今回はレガーの岳食シリーズを試食してみたいと思います。
レガー(LAGER)は、スウェーデン語でキャンプ≠意味する言葉で、岳食シリーズは、主にアウトドアが好きな方のために開発された携行食ですが、軽くて持ち運びに便利なこと、そして、調理が簡単といった利点があることから、アウトドアだけでなく非常食としても十分通用するのではないでしょうか。
また、この岳食シリーズは、アルファ米やパンの缶詰とは違って、にゅうめんやカレーうどん、みそ煮込みうどんや山菜そばといった麺類系のメニューを揃えているので、災害時の食事に変化を与えて飽きさせないという点においても、検討してみる価値がありそうです。
そこで、レガーの岳食シリーズは美味しいのか !? 実際に食べて味の方をチェックしてみましょう。
レガーの岳食シリーズは、にゅうめんをはじめ、カレーうどん、みそ煮込みうどん、山菜そば、もち入りわかめうどん(2014年4月現在)があるので、どのメニューにするか迷いましたが、今回は、こちらのカレーうどんをチョイスしてみました。
カレーといえば、炊き出しの定番中の定番であり、食欲増進効果があるとされているので、このカレーうどんも非常食にピッタリなのではないでしょうか。
では、味をみる前に、まずはパッケージの方を軽くチェックしておきたいと思います。
サイズやアルミの光沢感が、どことなく前に紹介した美味しい防災食のラーメン【食レポ29】を思い出させますが、ドライフードなので、とにかく軽く、非常持ち出し袋に入れておく携行食にも良さそうです。
さて、パッケージ表面を見ると、奈良県にある素麺一筋の老舗(300年近い歴史がある)「三輪そうめん山本」がプロデュースしているらしく、その老舗店の伝統製法で作った独自の乾燥麺を使用しているようで、携行食とはいえ、麺に非常にこだわりを持っていることがうかがえます。
一方、パッケージ裏面を見ると、原材料や調理方法、賞味期限や栄養成分表示(1食あたりのエネルギーは306キロカロリー)といった、ごくごく基本的な情報が表記されています。
このレガーの岳食シリーズは賞味期限が1年間なので、非常食としてみると、やや短めに感じられますが、近年は賞味期限を重視するよりも、普段食べ慣れているものを少し多めに購入し、減ったら買い足す「ローリングストック法」を提唱する動きもみられるので、1年間常温保存できるのであれば、特に問題はないという見方もできそうです。
しかし、非常食は味よりも何よりも長期保存できてなんぼ!というように、とにかく賞味期限を重視するような方には、岳食シリーズの備蓄はよく考えた方がよいでしょう(また、賞味期限の表示が小さく、あまり目立つ場所に記載されていないという点も、非常食として評価はマイナスか…)。
では、パッケージチェックはこのくらいにして、袋の中身を取り出してみましょう。
ちなみに、パッケージ上部の両サイドに切り口があるので、ハサミなどの鋭利な刃物がなくても心配いりません。
袋内に入っていた内容物は、麺に粉末状のカレーだし、そしてかやく(ネギ)の3点が入っているだけなので、箸やフォークは自分で用意する必要がありそうです。
この点も非常食としてみるとマイナス点と言えるかもしれません。
では、次に乾麺の方を少し見てみましょう。
この麺は素麺の老舗「三輪そうめん山本」の伝統技法で作られたドライ麺で、一度茹でて水洗いした後、風味を損なわないよう特殊は方法で乾燥させているのが特徴です。
そのため、市販の乾麺(うどん)に比べるとだいぶ違うようで、麺は10cm四方(厚みは2〜2.5cm前後)の塊で、いかにも茹でてそのまま乾燥させたような形状をしており、麺自体に透明感があるので、かすかに裏側が透けて見えます。
また、よくみると、岳食のカレーうどんは、どうやら平打ち麺のようです。
一方、味の決め手となるカレーだしの画像がこちら。
特にこれといって特徴のない粉末状のカレーだしなので、可もなく不可もなくといった感じですが、食欲をそそるカレーのいい香りが漂ってくるのは確かです。
試しに手に取って一つまみ程舐めてみましたが、香辛料の辛さは控えめのように感じられます。
さて、ようやく調理に入るわけですが、この岳食のカレーうどんを非常食としてみた場合、次の2点において問題があります。
まず一つ目は、調理にコンロが必要であること!
