市販のレトルトカレーは、熱湯や電子レンジで温め直してから食べるタイプの商品が大半ですが、これは加熱前提のレトルトカレーが、動物性油脂を使用していることが大きく影響しています。
つまり、常温だとラード(味にコクを出したり、ソースのとろみ付けに必要)が白く固まり分離してしまうため、そのままでも食べられないわけではありませんが、決して美味しくはないからです。
ところが、今回、試食するハウス食品のレトルトカレーは、非常食向けに開発された長期保存可能な商品らしく、温めなくても美味しいカレーが食べられるとのこと。
実は当サイトで紹介してきたレトルト食品の中にも、常温でもウマい!をウリにした非常食はいくつかありましたが、全ての商品が必ずしも美味しかったわけではないので、これまでの私の経験から言わせてもらうと、温め直して食べることが前提の非常食は当たり外れがあると思っています。
そこで、食べもせずに「これはダメだ!」と決めつける前に、ハウス食品の『温めずにおいしい野菜カレー』も実際に食べて、味や非常食としてどうなのかを評価してみたいと思います。
最近は非常食の開発に力を入れる食品メーカーさんも増えているようで、常温で食べることを前提としたレトルトカレーも増えていますが、今回、私が試食するのは、冒頭でもお話ししたように、ハウス食品のLLヒートレスカレー『温めずにおいしい野菜カレー』(税込み:189円)です。
最近のレトルトカレーの価格はピンキリなので、非常食向けに開発されたこの商品が、一概に高いとは断言できませんが、安いものであれば100円前後で購入できるレトルトカレーも多いので、価格についてはチョイ高めと表現しておきましょう。
さて、こちらのレトルト食品、パッケージ裏面の作り方をチェックすると「ごはんに本品をそのままかけてお召しあがりください」と表記されており、まさに商品名どおりの食べ方ができるようです。
というわけで、今回は特に調理する必要もないので、皿にご飯をよそり、その上にカレーをかければ直ぐに食べ始めることができますが、ここは慌てず、まずはパッケージチェックからしていきましょう!
ハウス食品の『温めずにおいしい野菜カレー』には化粧箱はありません。また、あくまで非常食用に開発された食品なので、通常のレトルトカレーに比べると賞味期限も長めに設定されており、長期保存(5年間と表記されてはいるが、実際に届いた商品は5年以上〜5年半未満)が可能です。 ちなみに、LLヒートレスカレーのLLとは、ロング・ライフ≠フ頭文字なので、間違ってもLLサイズのカレーと勘違いしないように!
一方、原材料を見ると、ラードではなく、パーム油という植物性油脂を使用、また、常温でも油脂が固まることのないよう具材に肉を使っていません(まさに野菜カレー)。
なお、パッケージチェックをしてみて個人的に気になったことは2点、ひとつは辛さレベルが全く分からない!ということです。
袋には特に甘口、中辛、辛口といった表記はないので、いったいどの程度の辛さなのか、その点が非常に気になるところです。
ふたつ目は、賞味期限の日付が少し小さ過ぎるのではないかということです。
特に5年という長期保存可能な非常食なので、できるだけ目立つ位置にデカデカと記載してもらえると、定期的にチェックしている方にとっては有難いような気がします。
袋を開封した直後の内容物は、動物性油脂を使用していないため、常温でも脂の分離が見られず、このままでも十分イケそうな雰囲気があります。
参考までに、食レポ16で取り挙げた美味しい防災食シリーズの豚汁の画像も載せてみましたが、こちらも常温OK!のレトルト食品をウリにしていますが、袋の内側には分離した多量の油脂がこびりついているのが一目で分かります。
さっそく、皿によそったご飯の上に野菜カレーをかけてみたところ、見た目以上にとろみ感があり、まったく水っぽさはありません。
また、空袋の中身を覗きこんでも、分離した油のこびりつきは一切見られませんでした。
せっかくなので、ハウス食品の『温めずにおいしい野菜カレー』を器に移し、カレーライスを作ってみました。
内容量は200gと表記されていましたが、特に大サイズの具材がゴロゴロ入っているわけではないので、カレーソースの量はやや多めに感じられます。
ちなみに、カレーが温まらないよう、ご飯は炊飯釜で炊いた前日の冷飯を使っています(アルファ米とセットで食べるのがベストなのかもしれませんが、今回の食レポは、あくまでレトルトカレーが対象なので、そこまでこだわりませんでした)。
湯煎や電子レンジを使って温める必要のないレトルトカレーは本当に美味しいのか、さっそく食べてみましょう。
お皿に盛りつけたカレーライスは、分離した脂が浮いているようなこともなく、見た目は市販の温め直してから食べるタイプのレトルトカレーと遜色ないように思えます。
具材は1cm角のじゃがいもや人参がいくつか確認できますが、玉ねぎに関しては、どうやらソースに溶け込んでしまっているようです。
私が思っていた以上にとろみの強いカレーソースで、1口食べてみると、ラードや肉を使用していないせいか、しつこくない軽い口当たりのソースに仕上がっており、決して不味くはありません(レトルトカレー独特の香りや風味はありますが…)。
一方、具材のじゃがいもや人参に関しては、他のレトルト食品にみられるような味や食感とほぼ変わりないため、ホクホク感や歯ごたえはほとんど期待できないと思ってください。
さて、気になる辛さについてですが、ひとことでコメントすると甘い!に尽きます。
一応、香辛料も入ってはいるようですが、辛み成分はほとんど感じられず、甘口・中辛・辛口で分類するなら、間違いなく甘口に属する辛さレベルなので、よほどのことがない限り、小さなお子様でも安心して食べられるのではないでしょうか(ちなみに、甘いと言っても『カレーの王子さま』ほどの甘さではない)。
常温でも十分美味しいことは分かりましたが、では、温め直すとより一層美味しくなるのか?
せっかくなので、電子レンジで軽く温め直してから食べてみたところ、やはりカレーは温かい方が食べ慣れているせいか、常温に比べると食べやすいのは確かです。
しかし、『温めずにおいしい野菜カレー』は、常温でも十分美味しいと感じられるレベルのレトルトカレーなので、カレーはある程度辛くなければ食べる気はしない!という方にはお勧めしませんが、辛さにさえ目をつぶってしまえば、十分美味しいと思えるレベルのカレーではないでしょうか。
※補足情報:ハウス食品の常温で食べられるレトルトカレーは、現在、同商品以外にも販売されており、中辛のレトルトカレーもあります(ただし、賞味期限は3年間と若干短め…)。
最後に非常食を実際に食べてみて私が個人的に気になった点をいくつかまとめておきますが、火も水も使えない厳しい環境下を想定した非常食としては、かなり評価の高い一品と言えそうです。
どうしても器≠ェ必要になってくるので、できることならアルファ米のようなスタンドパック式の袋であると、より非常食としての価値が高まるのではないか…(見た目はともかく、ご飯(パン)を入れるだけで済む) 賞味期限の日付を、もう少し目立つ位置に大きく記載してもらいたい! 目安で構わないので辛さレベルを示してもらいたい! |