震災対策の知恵袋

モーリアンヒートパックとは?

あなたはモーリアンヒートパックという商品をご存知でしょうか。

モーリアンヒートパックとは、温めなければ食べられない(あるいは、食べにくい)食品を水と特殊な発熱剤の化学反応によって加熱処理する防災グッズのことです。

そのため、火や電気が使えない恐れのある非常時に備えて、非常食とセットで備蓄されている方も意外と多いようです。

このモーリアンヒートパックは、実は私が前に食レポで紹介したレスキューフーズ一食ボックス :カレーライス【食レポ①】にも使われていたようなので、その実力は既に確認済ですが、まさかモーリアンヒートパックというネーミングで加熱袋や発熱剤が販売されているとは知りませんでした。

※ レスキューフーズ一食ボックスの加熱剤はモーリアンヒートパックを開発した㈱協同の技術が使われています。

そこで、さっそく、いくつか購入してみたので、今回は適当な食材をいくつか温めながら、その加熱処理の効果を再確認してみたいと思います。



モーリアンヒートパックを使って食品を温めてみよう!

加熱袋と発熱剤今回、私はMサイズのモーリアンヒートパックを購入しましたが、加熱袋は3種類(S/M/L)、発熱剤は4種類(S/M/L/SL)のサイズが用意されているようです。

そのため、使用目的に合わせて適切なサイズのものをチョイスすれば問題ありませんが、あまり小サイズだと温められる食品の大きさや数が限られてしまうので、防災目的で購入するのであれば、複数の食品が一度に温められるMサイズ以上のものをお勧めします。

では、まずは加熱袋から、少しチェックしてみましょう。

袋の素材はプラスチックらしく、クリアーホルダーのような手触りで、そこそこ厚みもあり(0.1mmくらい?)非常にしっかりとした作りのチャック付きパックです。

加熱袋の特徴袋の中に入れた食品が見えるよう正面には窓があるため、加熱処理中の過程がリアルタイムで鑑賞でき、また、袋の底を広げることで立たせることのできるスタンドパック式になっているのが特徴です。

一方、加熱処理に欠かせない発熱剤の方はというと、こちらはアルミ袋に入っており、表面には有効期限と年月が刻印されていることから、使用期限(5年?)があることがわかります。

ということは、定期的に交換しなければ、いざ!という時に役立たない恐れが出てくるかもしれません(とはいえ、頻繁に買い換える必要はない)
モーリアンヒートパックの使い方
なお、発熱剤を使用する際に特に注意すべき点は、下記に示す2点です。
  • アルミ袋(外袋)は水の計量カップとして使用する!
  • 開封後の発熱剤は1時間以内に使用すること!
中には、アルミ袋をすぐに捨ててしまったり、発熱剤を開封したまま放置してしまう人もいると思うので、その点はくれぐれも注意してください。
発熱剤
ちなみに、モーリアンヒートパックはセット販売(加熱袋と発熱剤の2点)もありますが、単体での購入も可能です。

しかし、加熱袋を用意しただけでは温めることはできないので、必ず発熱剤も一緒に備蓄しておくようにしてください(発熱剤は消耗品(1回に1袋)ですが、加熱袋の方は再利用(2~3回)できるようです)。



実験開始!

では、準備が整ったところで、さっそくモーリアンヒートパックの加熱処理の実験に入ります!

モーリアンヒートパックを使って、いったい何を温めようか迷いましたが、ここはやはり定番の缶詰と缶飲料、それと非常食ではありませんが、どれくらいの熱量が発生するかを確かめるために、生卵を入れて、ゆで卵になるか実験してみたいと思います。
実験用の食品
なお、缶詰は常温保存していたホテイのやきとり缶を使用、缶飲料はボスの缶コーヒー贅沢微糖(185g)、そして、卵は前に食べたおでん缶【食レポ⑤】の空き容器に水を入れ、その中に卵を沈めてゆで卵を作ってみます。

ちなみに、水温(実験前は約15℃)がどの程度まで上昇するかも合わせてチェックすることにします。

発熱剤2さて、モーリアンヒートパックの加熱袋の底を広げて立たせたら、アルミ袋から取り出した発熱剤を袋の底に平らに置き、温めたい食材が発熱剤と接するように工夫して入れ、計量カップとして使用するアルミ袋を使って、加熱袋内に水を注ぎます。

すると、水のかかった発熱剤が、たちまち音を上げ、発熱し出すので、火傷しないよう気を付けながら袋のチャックを閉め、後は加熱処理が終わるまで待つだけです。

ちなみに、Mサイズのモーリアンヒートパックで加熱した場合の加熱持続時間は概ね25分程だそうです。
実験開始1
というわけで、キッチンタイマーで時間を計りながら、発熱剤がブクブクと激しい泡を吐き出しながら食品を温めている状況をボーッと眺めていましたが、予定の25分を経過しても、発熱処理は一向に収まる気配がありません。

・・・・30分・・・・35分

長っ!

