長期保存可能な食品を販売している国は、なにも日本だけとは限りません。
当食レポでも、以前、賞味期限の長さが尋常でないサバイバルフーズのクラッカー【食レポ39】を取り上げたことがありますが、日本ではあまり見かけないようなユニークな食品を製造販売している国は海外にもあるようで、興味深い商品を発見した際は、なるべく購入するよう心掛けています。
そこで、たまには海外の保存食にも目を向けてみたいと思いますが、海外食品は味付けが日本人の口に合わないものも多いと聞きます。
今回、紹介するスペイン産のパスタサラダは果たして美味しいのか、実際に食べて判断してみましょう。
ヴィヴィールの『メディタリアン パスタサラダ』は、静岡県三島市にあるエフエルジャパンが輸入するスペイン産の缶詰入り保存食で、国内では1缶当り400円程度で売られているようです。
せっかくなので、ヴィヴィール(ViViR)というブランド名や輸入者のエフエルジャパンについて少し調べてみましたが、同ブランド商品は、パスタサラダの他にペンネサラダがあること、エフエルジャパンは、飲料、食料品の海外製造、販売(輸出入貿易)食料原料の輸出入、及び製品の卸売り業務をしている資本金2,000万円の株式会社だということくらいしか分かりませんでした。
そこで、ネット検索では限界を感じたため、輸入元のエフエルジャパンに、直接、問い合わせてみたところ、次のような解答をいただきました(ご協力、感謝!)。
ヴィヴィール(ViViR)とは、国内向けに販売している商品に付けられたブランド名(製造元の商標権が得られなかった) 同商品はスペインでも販売しているが、日本人の口に合いそうな2種類のパスタを輸入して国内販売している 原産国以外の製造元(会社名など)情報は企業秘密で教えられない(ただし、国の許可は得ているとのこと…) |
それでは、輸入者情報はこのくらいにして、パッケージ(容器)チェックからしていきましょう!
国内で販売している一般的な缶詰に比べると、だいぶ様子が異なり、パッと見は、ミニサイズのカップラーメンといったところでしょうか。
スーパーなどでよく見かけるツナ缶などに比べると、1回りどころか、2〜3回りは大きめの容器で、手に持つとずっしりと重みを感じ、総重量は289g(内容量は250g)となっています。
一方、缶底には賞味期限が刻印されており、同商品は製造日から3年間の常温保存が可能なようです。
容器側面に巻き付いている包装フィルムには、原材料名や栄養成分表、食べ方、注意点などに関する基本情報が記載されています。
特にこれといって特筆すべき点はないので、この辺りはサラッと流しますが、あえて補足するなら、容器を直接電子レンジで温め直す行為は禁止されているので、その点だけはくれぐれもご注意ください。
容器を開封するには包装フィルムを取り外さなければならないので、まずはミシン目に沿って剥がします。
外蓋の内側にはプラスチック製のフォークが付いているので、これも取り外すことになりますが、日本ではあまり見かけない色使いで、しかも柄が短い!
フォークにバイオレットカラーをチョイスするセンスが、日本人の感性とは少し違う方向に向いているような気もしますが、フォークの柄が短すぎるというのも問題で、非常に使いづらいものがあり、ひと工夫欲しいところです(外蓋に納まりきらないというのであれば、折り畳み式にするなど…)。
同商品は容器に缶詰を用いていますが、内蓋はアルミシートになっているため、缶切りは不要です。
また、アルミシートも抵抗なくスムーズに剥がすことができ、この点は国内の缶詰保存食にも取り入れて欲しい優れた技術ではないでしょうか(ただし、プルトップ式の缶蓋と比較して、密封性に問題がないという条件付きですが…)。
開封直後の中身がこちらになります。
ご覧のとおり、ショートパスタと色とりどりの具がぎっちりと詰まっており、付属のフォークでほぐそうにも、容器からこぼれ落ちてしまいそうで、なかなかどうして上手くかき混ぜることができません。
この点は内容量を少し減らすか、あるいは容器サイズを少し大きくするなど、ゆとりをもたせる工夫が必要かもしれません(ただし、容器内の空気量を極力減らすことが目的だとすると、話は変わってきますが…)。
さて、このパスタサラダ、缶詰が器としての機能をもっているため、そのまま直接食べることもできますが、今回は食レポということで、別に用意した器の方に移し替えてみることにしました。
この時になって初めて気づいたことですが、原材料欄に記載されていたかつおフレーク(いわゆる、ツナ)は、塊となって缶底に敷き詰められていたため、食べ始める前にしっかりとかき混ぜなければ、最後にツナだけを食べることになります。
この点を踏まえると、やはり別に用意した器に移し替え、よくかき混ぜてから食べた方が美味しくいただけるのかもしれません。
メディタリアンには、どうやら地中海という意味があるようなので、同商品は地中海風パスタサラダということになるのでしょうか。
ツナをほぐし、パスタとよく絡めたので、さっそく『メディタリアン パスタサラダ』をいただいてみましょう!
