長期保存食を対象とした食レポを始めて数年が経ちますが、さすがに100食を超える商品を食べていると、中にはあまり美味しいとは言えない(ただし、好みもあるので、よっぽどのことがない限りマズイ!という言葉はできるだけ使いません)非常食に遭遇することがあります。
例えば、【食レポ7】で紹介したおむすびころりん本舗の『水もどりあんこ餅』がそのひとつ(ただし、この商品はマズイというよりも、単に私の好みではなかったというだけ…)で、あれ以来、即席もちを食べるのは避けてきましたが、あれから数年経った現在、なぜか再び即席もちが食べてみたくなったので、他メーカーの即席もちを購入し、試食してみることにしました。
その商品が『備食もち万年』です。
同商品を食べた方のコメントやレビューなどを拝見すると、思いのほか評価が高いので、本当に美味しいのか実際に食べて判断してみたいと思います。
『備食もち万年』という即席もちの総発売元は、石川県金沢市に本社を構える北陸製菓株式会社です。
ホッカの愛称で親しまれている同社は、主にビスケットや煎餅などの米菓を製造、企画、販売する菓子メーカーですが、私が調べたところによると、『備食もち万年』の製造元は、どうやら『水もどりあんこ餅』で私が低評価をしたおむすびころりん本舗株式会社のようです。
となると、食べなくても既に評価が出てしまったような気もしますが、今回はあんこ≠ナはなくきなこ(あべかわ)≠ノなるので、少しは違った結果になることを期待したいところです。
というわけで、まずはパッケージチェックから・・・
1辺が17〜18cmほどの正方形の形をしたパッケージで、厚み(約2cm)がなく、何より軽い(総重量:53g)のが魅力的です。
そのため、非常持ち出し袋に入れておくなど、携帯にも適した非常食といえますが、強いてマイナス点を挙げるとするなら、角丸加工(レジ袋などの薄い袋に入れても破れにくい)がほしいところです。
一方、パッケージ裏面には、原材料名や作り方、賞味期限などの基本情報(カロリー表示はない)が記載されていますが、ひとつ気になったのは、黄枠で囲った注意点の内容です。
環境温度が15℃以上になる場所で保管した場合は商品を3年で入れ替える事をおすすめ致します。 |
『備食もち万年』の賞味期限は製造日より5年間となっていますが、上記注意点に従うなら、常温保存の場合は3年を目途に交換した方が良いということになりそうです(国内に気温が15度を下回る地域は少ないかと…)。
おそらく、よほど高温の場所で保管しない限り、5年程度は持つだろうとは思いますが、なんとも気になる注意書きであることは確かです。
さて、切り口に沿って袋を開封し、中身を取り出してみると、トレー入りの乾燥餅と小袋に入ったきな粉、そしてプラスティック製の楊枝(直径8cm)が入っていました(脱酸素剤はなし)。
乾燥餅は計6枚、『水もどりあんこ餅』に入っていた餅に比べると、気持ち小さい(5.5cm×3.7cm×7mm)気もしますが、ほぼ同サイズといって良さそうです。
餅自体は硬く表面がザラついており、特にこれといって匂いもしない落雁のような見た目は、やはり『水もどりあんこ餅』の餅と変わりありません。
一方、乾燥餅が入っていたプラスティックトレーですが、こちらは調理時に使用するため、捨ててはいけません!
お皿などが用意できない災害時は、「水皿」という文字が見えるトレーの左側で乾燥餅を水で戻し(水は捨てる)、戻した餅を右側に移し、きな粉をまぶして食べることになります。
ではさっそく、調理というほどの作業ではありませんが、きな粉餅が食べられる状態にしてみましょう!
餅を沈めてもトレー(水皿側)から水がこぼれない程度まで水を注いだら、水皿に乾燥餅を沈めます。
※調理アドバイス:水を注いでから餅を沈めると、水が溢れてこぼれることがあるため、先に餅を並べてから水を注いだ方が水が溢れる心配はありません(調理によって味が変わることはありませんが、水皿で一度に6枚作ろうとすると、モチが取り出しづらくなる恐れがあるので要注意!)。
あまりにも早いため、正確な時間は計測できませんでしたが、カッチカチだった餅は10秒もすれば十分な柔らかさになります(この点は、『水もどりあんこ餅』の餅と同じ)。
餅が柔らかくなったら、一旦水を捨て、隣の受皿にきな粉をのせれば完成です!
それでは、完成した水もどり餅にきな粉を付けて食べてみたいと思いますが、まずは餅のモチモチ感をご覧ください。
附属の楊枝を餅に突き刺し、きな粉をのせた受皿に移動しようと持ち上げたところ、餅があまりにも柔らかく伸びが良いため、うまく持ち上がらず、下に落ちてしまいます。
しばらく悪戦苦闘して、ようやくきな粉と絡めたきな粉餅が【上画像:下】です。
さらに水皿に乾燥餅を3枚入れて餅を作り、お皿にのせてきな粉をまぶした即席きな粉餅の様子が【上画像】になります。
見た目は、とても美味しそうに見えますが、味の方はどうなのか、さっそく一口食べてみたところ、うまい!
・・・・あれ?
冒頭でも触れたように、期待はしていなかったのですが、予想に反して美味しい!!
餅は見た目どおり、非常に伸びがよく、噛めば噛むほどモチモチとした食感で、その柔らかさは不自然なほどですが、きな粉をまぶしたきな粉餅として食べると、なぜかこの即席きなこ餅は不思議とウマいのです。
製造元が同じであるならば、おそらく『水もどり餅』シリーズと同じ乾燥餅を使っていると思われますが、なんとなく『水もどりあんこ餅』の餅よりも美味しく感じられるのは、やはり気のせいなのでしょうか。
きな粉の香りや甘さが強い(『備食もち万年』のきな粉は甘すぎるといった評価もありましたが、個人的には、きな粉餅としての甘さとしては、これくらいがちょうど良いような気がします。)ため、あんこ餅よりも食べやすくなっていたのか、品質改良によって味が変わったのかは不明ですが、今回の予想外の美味しさに、他メーカーの即席餅も食べてみたくなったのは確かです。
ただし、味自体は個人的に満足のいく結果となりましたが、いくつか気になった点もあるので、最後にまとめておきます。
北陸製菓の『備食もち万年』を食べてみたくなった方は、少し参考にしてみてください。
\ | もち万年 | 水もどり餅 |
定価 (税抜) |
320円 | 440円 |
枚数 | 6枚 | 10枚 |
内容量 | 45g | 73g |
作り方の説明が少し不親切なので、イラストなどがあった方が分かりやすい… 15度以下の環境下で常温保存するのは難しい… とにかく量が少ない(きな粉の量は多め)! 10秒ほどで完成する即席もちなので、小腹がすいたらすぐに食べられる! 腹持ちは決して良くないが、小腹がすいた時に口にする気分転換のおやつにはちょうど良い 餅としては不自然な柔らかさだが、伸びが良くモチモチとした食感は、好きな人はクセになりそう 附属の楊枝ではモチがうまく刺さらず、食べづらい… 粉末状のきなこなので、トレーで食べる場合は、周りに粉がこぼれて周囲を汚しやすい… 水に漬けるとあっという間にできるため、子供ウケは良さそう きな粉(あべかわ)以外のバリエーションが欲しい! |