いったいいつまで加熱し続けるんだ!とツッコミを入れたくなるくらい頑張る発熱剤で、さすがにもういい加減眺めるのにも飽きてきており、若干、ストレスを感じ始めていましたが、発熱剤の勢いはだいぶ衰えているので、もう少しの辛抱です。
発熱中
それから数分待っていると、思った通り蒸気も上がらなくなり、加熱処理終了~!

ちなみに、加熱持続時間は約40分、予定の25分を大幅に超える頑張りを見せつけてくれました。
加熱処理終了
さっそく加熱袋のチャックを開けて、火傷に気を付けながら食品を取り出してみましたが、よく見ると食品容器のそこかしこになにやら白い粉のようなものが・・・

どうやら、発熱剤から溶けだしたらしい粉のようですが、どう見ても体には良くなさそうなので、布巾で拭き取るなり、あるいはお湯でサッと洗い流すなどしてから、食べた方が良さそうです(発熱後の残り水は無害ですが、飲めないといった注意書も…)。



まとめ:モーリアンヒートパックの発熱効果

では、さっそくモーリアンヒートパックの温め効果をチェックしてみましょう!

缶コーヒーまずは、缶コーヒーから・・・

加熱処理直後の缶はとても熱いので、火傷はしないまでも、しばらく握りしめていると、手を放してしまうほどの熱は十分にもっています。

そのため、自販機で良く温められたホット並みの温かさを感じられるので、冬場であれば、ちょっとしたカイロとしても利用できそうです。

もちろん、缶がコレだけ熱いので、コーヒーの方もよく温まっており、美味しいホットコーヒーをいただくことができました。

次は、やきとりの缶詰を食べてみたいと思います。

やきとりの缶詰容器を持った感じでは、缶コーヒーほどの熱さを感じませんが、これはおそらく、缶詰の置き方が悪かったようです。

モーリアンヒートパックの加熱袋に入れた際、平らにして置くスペースがなかったため、このやきとり缶は縦にして入れてしまいましたが、その分、発熱剤と接する面が少なくなってしまいました。

そのため、十分な加熱処理が行われず、中途半端な温め効果しか得られなかったのではないでしょうか。

そう考えると、モーリアンヒートパックは、食品の置き方によって、温まり方に違いが出てくるのかもしれません。

では、最後に今回の実験の目玉でもある卵です!

水温の変化果たして、ゆで卵はちゃんとできているので、さっそくチェックしてみましょう。

卵を沈めた容器の水温を計ってみたところ、さすがに水の沸点である100℃近くにまでは届きませんが、それでも70℃という高温を示していました。

そこで、さっそく卵を手で掴み取り、思い切って叩き付けてみましたが、殻にヒビが入っても、中から液体が飛び出してくるような気配はありません。

さらに、恐る恐る一枚一枚殻を外してみたところ、若干、まだ白身が柔らかいものの、卵の原形を維持する立派なゆで卵ができ上がっていました。

ちなみに、半分に割ってみると、黄身の方も8~9割方固まっており、なかなかいい具合の硬さに仕上がっていることが下記画像からも分かっていただけるのではないでしょうか。
ゆで卵
今回はモーリアンヒートパックにいろいろな食品を入れて、その発熱効果を試してみましたが、缶詰の温まり方がいまいちだったものの、個人的には十分満足の行く結果となりました。

そのため、モーリアンヒートパックを使えば、火の使えない状況下(少量の水さえ確保できればOK!)でも食品を十分に温めてから食べることができるので、温めなければ食べにくい(あるいは、温かい食事がとりたい方)非常食を備蓄されているような方は、このモーリアンヒートパックを数セット用意しておくのもよさそうです。
実験終了

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