『メディタリアン パスタサラダ』はフッジリ(違う種類であったら申し訳ない…)と呼ばれるショートパスタを使用しています。
ちなみに、らせん状のパスタはソースの絡みが良いということで、海外はもちろん、国内でも好んでよく使わている種類です。
よく見ると緑色のパスタも確認できますが、これは生地にほうれん草を練り込んだものと思われます。
一方、具材はツナ(かつおフレーク)に加え、3種類の野菜(とうもろこし、人参、トマト)が使われており、その量もパスタの量に対して少ないといった印象はありません。
1缶250gとボリュームがあり、これだけでも十分主食になるという点は魅力的ですが、では、肝心の味や食感の方はどうなのか、まずは常温のまま食べてみることにします。
パスタは、既に茹でた調理済みのものを缶詰に詰めているため、やはりどうしてもパスタ特有のコシ(弾力)やもっちり感に物足りなさを感じてしまいます(とはいえ、フニャフニャで完全にコシや歯ごたえがないわけではない)。
また、ほうれん草入りのパスタも、残念ながら私にはプレーンのパスタとの区別はつきませんでした。
具材の方はというと、1cm角にカットされた人参やトマトは、流動食のような噛みごたえのないグシャとした舌触りで、食感を楽しむことはできませんが、この点は国内製の非常食も一部の商品を除くと例外ではないので、単純に比較はできないでしょう。
海外製の食品は、質より量を優先するようなイメージがどうしても拭い去れないため、失礼とは思いつつ、味についてはあまり期待していませんでしたが、実際に食べてみた感想は、やはり大味・・・
輸入元のエフエルジャパンの話では、日本人ウケしそうなものを選んだとのことですが、それでも味付けは単調で深みがないため、どうしても飽きが来てしまいます。
そのため、塩気やオリーブオイル(決して油っぽく、オイリッシュというわけではない)、食酢の香りの強さが気になってしまい、個人的には、もう少し素材の風味や味を活かせるような控えめの塩加減にして調味料の方に工夫をすると、少しは日本人好みの味に近づくような気がします。
とはいえ、決して不味くて完食できない!というレベルのものでもないので、パスタ系の長期保存食を求めているなら、一度、食べてみる価値はありそうです。
ヴィヴィールの『メディタリアン パスタサラダ』は、文字通りサラダ≠ニいうことで、特に温める必要はありませんが、せっかくなので、電子レンジで温め直すと、味にどんな変化が生まれるのか試してみることにしました。
結論から言ってしまうと、たいして味は変わらない・・・
温め直すとパスタの食感がより悪くなってしまうので、個人的には、むしろ、常温の方が抵抗なく食べやすかったような気がします。
また、温め直す以外にも、パンに挟むなど、アレンジして食べるのも相性が良さそうです。
日本国内では、サタケがマジックパスタ【食レポ74】というブランド名で、ショートパスタの非常食を販売していますが、マジックパスタは日本人の口に合いそうな味付けで食べやすいのですが、熱湯を注ぐなどの調理が必要となります。
そのため、味や食感よりも調理不要の方を重視する備蓄食パスタを求めているなら、『メディタリアン パスタサラダ』は検討してみる価値がありそうです。
※追加(2017.1月)情報:輸入元が取り扱いをやめたのか、現在、『メディタリアンパスタサラダ』を国内のネット通販で購入するのは困難な状況にあります。ショートパスタ系の非常食をお求めならサタケのマジックパスタなどがおススメです。
1缶当たりのボリュームが多く、量に関しては、大人の主食としても十分に満足感がある! 容器のフタはアルミシートを使用しており、老若男女問わず開けやすい! 常温のまま食べられるため、調理する手間は一切かからない! 大味なので、日本人の口に合うかどうかは好みが分かれるところ… 付属のフォークの柄が短く、使いづらい… |