大地震などの災害に備えて、非常食を備蓄しているという方は多いかもしれませんが、意外と軽視されがちなのが食器≠ナす。
袋がそのまま器として利用できるスタンドパック式(アルファ米など)のパッケージを採用している商品ならまだしも、そうでない場合は、食料とは別に器や箸・スプーンなどの食器がなければ食べられない(食べにくい)こともあります。
そこで、今回の体験レポでは、あると便利(?)な食器折り紙≠ニいうユニークな防災グッズを入手してみたので、実際に使い非常時に役立つかどうかチェックしてみたいと思います。
今回、取りあげる『非常用食器折り紙』は、株式会社アーテックが製造販売する防災用品のひとつです。
潟Aーテックは、学習教材のトップメーカーで、主に幼稚園や学校教育に役立つグッズ(工作、ブロック、文具など)の製造販売をしていますが、防災・防犯用品なども幅広く手掛けているようです。
というわけで、さっそく商品チェックをしていきましょう!
こちらが『非常用食器折り紙』なる防災グッズです。
外装はまさに折り紙≠サのものですが、価格は100〜200円前後(1袋5枚入り)するので、1枚当たりのコストは折り紙の比ではありません。
サイズは、一般的な折り紙(15cm×15cm)よりも一回りほど大きい(19.5cm×19.5cm)ものの、枚数が少なく厚みがないので、紙コップや紙皿などに比べると、保管スペースに困るということはなさそうです。
紙質は滑らかで、手に馴染む・吸い付くとでも表現すればよいのか、とてもしっとりとした独特の柔らかさ(ビニール系の質感)を感じます。
では、実際、食器用折り紙は、いったいどのようにして使うのかというと、それはパッケージ裏面に書かれているイラスト入りの手順(折り方)に従って、コップやお皿を作ることから始まります。
だったら、わざわざ高い金を出してまで、食器折り紙を購入しなくても、市販の折り紙で十分なのでは?と思った方もいることでしょう。
確かに一理ありそうですが、非常用≠ニ名の付くだけあって、この食器折り紙は、一般的な折り紙と紙質≠ェ大きく異なります。
簡単に言ってしまえば、食器折り紙は木材パルプを一切使用していません。
その代わりに、石(材質は炭酸カルシウムと高密度ポリエチレン)を主原料とすることからストーンペーパー≠ニ呼ばれているようです。
ストーンペーパーの特徴については、商品パッケージ裏面に記載されているので、下記画像を参考にしていただければと思いますが、要は木材パルプに比べて、耐水性、耐久性、耐熱性に優れている!ということになります。
しかし、材質が石とはいえ、使用上の注意に目を通してみると、何点か気を付けたい事項(電子レンジは不可!など)も書かれているので、使用前に必ず一読しておくことをおススメします。
それでは、パッケージチェックはこのくらいにして、さっそく食器を作ってみましょう!
パッケージ裏面に描かれている食器の折り方はコップと長皿の2点なので、まずはコップの方から作ってみました。
その画像がこちらになります。
特に作り方が複雑で難しいということはありませんが、折り方(【画像:下】に示した角の位置によって、仕上がりが大きく変わってくる)によっては完成したコップの角がやや不揃いになってしまうので、几帳面な方だと、きっちりと角が揃うまで何度が折り直さないと気が済まないという方も出てくるかもしれません。
とはいえ、コップとして機能すれば、多少のズレなど気にならないという性格の持ち主であれば、コップは1分もあれば十分完成するはずです。
一方、コップに比べて、完成までに多少時間が掛かってしまう食器が長皿です。
といっても、2〜3分もあれば作れる代物なので、パッケージ裏面に書かれたイラスト通りの折り方(手順)に従えば、誰でも作れるはずです。
参考までに、長皿の方もアップしておきましょう。
それでは、完成したコップを実際に使ってみたいと思います。
コップに水を注いてみましたが、特に紙質が柔らかくなって持ちづらくなったとか、紙に水が染みて漏れ出してくるというようなことはなく、コップとしての機能は十分に果たしているようです。
しかし、機能とは別に気になる点が2つあります。
まずひとつめは、一杯あたりの容量です。
せっかくなので、計量カップを用意し正確に計ってみましたが、コップに並々と注いだ水量を移し替えた計量カップが示した数値は、わずか120cc…
どうやら、量の方はあまり期待できそうもありません。
そして2つめは、液体の入った状態でコップを置くことができない!という点です。
折り紙コップは底面が平らなわけではないため、紙コップなどに比べると、使い方は制限されそうです。
ちなみに、ストーンペーパーは繰り返し使える(食器用洗剤もOK!)ということなので、一度作ったコップを元の状態に戻してみましたが、折り目は残るものの、特に破けたり折り目の強度が弱くなっているというようなことはみられませんでした。
次に、ストーンペーパーの耐水性をチェックするため、紙に向かってしばらく水をかけ続けてみましたが、紙の強度が落ちることはなく、ふきんなどで水気を拭き取れば、たちまちしっとりとした元の状態に戻り、耐水性についても特に問題はみられません。
では、耐久性はどうか?
結論から言ってしまうと、素手で引き裂くことは可能です。
しかし、木材パルプなどに比べると、引っ張りや曲げに強く、適度に柔軟性もあるため、力を加えると、まずは紙が伸び、その伸びが一定の限界に達すると、スパッと切れるといった感じでしょうか。
そのため、ちょっとやそっとの力で簡単に裂けたり破れるようなことないので、食器として利用する分の強度は十分にありそうです。
しかし、紙そのものは柔らかいので、あまり重いものを乗せてしまうと、器の形状が崩れ不安定になってしまうため、お皿として使用する場合は使い道が制限されるかもしれません。
さらに、このストーンペーパーはメモ用紙としても使えるということなので、筆記性についても試してみました。
ボールペン、鉛筆ともに滑らかに走り書きできる(ただし、シャープペンの場合は、芯の先端の角度によって、多少、引っ掛かかりを覚えた…)ことを確認しました。
筆記性で特に私が感心したのは、水に濡れた状態でも鉛筆が問題なく使える!という点です。
一般的な木材パルプを原料とする紙は、濡れたままでは鉛筆の字がぼやけて見えにくくなってしまいますが、このストーンペーパーは、はっきりと文字を書くことができます。
場所や筆記具を選ばず、いつでも問題なくメモが取れるという点は、非常に評価したいところです。
しかし、正直なところ、食器としての使い勝手はあまりよろしくないため、あればあったで状況によって利用価値もありそうですが、強くお勧めするほどの防災グッズには思えないというのが私の個人的な感想です。
紙コップや紙皿に比べると、保管スペースをとらない! 耐水性・耐熱性・耐久性・筆記性に優れている! 食器としての使い勝手はいまいち! |