えまいか迷っている方は参考にしてみてください。
大規模な地震が発生すると、電気や水道・ガスなどのライフラインが長時間に渡って断絶してしまうことがありますが、もし寒さの厳しい時期に、このような大規模災害に見舞われた場合はどうでしょう。
発生当時、戦後最多となる死者を出した1995年の兵庫県南部地震(いわゆる、阪神・淡路大震災)は、1月という寒い時期に起こった震災のため、被災者の中には暖をとることができずに低体温症などの2次被害に悩まされた方も多いようです。
人は身体が冷える(体温の低下)と体力の消耗が激しくなり、場合によっては生命の危機に直面します。
そのため、寒さの厳しい季節に暖が取れないような被災地で、長期間、避難生活を続けなければならなくなったときには防寒対策が不可欠ですが、そんな時に手軽に防寒効果が得られるとして非常用持ち出し袋のリストに推奨されているグッズのひとつがエマージェンシーブランケット≠ナす。
エマージェンシーブランケットは、携帯性も重視されたグッズなので、平常時は手の平サイズの専用ポーチやパッケージに折りたたんで収納しておくタイプのものがほとんどです。
使い方はとても簡単で、パッケージを開けたらシートを広げたら、後は身体に巻きつけるだけです。
市販のエマージェンシーブランケットは、各メーカーによって商品名(非常用ブランケット/サバイバルシートなど)やサイズ、材質、デザインなどに若干の違いは見られますが、使い方に関しては、メーカー問わず、そのほとんどに大きな差は見られません。
ただし、下記に挙げるような点に注意して使用しないと、十分な保温効果が得られないものも多いようです。
ブランケット自体に発熱効果はないので、シート端末をしっかりと閉じ、体に巻きつける。 生地が薄いため、接地面の温度が低い場所(コンクリートや床など)に直接座ったり寝転んだりすると、保温効果が低下してしまうので、間に布や段ボールなどを挟むとよい。 |
この手の防災グッズは、実際に使ってみてはじめて、●●はどうだとか、ここはこうした方がよいのではないかといった点が見えてくるものです。
そこで、実際に市販のエマージェンシーブランケットを購入して使用感を確かめてみたので、個人的に気付いた(気になった)点についてまとめておきましょう。
今回、私が購入したブランケットは、USA製の非常用ブランケットで、価格は500円程度、文庫本より一回りくらい小さくしたサイズの商品です。
パッケージに収納されている分には非常にコンパクト(大きさはポケットティッシュ程度)で保管に困りませんが、一度広げてしまうと、もとのサイズに戻すことは非常に困難です。
つまり、未使用前に比べると、どうしても厚みがでてしまうので、たたみ方でイライラしてしまう方も出てきそうです(間に空気が入ってしまうことやシワなどが原因…)。
この点については、楽天の購入者レビューなどでも指摘されていましたが、身をもって体験することができたことになります。
さて、気になるエマージェンシーブランケット本体ですが、生地自体は非常に薄っぺらく高級感はまるでありません。
この点に関しても値段相応という感じがします。
また、問題の保温効果ですが、実際にブランケットを体に巻きつけてみたところ、確かに体温の放熱をある程度は防いでくれる機能があることがわかりましたが、寒さの厳しい場所で使用した場合のことを考えると、本当に寒さを凌げるのかどうか少し不安を覚えます。
したがって、あくまで一時しのぎ的な防寒対策グッズ(もし用意できる環境にあるならば毛布などの方がベスト!)と理解しておいた方が良さそうです。
素材が薄っぺらく、風が吹いている野外で使用するとヒラヒラとめくれあがり、隙間風が入りやすい… 素材のせいか、生地と生地が擦れあう音がガサガザと少し耳障り… 一度、広げてしまうと、元のサイズに折り畳むことは難しい… 耐久性が弱く、雑に扱ったり、金具や木などに引っ掛けると破れてしまうおそれが高い… |
ただし、このエマージェンシーブランケットは、防寒対策以外にも、広げてシートにしたり、女性の着替えや仮設トイレの際の目隠しにするなど、非常時には多目的に活用できるので、用意しておけば何かの際に役立つと思われます。
ちなみに、少々値段は張りますが、安価なアルミ製ブランケットとは違い、生地が厚めのスポーツマンブランケットという製品もあります。
これはちょっとやそっとでは破れない丈夫な素材で、かつ、防風性・防水性に優れていることから非常時のブランケットとしても利用可能です。
災害に備えて、食料や飲料水を備蓄している家庭は多くても、トイレ対策は何もしていないという家庭は少なくないはずです。
しかし、ひとたび避難生活を送るとなると、被災地で最も不便なことはトイレ≠セと言われています。
特に女性は男性よりも深刻な問題となってくるので、前もって個人個人でトイレ対策を行っておきたいものです。
最近は非常時向けの衛生面を重視した携帯の簡易トイレなども手頃な価格で販売されているので、万一に備え、何セットか購入しておくとよいかもしれません。