長期保存パンといえば、パン・アキモトのような缶入りパンが主流ですが、今回、紹介する非常食はレトルトパック入りの保存パン金時いもロールパン≠ナす。
実はこの商品、芋好きの私にとっては、前々から気にはなっていたのですが、取扱っている店舗(楽天市場)が少なかったために、中々入手できず、紹介が遅くなってしまいました。
パン缶に比べると、レトルトパック入りの保存パン(尾西の保存パン【食レポ9】やフレッシュ・ファイブ・ブレッド【食レポ12】)は、生地が硬めでパサつき感が強い印象がありますが、果たして金時いもロールパンも似たり寄ったりの保存パンなのか・・・
さっそく試食してみたいと思います。
「金時いもロールパン」は、鳥取県に本社を構える高林産業株式が販売する保存パンですが、高林産業といえば、前回の【食レポ56】で取り上げた非常食「本場さぬきぶっかけうどん」も、確か同メーカーが販売元になっていたはずです。
高林産業・・・うーん…
その事実が発覚するや否や、なんとな〜く、この商品に対する期待値というか、私のテンションがだいぶ下がりましたが、今回の非常食はうどん≠ナはなく、あくまで保存パン!
そのため、あれほどの衝撃はないと思われます(思いたい!)が、果たしてどうなるのか、気を取り直して、まずはパッケージチェックからはじめていきましょう。
「金時いもロールパン」は、イエローカラーを基調としたシンプルなパッケージデザインですが、紙箱の形がユニークな非常食に仕上がっています。
そのため、フォルムにこだわった分、積み重ねて収納することが難しく、保管という点においてはマイナス点かもしれません。
パッケージ裏面には栄養成分(1個あたり306kcal)や賞味期限(常温で5年間)、原材料名など、商品に関する基本情報が一通り記載されているだけで、特にこれといって注目すべき点は見当たりませんが、ただ1点!原材料名欄に記載されていたパン品質改良剤≠ニいう言葉が気になったため、少し調べてみました。
すると、どうやらこれは、パン生地の品質を安定させるために使用される食品添加物の一種らしく、大量生産目的(あるいは、技術に自信のないパン屋さんなど)のパンではよく使用されるとのこと。
そのため、保存パンだけに使用される特別な添加物というわけではなさそうです。
袋内の空気を抜き、真空包装しているため、パンの形がくっきりわかりますが、それにしても小さっ!ってゆーか丸なの!?
個人的には紙箱より一回りほど小さめなサイズのコッペパン的なフォルムを想像していただけに、そのあまりにもコンパクトサイズな丸パンに思わずツッコミを入れたくなります。
うーん・・・非常食は保管スペースも少なければ少ないほどよいはずなので、このサイズなら、紙箱ももう少し小さくできたのでは?と思わずにはいられません。
さすが、高林産業、いい意味(?)で期待を裏切らない。
ちなみに、袋内に脱酸素剤は入っていませんでした。
さて、こちらが「金時いもロールパン」です。
私が頭に描いていたロールパンとはだいぶかけ離れたパンに見えますが、これまで食べてきたパン缶やレトルトパック入りの保存パンにはひとつもなかったタイプ(外見)のパンであることは間違いありません。
焼き芋風の甘いいい香りがふんわりと漂ってくる点は食欲をそそりますが、とにかく硬い!
そして、表面が妙にスベスベしていて、かつ、ツヤツヤと光沢を放っており、正直、パンには見えない・・・
ナニ、コレ?セルロイド??的な印象を受け、ふと、レアもののキューピーちゃん人形が脳裏をよぎりましたが、これ本当に食べて大丈夫なんでしょうか?
そもそも、指先で叩くとコツコツ音がするパンて・・・
革靴を履いてアスファルトの上を歩くんじゃないんだから、ありえない・・・
外見がアレなんで、あまり気が進みませんが、中途半端な記事にするのも嫌なので、とにかく食べてみることにしましょう。
まずは、こちらの画像をご覧ください。
「金時いもロールパン」をナイフで半分にカットした断面図(ちなみに、右下の画像は手でちぎった断面図)です。
表面と同様、内部もカッチカチで生地が詰まっています。
一口食べてみると、焼き芋のような風味と甘みを感じ味そのものは見た目ほど悪くない。
がしかし、想像通り、ふんわりとした食感はどこにもなく、噛むとボロボロと崩れ、パンを食べているという感覚さえありません。
いい意味で捉えれば新食感のパンかもしれませんが、少なくとも私が求めているパンではない!
うどんに続き、保存パンもやはりダメか・・・という印象はどうしても否めませんが、このままの状態で完食するのは厳しいので、とりあえず2通りの方法で温めてみることにしました。
まずはパンをラップで包み軽くレンジでチン!してみたところ、思いのほか生地が柔らかくなり、指先に弾力を感じます。
さっそく一口食べてみると、心なしもっちりとした食感があり、舌触りも良くなったようで、常温のものに比べれば多少食べやすくなっていました(とはいえ、美味しいと表現できるレベルのものではありませんが…)。
次に、オーブントースターを使ってスライスした「金時いもロールパン」を焼いてみます。
すると、香ばしい焼き芋の風味が増していましたが、肝心の食感はというと、表面がカリッとして確かに食べやすくはなっているものの、あくまで常温状態のものよりはマシという程度で、決してウマい!と言えるものではありませんでした。
「金時いもロールパン」は、私が前から食べてみたかった一品だっただけに、今回の結果は非常に残念でなりません。
高林産業さんには申し訳ありませんが、パンを非常食として備蓄するのであれば、個人的には、レトルトタイプよりも、アキモトやボローニャのような缶詰タイプの保存パンをお勧めします。