非常食としてはあまりにも定番過ぎたため、ついつい後回しにしてしまいましたが、前回の試食レポで紹した北海道かぼちゃカンパン【食レポ19】が意外とイケたので、プレーン味の乾パンにも興味がわいてきました。
とはいえ、あの味気無さそうな乾パンを、ただパリポリ食べるだけではつまらないので、今回はメーカーの異なる乾パンを食べ比べ、かつ、より美味しく食べるには、いったいどういう食べ方があるのか・・・?
その食べ方のアレンジを考え、実際に食べてみたいと思います。
なお、今回は、国内市場シェアの約7割を占めるらしい老舗の菓子メーカー三立製菓と、社名では負けていない、同じく老舗の菓子メーカー、ブルボンの乾パンを使用してみたいと思います。
では、さっそく味比べといきたいところですが、まずはその前に、三立製菓とブルボンとの乾パンには、どのような違いが見られるのか、基本情報から比較してみたいと思います。
上記写真は三立製菓とブルボンがそれぞれ製造販売している保存食用の缶詰入り乾パンです。
三立製菓は、ホームサイズ(475g)の大缶も販売していますが、今回は同量(100g)の小缶で比較してみたいと思います。
見てのとおり、デザインこそ異なりますが、缶サイズや缶切り不要のイージーオープン蓋、ブラスチック製のクリアキャップが付いているなど、特に大きな違いは見られません。
賞味期限についても、常温で5年間となっており、両者に差はなさそうです。
では、原材料やカロリーはどうなのか?
まず、原材料の方ですが、容器に記載されている表示を見る限り、両者に大きな違いはありません。
ただし、唾液の分泌を促すための甘物が、三立製菓は氷砂糖(ホームサイズでは金平糖)、一方、ブルボンはキャンデーとなっています。
次に、1缶(100g)当たりの栄養成分表を比較してみましたが、こちらもカロリーを含め、特に目を引くような大きな差異は見られません。
強いて違いを挙げると、三立製菓の方がナトリウム量が2倍であること、そして、ブルボンの方は乾パンと甘物の栄養成分を分けて表示している点くらいでしょうか。
では、さっそく開けてみましょう。
先にも説明したように、どちらもプルトップ式のイージーオープン缶なので缶切りは必要ありません。
また、開缶時の音もほぼ同じような感じで、ちょうど缶ジュース(炭酸なし)を開けるときに聞こえてくるようなカシュ!といった音に似ています。
中を覗くと、どちらの容器にも脱酸素剤が入っていますが、前回試食した北海道かぼちゃカンパンには入っていませんでした。
その違いがどこにあるのか少し気になったので調べてみたところ、どうやら脱酸素剤の有無は味や賞味期限に関係があるようです。
つまり、脱酸素剤を入れないと缶内の残存酸素によって乾パンの油脂が酸化するため、保存条件にもよるようですが、2〜3年で油臭を感じることがあるようです。
そのため、長期保存をウリとしている賞味期限5年間の三立製菓やブルボンの缶入り乾パンには脱酸素剤を入れることで油脂の酸化を防いでいますが、北海道かぼちゃカンパンは賞味期限が3年とやや短めなので、特に脱酸素剤は入れていないということなのでしょう。
さて、開缶してみて最初に思ったことは、何だか量が少ない・・・
北海道かぼちゃカンパンの時もそうでしたが、缶ブタの縁辺りまで乾パンが入っているものと思っていたら、2割程度の空スペースがあるので、意外と少なく感じてしまいます。
どちらの容器にもプラキャップが付いているので、一度に食べきる必要もないのだから、個人的には内容量100gにこだわらず、できるだけ乾パンの量を増やし、無駄なデッドスペースをなくしてしまった方が非常食としては良いのではないかと思うのですが、量が少なめなのには、何か他に理由があるのでしょうか?
ふと、そんなことを思いながら、それぞれの乾パンを皿に移し替えてみました。
どちらも同じような小山になりましたが、実際に乾パンの数を数えてみたら、やはり数も同数(計34個)。
ということは、先ほどのブルボンの栄養成分表を参考(三立製菓の容器に記載されている栄養成分表は、氷砂糖を含んだカロリー)にすると、乾パン1枚当たりのエネルギーは、約10キロカロリーとなりそうです。
さて、一見、どちらの乾パンだか見分けが付かないようにも思えますが、隣同士、並べてみると、実は大きさや表面の質感が一目で分かるほどの違いがあることが見てとれます。
具体的には、三立製菓の方がブルボンの乾パンに比べて一回りほど小さい…
また、三立製菓の乾パンは表面にツヤがあり、裏面がゴツゴツとして、やや雑な仕上がりに見えますが、ブルボンの方はマットなキツネ色をしており、裏面も丁寧な作りといった印象を受け、どちらかというと北海道かぼちゃカンパンに近い色形のように見えます。
では、気になる乾パンの味の方を食べ比べてみましょう!
