主食系の非常食といえば、アルファ米やパンの缶詰あたりが主流ですが、最近はそのカテゴリーに麺類が加わりつつありそうです。
といっても、アルファ米やパン缶ほど種類が豊富というわけではないため、選択肢はそれほど多くありませんが、パスタやラーメン、そばやうどんといった麺類を長期保存できる備蓄食として製造販売するメーカーは増えていることから、どちらかといえば、ご飯やパンよりも麺の方が好きだという方にとって、歓迎すべき流れであることは間違いありません。
そこで、今回は麺類系の非常食にスポットを当て、美味しい防災食シリーズに新たに登場したわかめうどん≠試食してみたいと思います。
アルファフーズ株式会社の長期保存食『いつでもどこでも美味しい防災食』はシリーズ化されており、17種類(2016年2月末現在)ものバラエティ豊かなラインナップが用意されていますが、当サイトの食レポコーナーでも、過去に豚汁【食レポ16】、牛丼の具【食レポ24】、ラーメン【食レポ29】、ぜんざい【食レポ42】、サバ味噌煮【食レポ47】の5品目を紹介してきました。
というわけで、今回は会社の概要については省略させていただきます(詳細については、過去の食レポ記事をどうぞ)。
それでは、さっそくパッケージチェックから始めていきましょう!
市販の一般的なレトルトカレーに比べると、一回りほどサイズの大きなアルミ袋(横幅がある)ですが、乾麺ということもあって、とても軽く携帯にも適しているので、非常持ち出し袋に詰め込んでおくのも良さそうです。
袋はアルファ米などの保存食ではよく採用されるスタンドパック式(袋底が広がり縦置きすることができる)で、器を別個に用意する必要がない点も、まさに非常食向きです。
また、袋の四隅(角)が丸くカットされており、地味ながら細やかな気配りが見られる点も評価したいところです。
一方、マイナス点を挙げるとするならば、賞味期限の表示方法といったところでしょうか。
賞味期限の日付が分かりづらい非常食は多いので、なにも同商品に限ったことではありませんが、やはりできればもう少し一目で確認できるよう見やすい工夫が欲しいところです(その点、尾西食品のアルファ米は非常に分かりやすい)。
パッケージ裏面には調理方法や原材料名、栄養成分表などの基本情報が記載されています。
最近はアナフィラキシーショックとまではいかないまでも、食物アレルギー体質の方が増えていると言われているので、できればアレルギー体質の方に配慮したわかりやすい表示(27品目)があると尚良いかもしれません。
パッケージ上部の左右2箇所にそれぞれ切り口があるため、特にハサミなどの鋭利な刃物が身近になくても、素手で簡単に開封することができます。
わかめうどんには、折り曲げ線上にも切り口があるのが面白いところですが、これはアルミ袋を器として使うときに、より食べやすくするための工夫らしいので、早まって調理の際に切り取らないよう注意して下さい(うっかり切り取ってしまっても、調理にそれほど支障をきたすことはないと思いますが…)。
さて、開封すると、中には塊となった乾麺(外部からの衝撃に弱いらしく、袋底に欠片が落ちていたため、乾麺が粉々に砕けてしまわないよう袋は雑に扱わない方が良さそう…)のほか、小袋2つ(スープの素とかやく)とプラスチック製の透明なフォーク、シールの4点が入っています。
約10.5cm四方(厚みは2.5〜3cmほど)の塊となったうどんは、乾麺なので、当然、水分が抜けきった硬い状態のままですが、試しに袋の底に残っていたカチカチの破片を食べてみたところ、意外や意外、まったく食べられないかと思いきや、バリバリという小気味よい歯ごたえと音を響かせながら、意外とせんべい感覚で食べられることに驚きです。
これなら、最悪、湯を用意することができない非常時にも、まったく食べられないというわけでもなさそうです(ウマいか?と問われれば、ウマくないとしか答えようがありませんが…)。
アルミ袋の中には2つの小袋が入っていますが、ひとつは加薬(かやく)袋、そしてもうひとつはスープと書かれた小袋です。
加薬袋には乾燥わかめとかまぼこ(2枚)が入っており、スープの小袋には粉末状のスープの素が入っています。
では、パッケージや袋の中身を一通りチェックし終えたところで、さっそく調理してみましょう。
