避難生活が長引けば長引くほど、色々な問題に直面しますが、中でも食事は生命を維持する上で欠かせない大事な行為です。
食事を疎かにすると、体調面だけでなく、精神面においても影響を与えることがあるので、こういうときこそ、できるだけバランスの取れた食事が求められます。
特に甘みのある食べ物は、疲れを癒し、心を和ませほっとさせる効果があると言われているので、糖分補給は意外と馬鹿にできません。
そこで、今回は美味しい防災食シリーズのぜんざいを試食してみたいと思います。
※補足:同シリーズの「ぜんざい」は、どうやら終売したらしく、在庫が無くなり次第、入手困難になるかと…
えっ? 非常食にぜんざい !? と思った方もいるかもしれません。
確かに糖分補給であれば、チョコレートや飴、ビスケットなど、誰もが好きそうな王道のお菓子が沢山あります。
また、小豆系の非常食であれば、以前、取り上げた井村屋の『えいようかん』【食レポ18】があるので、なにもわざわざ非常時にぜんざいを食べなくてもよいのでは?と考える人もきっといることでしょう。
※『えいようかん』の賞味期限は5年間
しかし、一昔前とは違い、今は想像以上にバリエーションに富んだ数多くの非常食が世に出回っているので、選択の幅が広がるということは、むしろ歓迎すべきことではないでしょうか。
非常時に『えいようかん』で糖分補給するのも悪くはありませんが、ぜんざいがあるなら、そっちの方を食べてみたい!と思った方は、今回の食レポを参考にしてみてください。
私が手にしているこちらの商品が、アルファフーズ株式会社の『美味しい防災食ぜんざい』です。
実はレトルトパウチタイプのぜんざいや汁粉は、他メーカーからもいくつか販売されているので、この手の小豆系食品が別段珍しいというわけではありませんが、大抵の商品は賞味期限が1〜2年と短めです。
ところが、アルファフーズの美味しい防災食シリーズのぜんざいは、常温で5年間という長期保存が可能なため、他メーカーのものに比べると、より非常食に適した製品に仕上がっているといえるでしょう。
とはいえ、いくら賞味期限が長くても、あまり美味しくないのなら、あえてぜんざいを非常食として備蓄しておくこともなさそうに思えるので、味の方が気になるところです。
では、試食する前に、まずはパッケージの方を軽くチェックしておきたいと思います。
下記に参考画像を数枚アップしてみましたが、シンプルなパッケージで、表を見ると中央にドーン!とぜんざいのイメージ画像が大きくプリントされています。
この画像を見る限りでは、小豆の量もそこそこ入っており中々美味しそうに見えますが、食レポ24で取りあげた牛丼の具【食レポ24】の例もあるので、イメージ画像だけで中身を判断するのは少し危険かもしれません。
一方、パッケージ裏面には栄養成分表示が記載されており、1袋(150g)当たりのエネルギーが122kcalであることが分かります。
ちなみに、井村屋の『えいようかん』は1本(60g)当たり171kcalなので、美味しい防災食のぜんざいの方が約50キロカロリーほど少ないことになります。
また、裏面にはぜんざいに使用されている原材料も表記されていますが、その欄にひとつまみの塩を入れていることを示す記載があるので、甘さを引き立てるポイントはしっかりと押えているようです(汁粉を自分で作っちゃうような方は知っていると思われますが、仕上げにひとつまみの塩を入れると甘さが引き立つと言われています)。
さて、パッケージチェックはこのくらいにして、さっそく開封してみましょう。
袋の両サイドには切り口があるので、たとえハサミがなくても特に心配ありません。
袋を開けた直後の画像がこちらです。
この状態では豆を確認することはできず、汁しか見えないので何とも言えませんが、ごくごく普通の汁粉のように見えます。
さすがにぜんざいを袋のまま食べるのは少し辛そうなので、器に移し替えることにしましたが、今回はいつも愛用している例の小鉢ではなく、ぜんざいに合いそうな器を用意してみました。
袋から器に流し入れた常温のぜんざいの画像がこちらです。
美味しい防災食のぜんざいは、原材料を見ると小豆だけでなく餡も使用しているようなので、その餡が汁に溶け込んでいるせいか、すっきり澄んだ汁というよりは、かなり濁って見える汁で、とろみも意外とあります。
そのため、上品なぜんざいというよりは、田舎風ぜんざいといった印象を受けますが、個人的には、この適度にとろみがある濁った汁の方が好きなので問題ありません。
また、小豆をコトコト煮詰めた時に香ってくる豆のいい匂いがぜんざいから漂ってくるので、香りに関してもいい意味で普通のぜんざいさが感じられます。
では、さっそくひと口飲んでみましょう。
――――― どちらかというと砂糖の甘さよりも塩気の方が先にくる汁ですが、小豆の風味と砂糖の甘さもしっかりと感じられるので、あまりレトルトさを感じさせない味を再現しているのではないでしょうか。
これは、私が予想していたものよりも美味しいぜんざいに感じられます。
では、小豆の方はどうか?
下記に掲載した画像を見る限りでは、器のどこにも豆の存在が確認できないため、パッケージにプリントされていたイメージ画像と見比べると、やや異なるぜんざいのようにも見えます。
がしかし、いざスプーンで救ってみると、そこには結構な量の小豆の粒が・・・
どうやら豆は、単に汁の底に沈んでいただけで、量は意外と入っているようです。
そして、小豆の粒はしっかりと残っており、表面のツルっとした皮の食感と中の餡が思いのほか柔らかくふっくらとしているので、これは常温のままでも意外とイケます!
では次に、このぜんざいを温めたら、より一層美味しくいただくことができるのか?
災害時に温める余裕があるかどうかはわかりませんが、とりあえず試してみましょう。
レンジで温めたぜんざいがこちらです。
見た目は常温のものと何ら変わりないように見えますが、気のせいか、汁のとろみが若干水っぽくなったような気もします。
ちなみに、私はぜんざいには餅を入れて食べたい派なので、レンジで温めた切り餅をひとつ放り込んでみました。
その画像がこちらですが、餅がひとつ入るだけで、ぜんざいの印象がだいぶ変わったように感じられたのは私だけでしょうか。
餅を掬いあげると、汁気と小豆がいい具合に絡みついて、ツヤのある美味しそうな餅に変化しています。
もちろん、味の方も申し分なく、常温でも美味しく感じたのですが、やはりこの手の甘味は温めて食べた方がより美味しく感じられるようです。
美味しい防災食シリーズの非常食を食べるのは今回で4度目ですが、このぜんざいは、内容量こそそれほど多くはありませんが、小豆の量はそこそこ入っており、また豆の食感も楽しめるので、小豆系の甘味が好きな方には、ぜひ一度試食してみてほしいところです。
ただし、5年間という長期保存ができる分、価格は少し高め(1袋500円程度)なので、和甘味であればなんでもいいという方には、美味しい防災食のぜんざいよりも、井村屋の『えいようかん』の方をまずは試食してみてはいかがでしょうか。