今回、試食する非常食は、あるお方(Kさん)より頂戴したこちらのパンの缶詰ですが、岡根谷のパン缶は、食レポではまだ一度も取りあげたことがありません。
このパン缶を譲ってくれたKさん曰く「ふっくらしっとりしていて、とても美味しいパンですよ」とのこと・・・
岡根谷のパン缶は、10年以上前、実家の両親が非常食用にと箱買いしたこともあって、社名は知っていましたが、実際、口にしたことはないので、試食は今回が初となります。
そのため、私の食レポのために提供してくれたKさんに感謝しながら、岡根谷のパン缶を食べてみたいと思います。
※補足:製造販売元の岡根谷が自己破産(2016年)したため、現在、商品は入手困難となっています。
そもそも岡根谷とは、昭和11年(1936)創業の酒類販売会社で、パンの缶詰の製造販売に着手したのは、平成11年(1999)のことです。
岡根谷のパン缶が、他のパン缶メーカーと一線を画すのは、ノベルティ商品に力を入れている点で、創業時から培った酒類販売のノウハウを活かし、オリジナルラベル(企業の求めに応じて、PBラベルを作成)のパン缶を作ることで、消費者の購買意欲をの高め、順調に売上を延ばしています。
そのため、岡根谷のパン缶は、パッケージラベルのユニークなレア商品が多いのも特徴のひとつですが、ラベルだけでなく、フレーバーの種類も意外と充実しているので、いろいろな味の保存パンを楽しむこともできます(ただし、フレーバーによって、賞味期限が3年と5年に分かれるので要注意!)。
私の手元にある、いただきもののパン缶は天然酵母シリーズのキャラメル味ですが、賞味期限は製造日から3年間となっているので、より長期保存可能なパン缶を求めている方は、賞味期限がさらに2年長い行政備蓄使用シリーズのパン缶を検討してみてください。
では、岡根谷の概要について、一通り説明が済んだところで、さっそく本題に入りましょう!
まずは、恒例のパッケージチェックからしていきます。
岡根谷のパンの缶詰:天然酵母シリーズは、4種類(2015年1月現在)ありますが、パッケージラベルは、どれもピンクを基調とした背景にパン職人のイラストを載せた共通デザインなので、保存パンがいったいどんなパンであるかは、中身を取り出してみるまで分かりません。
缶蓋はプルトップ式なので缶切りは不要、一方、缶底には例のごとく賞味期限が記載されています。
さらに、岡根谷のパン缶ラベルには、栄養成分表示(1食分:367kcal)が記載されているので、糖尿病などの持病がある方には有難い基本情報と言えるでしょう(栄養成分表示のないパン缶も少なくない)。
プルトップ式の缶蓋は、特に力もいらないため、子供からお年寄りまで、誰でも難なく開けることができ、開缶時の音も大きくはないので、周囲の人に迷惑をかけることもなさそうです。
薄紙に包まれた保存パンは逆さまに入っているため、パンに直接手を触れずに容器から取り出すことができ、衛生面にも十分気を使っていることがうかがえますが、どうやらパンが容器にピッタリとはまっているらしく、軽く上下に振った程度では、まるで出てくる気配がありません。
そこで、薄紙の一部を指で摘み、引っ張り出すことで、ようやく取り出すことができましたが、ご覧のとおり、パン側面の生地がめくれ上がってしまい、見た目に関してはやや残念な保存パンとなってしまいました(ちなみに、脱酸素剤は缶底で発見)。
こちらが容器から取り出した岡根谷の保存パンです。
パラフィン紙で全体をすっぽりと包んでしまったパン・アキモトの保存パンとは違い、岡根谷の保存パンは、底の部分にだけ薄紙を使用しており、非常時は、この薄紙を剥がしながら少しづつ食べていくこともできそうです。
ただ1つ気になったことは、薄紙にハリ付いてしまったパンの量が思いのほか多かったので、可能であるなら、この辺はもう少し改良の余地がありそうです。
こちらが岡根谷のパンの缶詰:天然酵母シリーズのキャラメルのパンです。
表面の一部がささくれ立って見えますが、これは先ほど説明したように、薄紙を剥がす際にどうしても起きてしまう現象なので、仕方ありません。
しかし、パンそのものは、非常にふっくらとした手触りで、これまで食レポで紹介してきたパンの缶詰の中では、おそらくアキモトのパン缶に次ぐ柔らかさを感じます。
また、表面も適度にしっとりとしているので、思っていた以上にパサついた印象は受けません。
さらに、中身を確認するため、保存パンをナイフでカットした断面図がこちらです。
岡根谷のキャラメルのパンは、パン生地にキャラメルシートを使っているため、表面だけではなく、全体的にもペースト状にしたキャラメルが入り込んでいる様子が見てとれます。
さらに、断面図をよく見ると、気泡の数が多く、そのふかっとした表情は、どことなくアキモトの保存パンに似ているような気がします(あくまで個人的な感想ですが…)。
では、肝心の味や食感はどうかというと、食感に関しては、Kさんの言うとおり、確かに岡根谷の保存パンは、柔らかいふかっとしたソフトパンに仕上がっています。
私は、これまでふかっとした食感のパン缶をお探しの方には、アキモトのパン缶【食レポ41】をおススメしてきましたが、岡根谷のパン缶も、どうやらアキモトのソフトパンに近い柔らかな食感が楽しめる保存パンと言えるのではないでしょうか。
一方、味の方はというと、キャラメルの甘い香りと味がふんわりと口の中に広がりますが、私が思っていたほど濃厚なキャラメル味ではなかったので、どうやら甘ったるい甘さがいつまでも口の中に残るということはなさそうです。
また、保存パン特有のパサつきはどちらかというと抑えめなので、もちろん飲み物があるに越したことはありませんが、たとえなくても、十分飲み込める適度なしっとり感があります。
これまでの経験から言わせてもらうと、パンの缶詰は、大抵温め直すと味や食感がさらに良くな傾向があります。
そこで、岡根谷のパン缶も電子レンジを使って2種類の方法(@レンジでチン Aオーブントースター)で温め直してみることにしました。
まずは、ラップで包みレンジでチン(500W20秒)したものですが、こちらは予想どおり、フカフカの柔らかいソフトパンに変化しており、パサつき感も、さらに軽減されています。
しかし、あまり温め時間が長いと、必要以上に柔らかくなり過ぎてしまい、フカフカというよりもフニャフニャの食感が、かえって食感を損なってしまうので、レンジでチンする場合は、5〜10秒刻みで様子を見ながら温めることをお勧めします。
次に、オーブントースターで表面がこんがりときつね色になるまで焼いてみましたが、こちらは表面がカリッ!中はモチッとした食感が楽しめるパンに変化していました。
もちろん、これはこれで十分イケますが、個人的には岡根谷のキャラメル味は、トースターで焼くよりも、レンジでチンするか、あるいは、常温のまま食べた方が美味しかったように思えます。
岡根谷のパン缶は常温でも美味しくいただけたソフトパンなので、私的には必ずしも温めた方が断然ウマい!とは思いませんが、無事、賞味期限が迫って食べる機会を迎えた時は、ぜひ、いろいろと食べ方をアレンジしてみてはいかがでしょうか。