美味しい防災食シリーズの麺類(うどん、ラーメン)は、商品とは別に厚紙で出来た折り畳み式の防熱袋受皿と呼ばれるパーツがもれなく付いてきます。
調理の際は、この付属の受皿に本体をセットすることで安定させ、湯こぼれなどを回避する役割を担っているようです。
というわけで、パッケージに記載されている調理手順に従い、実践してみましたが、1点大きな問題点があることに気付きました。
それは、湯を注ぐ注水ラインが袋の内側に表示されていない!ということです。
320mlの湯を注ぐという説明があるので、計量カップなどがあれば注水ラインなどは特に問題となりませんが、非常時に計量カップが用意できるとは限りません。
もちろん、袋の外側には注水ラインがしっかりと表示されているので、ポットややかんからダイレクトに注いでもなんとなく注水量はわかりますが、できれば内側にも湯量の目安となる注水ラインが欲しいところです。
美味しい防災食のわかめうどんの調理時間は5分となっているので、同シリーズのラーメンに比べると1分、また、一般的なアルファ米と比較すると10〜15分ほど短い調理時間となっています。
付属のシールで袋を閉じてから5分経過した直後のうどんが、こちら【画像:左上】になりますが、この時点では、まだなんとなく茹で&蒸らしにムラがあるようで、湯に浸かっていない部分のめんがまだ渇いた状態に見えます。
そこで、付属のフォークでしばらくかき混ぜてみたところ、徐々に見た目にも瑞々しいうどんに変化し、これでわかめうどんの完成となりました。
先にも説明したとおり、美味しい防災食のわかめうどんは、スタンドパック式の袋を使用しているので、調理後は、そのまま直接、袋を手に持って食べることができますが、今回はあえて器に移し替えてから食べることにします。
その画像がこちら!
いかがでしょう。
個人的には、商品パッケージにプリントされていたイメージ写真と、ほぼ遜色ないクオリティのわかめうどんのようにも見えますが、果たして肝心の味の方はどうなのか、さっそく食べてみましょう。
まずはスープから・・・
一口啜ってみると、コクや深みは今一つとはいえ、カツオや昆布ダシがしっかりと効いており、風味もそれほど悪くありません。
しかし、見た目どおりというべきか、やや塩分が多いように感じられ、しばらく啜っていると塩辛さが気になってきます(大量に汗を掻いた後にはちょうどよい塩分と言ったところか…)。
湯に浸された乾燥かまぼこは、意外と歯ごたえがありますが、いかんせん薄っぺらいため、食べごたえはなく、あくまで彩りというかオマケといった感じの具材です。
一方、わかめの方は、うどんに対して量の方も適量といった感じで、コリコリとしたわかめ特有の食感とほのかな磯の香りが楽しめる、いい意味で市販の乾燥わかめと変わらない味と食感といったところでしょうか。
では、メインのうどんはどうかというと、思っていたよりもコシはありますが、一般の茹でるタイプの乾麺に比べると、ツルッとした滑らかさに欠け、のど越しもあまり良いとはいえません。
味や食感、風味を一言で表現すると、市販の乾麺(生麺ではない)タイプの即席カップめんに近いような気がします。
わかめうどんということで、油っぽさはなく、胃にもたれる感じもありませんが、味や食感に関しては市販のカップめんと大差ないでしょう。
そういう意味では、市販の一般的なカップめんに比べると単価が高いような気がしますが、美味しい防災食のわかめうどんは製造日から常温で5年間という長期保存が可能なので、その点を考慮すると、長い目で見ればコスト減につながり、経済的と見ることができるかもしれません。
しかし、日頃からカップ麺を好んでよく食べるという方にとっては、調理方法に対してあまり差が見られない以上、最近、流行のローリングストック法※を実践した方が、お財布にも優しい備蓄方法かもしれません。
※ 普段、食べている食品を少し多めに購入しておき、減ってきたら買い足す方法。日頃、食べ慣れている食品をストックしておくため、味がよく分からないということもなく、非常食向け食品を大量に備蓄しておくよりも無駄がない。
袋がそのまま器として利用できるため、お湯以外に用意するものはない(付属のフォークあり)! 軽く携帯食としても便利! 衝撃に弱いため、乾麺が粉々に砕け散らないよう保管の際には注意が必要… 注水ラインが袋の内側に欲しい… 味は一般的な市販のカップめんと同レベル… |