今回、取りあげる非常食は三立製菓の乾パンです。
といっても、同社のロングセラー商品『カンパン』は、既に【食レポ20】で紹介済みなので、今回は2013年に発売された『フランス産小麦のプチバゲット』なる保存缶の方になります。
乾パンの国内市場、約7割を占めるとされる三立製菓の新商品は『カンパン』同様、息の長い定番商品となるのか・・・味に期待したいところです。
冒頭でも触れたように、そもそも三立製菓には、1972年に発売した長期保存可能な缶入り『カンパン』※があります。
※補足:ミニ缶(100g)のほか、ホームサイズの大容量(475g)も販売。
そこで、2013年6月に市場投入された新商品『フランス産小麦のプチバゲット』と同社の看板商品『カンパン』とでは、いったい何がどう違うのか・・・!?
両商品を比較してみたので、まずはこちらの表をご覧ください。
\ | フランス産小麦のプチバゲット | カンパン |
名称 | クラッカー※ | カンパン※ |
価格 | 200〜300円前後 | 200〜300円前後 |
賞味期限 | 製造日から5年間 | 製造日から5年間 |
内容量 | 85g | 100g |
原材料 | 小麦粉(フランス産小麦100%)、バター、砂糖、食塩、イースト、乳化剤、香料、酸化防止剤(ビタミンE) | 小麦粉、砂糖、ショートニング(大豆を含む)、胡麻、食塩、乳糖、ぶどう糖、イースト、炭酸カルシウム |
エネルギー | 351kcal | 410kcal |
氷砂糖 | ○ | ○ |
脱酸素剤 | ○ | ○ |
その他 | イージーオープン缶 プラキャップ付き |
イージーオープン缶 プラキャップ付き |
※補足:クラッカーもカンパンも、ビスケット(焼き菓子)の一種。ちなみに、国内では「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」により、糖分と脂肪分が全体の40%未満のものをビスケット、一方、40%以上のものをクッキーと定めています。
こうして両商品を比較してみると、特にこれといって気になるほどの差は見られませんが、『プチバゲット』の方は、原材料にバター(一方、『カンパン』はゴマを使用)を使っているようなので、もしかしたら、この辺りに大きな違い(味や風味)が見られるかもしれません。
容器はパンの缶詰などにもよく利用されているタイプの形状・サイズで、一度で食べきれなかった場合に保管ができるようプラスチック製のキャップが付いているのも嬉しい配慮です。
プルトップ式の缶蓋(アルミ製)を開けた直後の中身がこちらになります。
『カンパン』を試食した時にも感じたことですが、容器内には約1cmほどの空間があるため、割れを防ぐためにも、クラッカーの量をもう少し増やしてほしいと思ってしまうのは私だけでしょうか。
三立製菓の保存缶『フランス産小麦のプチバゲット』(以下、プチバゲットと略す)は、内容量が85gとやや少なめです。
そこで、味を確かめる前に、いったい何個のクラッカーが入っているか数えてみました。
その結果(クラッカー:51個 / 氷砂糖:6個)を基にカロリー計算してみたところ、クラッカー1個当たりのエネルギーは、どうやら6〜7kcal※となりそうです。
※補足:容器側面に記載されている栄養成分表(351kcal)の数値は、氷砂糖も含まれているため、正確な数値は不明…。そこで、氷砂糖のエネルギーを約40kcal(1g当たり4kcalの氷砂糖10g)として算出しています。
では、クラッカーの味の方はどうか、さっそく食べてみましょう。
直径約3.5cm(幅:約2cm × 厚み:約1.3cm)ほどのクラッカーは、そのコロンとしたフォルムが可愛らしく、定番の乾パンに比べると、女性ウケしそうです。
また、バゲットというネーミングに相応しい形状のクラッカーに仕上がっているのも、中々のこだわりではないでしょうか。
※ バゲットとは長細い形状が特徴のフランスパンの一種。
先に『プチバゲット』は『カンパン』とは違って、原材料にバターを使用している点に触れましたが、缶内からは非常に強いバターの香りと小麦の香ばしさが感じられ、何ともいえないいい香りが食欲をそそります。
一口食べてみると、思っていたよりも硬くなく、サクサクとした噛みごたえ(ラスクのような食感…)がクセになりそうですが、やはり『カンパン』同様、口の中にパサつき感は残るので、喉が渇く点は否めません。
クラッカー自体は塩気がなかり控えめなので、ほとんど味がしないと感じてしまう人もいそうですが、その分、繊細な小麦の香ばしさや甘さ、バターの風味や香りを楽しむことができる方にとっては、そのシンプルな味がクセになり、美味しいと感じられるのではないでしょうか。
一方、氷砂糖の方は、砂糖やグラニュー糖のような甘さはなく、ほんのりと甘さを感じる程度の柔らかな甘さなので、クラッカーの味を損なうような強烈な主張もありません(ウマからず、不味からず、いい意味で普通の氷砂糖…)。
そのため、甘いものが苦手な方でも口にしやすく、クラッカーで口の中がパサついてしまった方の唾液を引き出すアイテムとしては当たり障りない脇役といえるでしょう。
小麦やバターのシンプルな味わいを楽しむには、かなり良質な一品のような気もしますが、非常食として備蓄しておきたいかというと、正直、微妙なところです。
むしろ、個人的にはサラミやチーズを用意し、ワインのようなアルコール飲料と一緒につまみたい・・・そんなパンスナックのように思えます。