まずは、三立製菓の乾パンから・・・
甘みが非常に少ないので、普段から濃い味付けに慣れてしまっている人には、砂糖の甘さなどはほとんど感じられないかもしれません。
しかし、その分、練り込まれているゴマの風味や香りが強く感じる乾パンです。
また、触感は思ったほど硬くはなく、サクサクッとした食感が心地よいのですが、やはりパサつき感は非常にあります。
そのため、2〜3個食べる分には問題ありませんが、食べれば食べるほど、それに比例して喉の渇きを訴える食べ物であるということは間違いなさそうです。
では、ブルボンの乾パンはどうか?
一口食べてみると、三立製菓の乾パンよりもだいぶ甘みを感じます。
そのため、ゴマの風味や味はそれほどでもありません。
また、サクサクッとした食感はどちらも一緒ですが、口の中でポロポロと砕かれ崩れていく感じが、三立製菓の乾パンの方が、やや粗いように感じられました。
また、表面のツヤが食感にも少なからず影響しているようで、三立製菓の方がツルッとした舌触りがあります。
ただ、パサつき感が残るという点に関しては、どちらも似たようなものなので、やはり乾パンを食べる際は、できるだけ飲み物とセットで食べた方が良さそうです。
しかし、こうして食べ比べてみると、乾パンもメーカーによって味や食感に特徴があるということが分かりました。
乾パンを製造しているメーカーは三立製菓やブルボンの他にもある(北陸製菓、国分、モントワールなど)ので、いろいろと食べ比べて、自分好みの商品を探してみるのも面白いかもしれません。
ちなみに、今回、2社の乾パンを食べ比べてみて、個人的に自分の口に合う(食べやすい)と感じたのは、国内で最も売れているらしい三立製菓よりも、ブルボンの方でした。
今回、老舗お菓子メーカーの乾パンを食べ比べた結果、甘みにも違いがあることが分かりましたが、あくまで乾パン同士で食べ比べた場合の甘さなので、普段から濃い味付けのものを食べ慣れている人にとっては、味気ない食品であることに変わりはありません。
そこで、この味気ない乾パンを、もっと美味しく食べる食べ方はないものだろうか・・・
ということで、身近にあった3種類のトッピングを用意してみました。
まずは、チョコレートから。
レンジで温めたチョコレートを乾パンに塗り、チョコサンドにしてみましたが、これはウマい!
チョコレートの甘さと、その味を邪魔しない乾パンの食感が見事にコラボっており、これはとても美味しいおやつとなります。
次に、粒あんをこんもりと乗せ、こちらもサンドにしてみましたが、これもイケる!(そういえば、しるこサンドってお菓子がありましたね)
どうやら基本的に甘い物系は乾パンに合うようだと結論付けようとしたら、なんとリンゴジャムがあまり私の口には合いませんでした。
ただ、リンゴジャムといっても、メーカーによって甘さや味が異なるので、一概にダメとは言えないと思いますが、サンド系で安定感のあるハズレなしの食べ方は、チョコレートやあんこがお勧めのような気がします。
では、次に乾パンのパサつき感を感じさせない食べ方はないものか調べたところ、次の2点が用意できたので、さっそく試してみました。
まずは牛乳の方から。
レンジで温めてホットミルクにしてから、乾パンを投入・・・
すると、写真のように乾パンの表面が徐々にふやけて柔らかくなってきます。
この状態になるとサクサクッとした食感は完全になくなり、牛乳を吸収してフカフカとした柔らから食感に変わりますが、温めたことで、より牛乳の甘さが加わるので、これはこれでなかなか美味しくいただけます。
一方、クノールのカップスープに乾パンを適当な大きさに砕いて入れてみましたが、こちらもクルトン感覚で食べられ、乾パンのパサつき感は特に気にならなくなります。
ネット上で検索すると、乾パンの食べ方は他にも多数紹介されているので、賞味期限間近の乾パンの処理に困っている方は、ただ食べるのではなく、食べ方をいろいろとアレンジしてみるのもよさそうです。