今回、試食するのは、イワタニ・プリムス株式会社がプロデュースした山菜そば≠ナす。
麺類系の非常食は、これまでパスタやラーメン、うどんといったものを取りあげてきましたが、蕎麦は初めてなので、とても興味がそそられます。
いったいどんな味がするのか、また、非常食に適した食品なのかどうか・・・気になるところです。
私が手に持っている、こちらの商品がレガー岳食シリーズの山菜そばです。
岳食シリーズは、以前、カレーうどん【食レポ43】を試食しているので、今回で2品目となりますが、調理方法は基本的にどのメニューも一緒らしく、調理の際には鍋とコンロ(火)が必要になってきます。
災害時の状況によっては、火が使えなかったり、鍋があるとは限らないので、食べられる環境が限定される食品ですが、そもそも、レガーの岳食シリーズはアウトドアライフを楽しんでもらうために開発された保存食なので、非常食としての使い勝手という点においては、アルファ米やパン缶などに比べると、どうしても評価は下がってしまいます。
したがって、レガーの岳食シリーズを非常食にする場合は、その点を十分に理解しておく必要がありそうです(調理できない時のことも考えて、他の非常食も一緒に備蓄しておいた方が無難…)。
しかし、一方で非常食として利用できそうな機能も備えているので、非常時とはいえ、毎食、同じものばかり食べるのは嫌だ!という方にとっては、味のバリエーションを増やすという意味で重宝するかもしれません。
とくれば、後は味が問題なので、さっそく調理して食べてみたいと思います。
パッケージ裏面に記載されている調理方法によると、使用する水の方は、前に紹介したカレーうどんと同量の450mlですが、蕎麦だけに煮込み時間は約3分と、うどんよりもやや短めにできています。
パッケージを開封すると、めん、つゆ、かやく、七味といった計4点の小袋が入っていますが、箸などは入っていません。
そのため、ワイルドに手づかみで食べるなら別ですが、食べるための箸やフォークは前もって別に用意しておく必要がありそうです(この点も非常食として考えるとマイナス点)
では、調理に入る前に、内容物の方を少しチェックしてみることにしましょう。
まず、麺ですが、こちらは10cm四方に固められた塊になっており、パッと見はマルちゃん『緑のた●き』などのカップ麺との違いがよくわかりません(蕎麦の香りも特にしない)。
しかし、市販のカップ麺は大半が揚げ麺ですが、岳食のそばは、一度茹でたものを水洗いして特殊な方法で乾燥させたドライ麺を使用しているという点で大きく異なります(この違いが、味や食感にどのように影響するのかは、後ほど…)。
では、かやくの方はどうか?
岳食の蕎麦は山菜そば≠ネので、当然、トッピングの具材は山菜ですが、具体的にはゼンマイ・ワラビ・タケノコ・キクラゲの4種類が入っているようです。
こちらも麺と同様、フリーズドライ製法により、水分を飛ばして乾燥させたものを使用しているらしく、カラカラに干からびています。
一方、そばつゆは、意外にも粉末ではなく液体を使用。
希釈用(つまり、薄めて使用するタイプ)と記載されていることから、どうやら茹で汁に合わせて濃さ(量)を調整しているのでしょう。
ということは、そばを茹でる際には、できるだけ正確に水量を計った方が無難かもしれません。
七味の小袋に関しては、特に説明することはありません・・・といきたいところでしたが、この山菜そばに付いてくる七味はただの七味ではなく、どうやらゆず七味らしく、ゆずのいい香りがフワッとしてきます(ただし、ピリッと辛いことには変わりないので、使用の有無はお好みでどうぞ)。
それでは、調理方法に従って、岳食の山菜そばを作ってみましょう!
まずは、用意した鍋に水(450ml)を入れて火にかけ、沸騰させます。
沸騰した鍋の中にドライ麺を投入し、煮込むこと3分・・・
後は、器に移し替え、そばつゆ、かやく(山菜)を入れ、軽くかき混ぜれば山菜そばの完成です。
それでは、さっそくレガー岳食の山菜そばを食べてみましょう!
希釈用のそばつゆは、醤油ベースのさっぱりとした味で、薄すぎず辛すぎず、茹で汁との割合がちょうど良く、かつおダシもそこそこ効いているように感じられます。
メインの蕎麦については、思っていたほどそば粉の香りはしませんが、風味の方は何となく感じられ、フリーズドライ製法のおかげか、この手の乾麺にしてはコシもあります。
また、揚げ麺ではないので、しつこい油っぽさが口の中に残らず、後味がすっきりしているというのも個人的には嬉しい!(市販のカップ麺を食べると胃もたれするという人にもよさげ…)
一方、かやくの山菜の方はというと、こちらも湯に浸すと数秒もすれば、本来の瑞々しさを取り戻し、ゼンマイやワラビ、タケノコのシャキシャキ感やキクラゲのコリコリとした食感が楽しめ、いいアクセントになっています。
レガー岳食シリーズの山菜そばは、確かに『緑のた●き』などのカップ麺に比べたらコシがあり、蕎麦らしさを感じさせてくれる美味しい蕎麦だということは分かりました。
しかし、非常食に適しているか?という点からみると、あまり高い評価はできません。
茹で汁を捨てずにそのままそばつゆの薄め液として利用できるという点は評価できますが、火や鍋がないと調理できないという点はやはりイタい!
また、確かに蕎麦としてのクオリティは高いものがありますが、どうしてもそばが食べたければ、お湯さえ手に入れば食べられる安価な『緑のた●き』や『ど●兵衛』などがあります(まあ、油っぽさはありますが…)。
そのため、さっぱりとしたコシのある蕎麦が食べられるという点においては、岳食の山菜そばも魅力的ですが、やはり岳食シリーズの麺類は、非常食というよりは、あくまでアウトドアライフにお勧めの携行食のような気がします。