今回、試食する非常食はパンですよ!という商品名の缶入りパンです。
パンですよ!は、名古屋ライトハウスという社会福祉法人が手掛けるパンの缶詰で、障害をもった方が働く障害者施設で作られています。
障害者施設で製造するパンの缶詰と言えば、【食レポ14】でも紹介した『生命のパン あんしん』を思い出しますが、少し調べてみたところ、名古屋ライトハウスが製造販売する『パンですよ!』は、防災食品として缶入りパンの製造を始めた北海道の施設からノウハウを教えてもらい事業化したという経緯があるようです。
北海道にある施設とは、おそらく『生命のパン あんしん』を製造している知的障害者授護施設(あすなろパン)のことを指していると思われるので、『パンですよ!』の味や食感は『生命のパン あんしん』とほとんど大差ないと考えてよいのか…!?
今回は、その辺を少し意識しながら、食べてみたいと思います。
名古屋ライトハウスが手掛けるパンの缶詰『パンですよ!』は、チョコチップ味とコーヒーナッツ味、そしてレーズン味の3種類を製造しています。
個人的には好みのジャムなどを塗って食べられるような、シンプルなプレーン味も加えてほしいところですが、どうやら今のところ、その予定はなさそうです。
さて、今回は何味を試食するか少し迷いましたが、ここは一番子供ウケがよさそうなチョコチップ味から食べてみることにしましょう。
こちらの商品が、チョコチップ味の缶入りパン『パンですよ!』です。
缶詰の形状やサイズは、これまで食べてきたパンの缶詰と変わりなく、特に目が惹かれるような点は見られませんが、缶蓋をよく見ると開缶する時に、めくりやすいよう窪んだ直線が数本引かれていることに気付きます。
この点は私が今まで食べてきたパン缶には見られない工夫のひとつです。
一方で『生命のパン あんしん』にはプラスチック製のクリアキャップ(食べきれなくてもフタができる)が付いていたり、点字表示シールが貼りつけてありましたが、『パンですよ!』には、そのようなものは特になさそうです。
なお、『パンですよ!』の賞味期限は製造日から5年間(前は3年間だったらしい…)となっていることから、保存期間に関しては、アキモトのパンの缶詰などよりも長期保存が可能なようです。
ただし、パンの缶詰で有名になったパン・アキモトさんのHPを見ると、次のような説明があります。
日本の食品缶メーカーの保証が概ね3年と言われているのに、賞味期限5年保証を語る商品は、いったい何を基準に5年と設定しているのか疑問である… |
私は専門家ではないので軽率なことは言えませんが、こういった主張があるということも知っておいてください。
『ぱんですよ!』チョコチップ味の缶ラベルをチェックしてみると、まるで焼きたてのようなふっくら柔らかな保存食の常識を超えるパンです・・・といったアピールが目に入ります。
『生命のパン あんしん』を食べた時は、ふっくら柔らかといった印象はほとんどなかったので、あまり期待はしていませんが、もしアピールどおりであれば、アキモトのソフトパンを上回ることもあるのでしょうか。
しかし、ラベルにある写真を見る限りでは、あまりふっくら柔らがといった印象は感じられません・・・
ちなみに、チョコチップ味は1缶当たり380kcalだそうです。
また、『生命のパン あんしん』と同じく、筒状の大サイズのパンが1個入っているわけではなく、上記画像にも見られるように、2個のパンが積み重なって入っていることがわかります。
では、さっそく開缶してみましょう。
プルトップ式のイージーオープン缶なので、缶切りなどの道具は一切必要ありません。
缶ジュースを開ける要領でプルトップに指を掛け引き上げると、缶内からチョコチップの甘い香りが漂ってきます。
パラフィン紙に包まれたパンが逆さに入っている点は『生命のパン あんしん』と同じですが、1つ目のパンを取り出すと『パンですよ!』には脱酸素剤が入っていました。
そこで、ふと思ったのですが、『生命のパン あんしん』には、脱酸素剤や防腐剤等の類は一切使われていませんでした。
しかし、脱酸素剤を使用しないと、保存条件にもよるようですが、缶内の残存酸素によって油脂による酸化が起こり、3年もすれば油臭による味の劣化などを感じるようになると言われています。
ということは、『生命のパン あんしん』は、脱酸素剤を缶内に入れていないのに賞味期限を5年間としているということは、製造工程や工法に何か特別な仕掛けがあるのでしょうか・・・
そう考えると、製造日から5年後のパンを食べてみたくなりますが、現時点では賞味期限間近のパン缶が手元にないので、今の私にはその味の違いをお伝えすることができないのが残念です。