過去に食べた麺類系非常食であるサタケのマジックパスタ【食レポ8】や美味しい防災食のラーメン【食レポ29】は、袋内に熱湯を直接注いで待つだけでしたが、このレガーの岳食シリーズは鍋を火にかけ4分間煮込まなければなりません。
そして二つ目は、調理に450mlもの水が必要になるということです。
※ ちなみに、マジックパスタは150ml、美味しい防災食ラーメンは300mlの水を必要とします。
状況にもよりますが、災害時は飲料水が貴重になることも十分考えられるので、1食分450mlの水を必要とする食事が果たして非常食として妥当なのかどうかという点が残るわけです。
このように、レガーの岳食シリーズは、あくまでアウトドア用の携行食なので、非常食としてみると、いくつか問題点も出てきますが、災害時の状況次第なので、その辺は臨機応変に対応するのが良さそうです。
では、調理方法に従って、鍋に水を注ぎ、沸騰したら麺を入れて、4分間ほど煮込んでみましょう。
4分経過したうどんがこちらです。
調理方法に従うと、火を止めたら器に移し替える前に粉末状のカレーだし加えてかき混ぜるようですが、できるだけ鍋を洗う手間を省くため、今回はカレーだしを加える前に、そのまま器の方に移し替えてみました。
茹で汁が白く濁っているようなこともなく、麺も艶やかで見た目はとても美味しそうです。
先に岳食のカレーうどんは、調理に450mlもの水を必要とすると言いましたが、このシリーズは特殊加工された麺を使用しているので、茹で汁を捨てる必要がないという特徴があります。
そのため、一般的な乾麺に比べると、水量は圧倒的に少ない量で済むので、麺類が食べたいという時には、非常に重宝される食べ物かもしれません。
付属のカレーだしを投入して、箸で軽くかき混ぜると、茹で汁が徐々にカレー色に染まり、汁自体もとろみを持ち始めます(時間が経つほど、とろみが増したように感じられた)。
最後に、かやくのネギ(こちらもフリーズドライ?)をトッピングしたら彩りもよいカレーうどんの完成です!
それでは、さっそく食べてみることにしましょう。
箸でつかむと、カレー汁との絡みもよく、麺のツヤと瑞々しさが十分に伝わってくる、幅5mm程の平打ち麺であることがよく分かります。
では、一口・・・
―――――― うまい!
麺には、しっかりとコシがあり、モチモチとした食感も十分に感じられます。
また何より麺のツルツル感が際立っており、舌触り、のど越し、どれをとっても申し分のない本格的なうどんではないでしょうか。
これは、下手なお店で出されるうどんよりも美味しいうどんです。
では、カレー汁の方はどうか・・・
先にも言いましたが、時間が経つほどスープのとろみが強くなるように思えますが、これは単に麺が水分を吸収したことが影響しているのでしょうか。
しかし、その適度なとろみ加減のおかげで、うどんとの絡みがよくなっているので問題はありません。
さっそく一口すすると、香辛料が効いているものの、辛さは程々に抑えてあるので、後からじんわりと辛さが襲ってきますが、どちらかというとマイルドな柔らかい辛さです。
そのため、市販のカレールーの中辛が問題なく食べられる程度の舌の持ち主であれば、老若男女問わず、辛くて食べられないということはないでしょう。
また、カレーライスのカレーとは違い、スープとしてのカレーを意識して作っているので、うどんに合うサッパリとした汁に仕上がっているように感じられました。
ただ、少し麺の量が少ないので、食べ盛りの学生や成人男性には1食分では少し物足りないような気がします。
かくいう私も、若干、物足りなさを感じたので、残ったカレー汁に冷や飯を入れて、スープを残すことなく完食しています。
賞味期限が1年程度の乾麺というだけでは、正直、岳食シリーズの麺類はそれほど魅力を感じませんが、茹で汁を捨てる必要がない、茹でた後に水洗いをしてぬめりを取る必要がないという点で、他の市販の乾麺にはない魅力があります。
レガーの岳食シリーズは、あくまでアウトドア用として開発された食品なので、非常食としてみると、問題点(鍋や火が必要など)もありますが、状況によっては十分利用できる食品なのではないでしょうか。
また何より、実際に食べてみて、味の方は申し分ないほどおいしいカレーうどんだったので、年に1度、非常食の入れ替えをするのが苦ではないという方には、ぜひ検討してみてほしい一品です。