少し話が逸れてしまったので、話を戻しましょう。
容器から取り出したパンが、こちら【下記画像】です。
2個ともてっぺんが押し潰されてしまっていますが、上面はこんがりとした濃いめのきつね色(松崎しげるほどではない…)で、指で触ると、心持ちしっとりとしています。
また、2個に分かれているので、分け合って食べる(あるいは、体の小さなお子さんや、ちょっと小腹がすいたときなど)には、ちょうどいい感じの食べ切りサイズと言えそうです。
このままでは紙が邪魔で食べづらいのでOPEN≠ニ掛かれた部分からパラフィン紙を剥がしてしまいましょう。
パラフィン紙を剥がすと、なんだかてっぺんの真っ平ら感がより際立ってしまっていますが、チョコチップがいい感じで全体に散らばっています。
では、さっそくナイフで切り分けて、『パンですよ!』チョコチップ味を食べてみたいと思います。
下記3枚の写真は、ナイフを使ってパンを切った断面図と、手でちぎった断面図です。
断面図を見ると、アキモトのソフトパンほどではないものの、気泡も多く、そこそこふっくらとしたパンのようにも見えますが、しっとり感はないので、パサついた印象は拭えません。
一方、チョコチップの方は、しっとりとしており、中の方までしっかりと入っているようで、量的には多過ぎず、少な過ぎず…といった感じです。
開缶した時から感じていたとことですが、このパンは非常にチョコチップの甘い香りが漂ってくるチョコパンのようで、しっとりとしたチョコは、手に取るとスッと表面が溶けはじめます。
では、さっそくいただいてみましょう。
―――――― これは、甘い!
チョコチップの香りや甘みの主張がとても強いチョコパンです。
人によってはこの甘ったるいチョコ感がダメな方もいると思いますが、チョコレート好きな方には、チョコの甘さや香りが十分に満喫できる菓子パンに仕上がっています。
チョコレート感の満足度だけなら、アキモトのパンの缶:チョコクリーム味【食レポE】よりも強いように思えます。
また、パンそのものはパサついていますが、その分、チョコチップがしっとりとしているので、チョコチップを食べると、口の中で溶け広がるため、パンのパサつき感はあまり気にならなくなります。
そのため、パンを食べる際は、チョコチップと一緒に口の中に入れた方がよさそうです。
なお、パンそのものは、残念ながら缶ラベルに書かれていたほどふっくら柔らかといった印象はないので、フカフカなソフトパンの食感を望んでいる方は、やはりアキモトのパンの缶詰の方をお勧めします。
ちなみに、パンの缶詰の試食レポでは恒例となった、温めたら味はより美味しくなるか !? も試してみたので、参考までに最後にまとめておきましょう。
今回の『パンですよ!』も電子レンジを使って2パターンの温め方をしてみました。
まずは、レンジでチンの方から・・・
1cm厚にスライスしたパンをラップで包み、500Wで20秒ほど温めてみたところ、チョコチップがとろっとろっに溶け、パンもふかっとしたややしっとりめのパンに変わっていました。
気になる味の方は・・・
――――― ウマい!
これは、本当に美味しい!
温めたことでパンのパサつき感もほぼなくなり、そこに溶けたチョコレートが口に入れた直後から舌に広がるため、チョコレートホンデュとまではいきませんが、非常に濃厚なチョコレート感が味わえます。
ただ、温める前よりもチョコレートの甘ったるさが際立つため、甘いものが苦手な人にはお勧めできません。
次にオーブントースターを使ってこんがり焼いてみましたが、予想どおり、表面はこんがりきつね色のカリッとしたチョコパンに仕上がっていました。
こちらの方もチョコチップがいい感じで溶けだしていて、甘い香りが漂ってきます。
気になる味の方は・・・
――――― 思ったとおり、これもウマい!
口の中に広がるチョコレート感は先ほどのレンジでチンとほぼ同じですが、トースターで焼くことでサックリとした、また少し違った食感が楽しめるので、これはこれで美味しい!
パンの種類によっては、温めても味があまり変わりないと感じることもあるのですが、この『パンですよ!』チョコチップ味に関しては、断然、温めて食べた方が美味しいように思えます。
非常時にトースターや電子レンジを使うことは難しいかもしれませんが、もし、災害に見舞われることなく、無事、賞味期限切れになりそうな『パンですよ!』チョコチップ味を処分する機会が来たときは、ぜひ、一度温めてから食べてみることをお勧めします。